きっかけは球界を揺るがす八百長事件。プロ野球界の「コミッショナー」の役割とは
この秋、プロ野球界に動きがあります。NPB(日本野球機構)コミッショナーである榊原定征さんが2期目の任期満了に伴い、後任が飯島彰己さんに変わります。9月19日放送のCBCラジオ『石塚元章ニュースマン!!』では、この「コミッショナー」について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説します。
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石塚「プロ野球の世界にはコミッショナーというポジションの方がいらっしゃいます」
コミッショナーとは端的に言えば最高責任者のこと。現在の榊原定征さんは、この11月で2期目の任期が終了するのに伴って退任します。
石塚「新しいコミッショナーには飯島彰己さんが内定しています」
三井物産の元社長であり、現同社顧問も務める飯島さん。
6球団によるコミッショナー候補者選考会で、豊富な国際経験が買われ、要請に至ったとのことです。
最高責任者
コミッショナーは、球界のルール変更や将来の課題、プロ野球の運営や統制に関する最高権限を持っています。
石塚「プロ野球の世界には野球協約というものがあって、言ってみれば野球界の憲法みたいなものです。そこの第8条に『コミッショナーが下す指令、裁定、採決、制裁は最終決定であって、この組織に属す全ての団体と個人を拘束する』と厳しく書いてあるんです」
野球協約は日本野球機構が定める、日本プロ野球の選手契約や組織運営などのルールをまとめた規則集。その文言にもコミッショナーの権限の強さが記されています。
石塚「コミッショナーがこうだと言ったら誰にも曲げられない、というくらいすごい権限を持っているのがコミッショナーなんですね」
メジャーで起こった八百長
コミッショナー制度はいつから始まったのでしょうか?
石塚「アメリカのメジャーが最初にコミッショナーを作ったんですね」
事の始まりは1919年、アメリカにおける野球の歴史の中でも大きな汚点だと言われている八百長事件「ブラックソックス事件」。
同年のワールドシリーズで、シカゴホワイトソックスとシンシナティレッズという二つのチームが戦った時のことです。
石塚「誰の目にもホワイトソックスが優勝だと言われていたのになぜか負けて、シンシナティレッズが優勝するという番狂わせがあったんですが、調べていったら実はこれが八百長だったんです」
当時ホワイトソックスの選手たちは、他のどのチームより低賃金でプレイさせられ、ユニフォームのクリーニング代まで自腹とされ、トレードマークの白ソックスまで常に黒ずんでいたことから「ブラックソックス」と揶揄されていたとか。
球団に対して不満を募らせていた選手たちが賄賂を受け取り、わざと負けたのがこの事件です。
無罪でも追放
この事件がきっかけでメジャーリーグのイメージは急激に悪化しました。そんな状況を打開するために産まれたのがコミッショナー制度です。
石塚「ケネソー・マウンテン・ランディスさんという方が、初代のメジャーのコミッショナーになりました。この人は裁判官で、とても厳格な人物だったんです」
八百長に加担したとされた8人の選手たちは告発され、裁判になりました。しかし陪審員らは被告人らに対して同情し、結局8人は無罪になりました。
石塚「ところが初代コミッショナーは、『ダメなものはダメです』と言って8人をメジャーからは永久追放にしました」
法が許しても、コミッショナーは許さなかった。このコミッショナー制度がだんだん世界に広がっていき、やがて日本でも取り入れられるようになったようです。
石塚「だから日本でも、裁判官や検察官だったりする人が多かったですね。ここしばらくは財界からなるというケースが続いていますが」
何か事が起きない限りはあまり話題にならないコミッショナーですが、こういった歴史の中から誕生した非常に重要なポジションだったのです。クリーンな野球を楽しむために欠かせない存在、それがコミッショナーだとも言えるでしょう。
(吉村)
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