高校生の青春…。舞台は野球部でもダンス部でもなく“増殖部”。市民プールでスゴいモノを増やしていた!
愛知県蒲郡市。三河湾に隣接した県立三谷水産高等学校。
県内唯一の水産高校で、全校生徒はおよそ470人。海洋科学科、情報通信科、海洋資源科、水産食品科があり、主に海の仕事で活躍する人材を育成しています。
今回は水族館の職員やダイビングのインストラクターを目指す生徒が多い海洋資源科の教室に、お笑いトリオ・パンサーの向井慧さんが“向かい”ます!
パンサー向井さん:
「こんにちは~!男が多い(笑) 制服の白のシャツ、普通のカッターシャツじゃないよね?」
竹本くん:
「(肩に入った紺色のラインに手をあてて…)船員さんみたいな感じになってます」
パンサー向井さん:
「皆さんは何を目指して水産高校に入ったんですか?」
高橋くん:
「水族館の飼育員を目指して入りました」
高橋くんのほかに飼育員を夢見て入学した人がいるか聞いてみると、ちらほらと挙手。と同時に、色んな所から「最初は…」とささやく声が…。
山田くん:
「(水族館から)募集がなかなかかからないんです。だからある一定の人は水族館に入るのを諦めるんです」
と、なるほどの理由。ちなみに、このクラスでは「水族館を諦めた」という人が半数弱ほどいました。
パンサー向井さん:
「じゃあ、(諦めた人は)新たに何を目指し始めてるの?」
岡村くん:
「港湾とか堤防を工事する、海洋土木の仕事に就こうと思ってます。船の道をつくるために浅い水深を掘って深くしたり、川で見かける堤防工事だったりとかが主です」
海洋資源科の皆さんは水族館職員やそうした海洋土木の仕事だけでなく、ダイビングのインストラクターなどになる方も多いんだとか。そのため全国でも珍しい「ダイビング部」もあるそうなんです。
ダイビング部の部長 山岡さん:
「大会では、フィンを着けてタイムを競うやつと、溺れてる人を助けに行くタイムを競うレスキューがあって、それで去年全国優勝しました」
そんな海洋資源科には変わった“マイブーム”を持った生徒も…。
山田くん:
「最近、『毒』にハマってて。魚とかの毒の解毒方法や有効活用のやり方なんかを調べるのがマイブームです。魚だったらパリトキシンっていうアオブダイの毒がめちゃくちゃ強力で…」
パンサー向井さん:
「オレがそれ食べたとして、助けられる?」
山田くん:
「けっこうエグい助け方をするかもしれません。吐かせたり」
パンサー向井さん:
「エグいな、いきなり(笑)」
この山田くん、実は水産高校らしい部活動の部長でもあるんです。それは、生き物の繁殖させることを目的とした『増殖部』。
いったいどんな部活なのか見せてもらうと、海洋資源棟の中に水槽がずらりと並んだ部屋が…。中には毒を持つ魚、ミノカサゴも!
パンサー向井さん:
「このミノカサゴは何年くらいここで飼ってるの?」
増殖部 鈴木くん:
「ワタシが去年入ったばかりですが…」
パンサー向井さん:
「ウソでしょ!(笑)落ち着きがもう去年入った子じゃないんだけど。何年もここでやってる感じ」
鈴木くん:
「いいえ、1年です」
パンサー向井さん:
「一人称は『ワタシ』なの?」
鈴木くん:
「ハイ」
パンサー向井さん:
「将来は何になりたいとかあるの?」
鈴木くん:
「ゼヒとも名古屋港水族館で働きたいなとは思っておりマス」
パンサー向井さん:
「今、面接じゃないから(笑)俺は別になんの権限もない!もっと砕けた感じで大丈夫」
増殖部の活動では、部員がそれぞれの水槽を持ち管理して、生き物の増殖を目指しているんです。
部長の山田くんの水槽には、目の前の三河湾で採集したというカレイの稚魚も。全長わずか4センチです。
パンサー向井さん:
「ちっちゃ!このサイズの時のカレイって普通見ることないもんね、面白い」
さらに、こちらの増殖部。意外な場所で、これまた意外な高級食材を養殖していました。
増殖部 大澤くん:
「ココがアワビの養殖施設です。実はもともと蒲郡市の市民プールだったんですよ。それを市から借りて、施設を有効活用できないかっていうことで、『じゃあアワビの養殖をしましょう』となりました」
なんと、高校生にもかかわらず、アワビの本格的な養殖を5年前から続けているんです。
大澤くんが水槽から黒いケースを取り出すと…。
パンサー向井さん:
「これアワビ?おー!すごい。いっぱいくっついてる!」
大澤くん:
「小さい貝を大きくして、ここまで育てています」
増殖部では、雄と雌を交配させて繁殖。さらには流通までを目指しています。
ここで、パンサー向井さんの思いを察してか、部員の清水くんが何かが盛られたお皿を…。
清水くん:
「ココで数時間前まで生きてたアワビを5匹分酒蒸しにしたものです」
パンサー向井さん:
「用意が良すぎるよ…(食べて)おいしい!歯ごたえもコリコリして。すごい、ありがとう!」
海の仕事などでの活躍を目指す高校生。彼ら彼女たちと話し、独特の学校生活にも触れた向井さんが、今回感じたこととは…?
パンサー向井さん:
「普通の高校生とは違うベクトルに向いてる部分はいっぱいあるんですけど、とりあえずピュア。純粋に本当に海が好き、海の生き物が好きなんだなというのが伝わってきました」
三谷水産高校海洋資源科の皆さん、ありがとうございました!