中日もサムスンも投手陣はボロボロ!どう立て直す?

中日もサムスンも投手陣はボロボロ!どう立て直す?

去年、韓国プロ野球のサムスンライオンズ投手陣は壊滅的だった。チーム防御率5.88。失点911。自責点837。与四球548。全て10球団ワースト。酷かった。

立て直しを任されたのが落合英二氏(元中日ドラゴンズ投手)だった。ただし、大幅な戦力補強はなし。顔ぶれはほとんど変わらない中での船出だった。

去年の秋季キャンプ。落合氏が着手したのは四球撲滅運動だった。「四球が一番の悪。ヒットは許す」と基本方針を明示した。

技術的アプローチは2つ。まず、キャッチボールの時間を長くした。「それまでの倍。約20分です。投球フォームやボールの回転をチェックするのが目的です」。次に様々なボールを投げさせたという。「ピンポン球やソフトボールなど。これは指先の感覚を養うためです。結局、コントロールはそれが命」。

真剣さの中にゲーム感覚を与えるのが落合流。去年秋の練習試合ではノルマを課した。「四球を3つ以上出したら、試合後、全員にノックをする。2つ以下なら免除。今日は何点取られてもいい。これは野手にも伝えている」と試合前に伝えた。

投手陣は必死。2ボールになると、味方の野手から野次が飛ぶ。連帯責任を負わされた投手陣は懸命にストライクゾーンへ投げ込んだ。

結果、9イニングで四球1つ。見事にクリア。7失点したものの、落合氏は評価した。さすがにシーズン中の起亜タイガース戦で無四球18失点した試合後は頭を抱えたが、「ぶれないことが大事。よくやったと言いました」と貫いた。

掛ける言葉はレベルによって使い分ける

落合改革においては精神的アプローチも見逃せない。彼はレベルを3段階に分け、掛ける言葉を変えているのだ。実力不足の2軍投手は無視。もちろん、日常会話はするが、技術論を交わすことはない。1軍半は微細なことでも褒める。「格段にモチベーションが上がります。このクラスの底上げがチームには必要」。一方、主力投手には厳しい言葉。「求めるものはもっと高いよと。軸となる投手を叱責することで全体を引き締める効果があります」と説く。

果たして、サムスン投手陣は生まれ変わったのか。今年のチーム防御率は5.19(5位)。失点802(5位)。自責点741(4位)。与四球441(4位)。見事に全ての項目が改善した。

言わずもがな、似た球団が日本プロ野球界にある。中日だ。今年のチーム防御率はリーグワーストの4.36。与四球526と失点654はいずれも2番目に多く、自責点611はワーストだ。

さぁ、与田剛新体制が始まった。1軍投手コーチには阿波野秀幸氏と赤堀元之氏が就任している。一体、彼らはどんなアプローチをするのか。果たして中日投手陣は立ち直るのか。1年後が楽しみだ。

【CBCアナウンサー若狭敬一
CBCテレビ「サンデードラゴンズ(毎週日曜午後0時54分放送)」、CBCテレビ「スポーツLIVE High FIVE!!(毎週日曜午後1時24分放送)」、CBCラジオ「若狭敬一のスポ音(毎週土曜午後0時20分放送)」、CBCラジオ「ドラ魂キング」(毎週金曜午後6時放送)ほか、テレビやラジオのスポーツ中継などを担当】

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