韓国旅客機火災の原因は“モバイルバッテリー” 日常に潜む危険も 火災事故を防ぐための対策や注意点とは?

2025年1月、韓国の金海(キメ)空港で旅客機の火災事故が発生しました。原因とみられているのは「モバイルバッテリー」。国民の半数近くが所有するモバイルバッテリーですが、その危険性が改めて注目されています。航空機内での規制や新たな対策、そして日常生活での注意点を探ります。
旅客機で火災が発生 規制が強化されるモバイルバッテリーの持ち込み

韓国のキメ空港で、離陸準備中の旅客機で突如火災が発生。機内の荷物棚から炎が上がり、短時間で天井が焼け落ちる事態となりました。幸い離陸前だったため乗客は避難できましたが、飛行中だった場合の危険性が指摘されています。
(乗客)
「一瞬で煙が充満しました。前方の客は逃げたが、後方の客は避難経路が見えなかった」
地元メディアによると、出火原因は機内持ち込みのモバイルバッテリー。この事故を受け、モバイルバッテリーの機内持ち込みについて、世界中で規制が強化されています。

現在、出力100Whから160Whまでのモバイルバッテリーは1人2個までの機内持ち込みが許可されていますが、預け入れは禁止されています。一般的に使用されている100Wh以下のバッテリーには持ち込みの制限がありませんが、安全性の問題は残されたままです。
(nite 宮川七重 課長)
「我々が収集している事故の中では、100Wh以下でも事故は発生しています」
(航空評論家 元パイロット 杉江弘さん)
「今回は韓国で(事故が)起きましたが、国土交通省は外国から、例えばアメリカ連邦航空局などから指示がないとなかなか対策を取らない。わが国でも同様の事故が起こる前に予測して対策を取ることが求められている」
過去4年間の被害額は111億円 リチウムイオン電池の危険性とは

リチウムイオン電池は国内に10億個以上普及し、月に2000万個以上出荷されています。ほぼすべての電気自動車にも使用されており、現代社会には欠かせない存在となっています。
しかし、その取り扱いには注意が必要です。不良品への充電や過充電、物理的な変形などにより、爆発や火災の危険性があります。
(nite 宮川七重 課長)
「リチウムイオン電池はとても燃えやすく、灯油と同じくらい燃えやすい」
過去10年間で235件の事故が報告されており、住宅全焼の事例もあります。さらに、製造現場でも事故が発生しています。2024年6月には韓国・ソウル郊外の工場で大規模な火災が起きました。

また、リチウムイオン電池の廃棄も問題となっています。一般ごみとして捨てられたバッテリーがゴミ収集車やごみ処理場で火災を引き起こす事例が多発しており、過去4年間の被害額は111億円に達しています。

こうした危険性に対し、航空会社も対策を進めています。全日空は2024年から、モバイルバッテリーの火災対策として特殊な消火袋を全機に配備しています。また、火の出にくい新しいタイプのモバイルバッテリーも開発されていますが、普及はまだ限定的です。
リチウムイオン電池の便利さと危険性を十分に理解し、適切な取り扱いと廃棄方法を心がけることが重要です。
CBCテレビ「チャント!」2025年3月3日放送より
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