その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている！　その町で生まれ、町に根づく愛されフード。CBCアナウンサー2年目の松本道弥アナが全力で調査します。

今回訪れたのは、『愛知県岡崎市北西部』。この地域の愛されフードは『原田豆冨（はらだどうふ）』です。町で調査をすると、皆さんの認知度は高く、その名の通り、原田さんが作っている豆腐。クリーミーで濃厚なのが特長で、ダントツの人気は『寄せ豆腐』だとか。そして、原田さんは現在、『魚信（うおのぶ）』という店で豆腐を作っているようです。

松本アナが和食処『魚信』に向かうと、お店に併設する『4代目原田豆冨工房』と書かれた販売所を発見。その工房で、スゴ腕豆腐職人の原田さんが作る豆腐が地元で大人気なのです。

一番人気の『寄せ豆腐』はまるでババロア。濃厚な味わいで『原田豆冨』の代名詞といえる逸品です。何も付けずに食べると豆の風味をしっかり感じ、塩を少々かけると甘みが増したように感じます。

『原田豆冨』の最大のこだわりは、厳選した素材。すべての豆腐に、愛知県豊田市足助町(あすけちょう)の指定した生産者が作る“フクユタカ”のみを使っています。

この大豆を絞った豆乳で豆腐を作るわけですが、牛乳代わりにこの豆乳を買いに来た方はもう牛乳には戻れない…というほどの深い味わいだとか。そして、“にがり”にもこだわりが。使うのは、伊豆大島産の天然にがり。寄せ豆腐は、柔らかさを出すために極力少ない量で固めていきます。豆乳が絞り出る時の動きを見つつ、なんと0．1グラム単位で“にがり”を微調整。その見極めが、濃厚でありながら滑らかな食感を生み出すのです。

現在は『魚信』の工房で作る『原田豆冨』ですが、元々は“原田豆腐店”という地元で80年以上続いた店があり、原田さんはその3代目でした。しかし、2年前、火事で店が全焼し、廃業を決意。原田さんが作る豆腐が町から消えてしまったのです。

『魚信』の看板メニューは、30年以上前から納めてもらっていた“原田豆腐店”の豆腐や豆乳を使った料理。親の代から愛してきた、絶対に無くしたくない味でした。地域の人からも「あの豆腐を食べたいと思うもん！」と熱烈なファンがいる味なのです。『魚信』のご主人は、工房の再建を申し出て、何度も復活をお願いします。原田さんは「弟子をつけてもらう」ことを条件に決意。その弟子とは、なんと『魚信』のご主人でした。和食店も続けながら、日々、早朝から豆腐作りに励んでいます。一時は廃業を決めていた原田さん。「今では感謝してるよ」と語ります。80年以上愛されてきた“原田豆腐”の味を絶やさない！と『4代目原田豆冨』と名付け、共に歩む二人。地域の人たちの熱望にも応え、復活した愛されフードでした。

（10月28日(金)　CBCテレビ「チャント！」より）