加藤愛アナが三重県鈴鹿市白子の愛されフード『小原木』を調査! 殿に命じられ300年! 京都にゆかりある銘菓
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、根づく愛されフード。CBCの加藤愛アナウンサーが全力で調査します。今回は、『三重県鈴鹿市白子(しろこ)』の『小原木』です。
見た感じと触感&食感のギャップがポイント
読み方が曖昧なまま調査を始めると、『小原木』は「おはらぎ」といって、江戸時代からある、餃子みたいな形のあんこ入りの和菓子だとか。「最初、お餅が入っていると思った」と地元の人が間違えるほどのモチモチ感。作っているのは『大徳屋(だいとくや)』という店だそう。
おじゃました『大徳屋長久(だいとくや・ちょうきゅう)本店』は、旧伊勢街道沿いにある享保元年(1716年)創業の老舗。徳川吉宗の時代から300年あまり…、16代続く和菓子店です。そんな名店が作る『小原木』は、見た感じは揚げ餃子のよう。しかし、持ってみると、「モチモチ。こんなに水分を感じると思わなかった」と加藤アナ。そして、地元の人が言っていた通り、食感も餅のようです。
不思議な食感を生みだす決め手は“水分量”
中身はあんこだけ…というこの『小原木』の材料は、小麦粉・砂糖・あずき・水あめのたった4つ。しっとりモチモチ感を出す秘密は、実は“水分量”の管理にあります。皮に使っているのは、キメが細かく滑らかな三重県産の小麦粉“あやひかり”。少しずつ水を加え、ユルユルの水っぽい生地を作り鉄板で焼くと、水分が蒸発したパサッとした皮が出来上がります。
この皮で、水あめが多めに入ったあんこを包み、寝かせること数時間。すると、水分量が多いこのあんこの水分が皮にも移って、程よくしっとりモチモチとした食感になるそうです。
300年の重み“大徳屋=小原木”という存在の銘菓
この『小原木』を考案したのは、4代目だとか。300年ほど前の江戸中期、鈴鹿辺りは紀州徳川家の領地で、白子港は穀物類、海産物、反物などを江戸へ船で運んだ物流の重要拠点でした。当時、海運を取り仕切っていた地元の豪商の4代目がのちに菓子を作ることになりますが、そこには江戸時代ならではのエピソードがあったのです。
紀州の殿様に仕えて、4代目が京都まで同行した折に、八瀬小原(やせおはら)という地域で、頭に柴をのせて歩く“小原女(おはらめ)”に出会います。殿からその姿の菓子を作ることを命じられ、考案したのが頭の“柴”の部分を半月形で表現したこの菓子。小原女が頭に雑木(柴)をのせていたことから『小原木(おはらぎ)』と名付けたとか。その後、平成初期まで手焼きで作られてきましたが、生産が追い付かず、15代目が3年かけて小原木の製造機を開発しました。近年は、“和菓子女子”にも人気という『小原木』。それをきっかけに、遠方の和菓子店から修業に来ている人もいます。
「大徳屋=小原木」といっても過言ではない300年続く銘菓。「すべては小原木のため」という信念を持ち、店を守る16代目でした。
(CBCテレビ「チャント!」11月2日(木)放送より)