デジタル化で郵便離れ。どうする?これからの郵便事業
総務省は先月26日、赤字が続く郵便事業の持続的な運営に向け、有識者会議を立ち上げました。人口減少やデジタル化に伴う郵便物の減少を受けて発足したもので、今後の対応策として郵便法の改正も視野に入れています。9月1日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、西村俊仁アナウンサーが郵便法についてアディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に尋ねます。
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会議では町の郵便ポストの設置数を減らすなどサービス水準の引き下げも含めた検討が進められる見通しです。
これまで当たり前のように利用されてきた街の郵便ポストが将来的に姿を消すかもしれない局面を迎えています。
正木「郵便の役割は単なる配送サービスではなく、公共的な生活インフラですので、日本全国の誰もが使えるサービスを維持するためにどうしたらいいのか?の議論を始めます」
明治時代に現在のような郵便制度ができ、戦後に郵便法ができました。
郵便法とは、手紙やハガキをなるべく安い料金で全国に公平に提供するためのルールを設けた法律です。
その後2005年の郵政民営化法、2007年の郵政民営化を経て現在の郵便事業があります。
いろんなルール
西村「郵便ポストを減らす、配達の頻度を下げるのは、どう決められているんですか?」
正木「今あるポスト数は維持しながらも、各市区町村内で偏りなく設置をしようねというルールがあります」
配達頻度も法律で決まっていて、普通郵便は原則として月曜日から金曜日までの週5日以上。かつ1日1回以上は配達するルールが設けられているそうです。
もともと土曜日の配達もありましたが、2021年の法改正によって土曜日の配達は休止になり配達日数は減りつつあります。
正木「現在は差し出しから原則として4日以内に届くようにサービスが勧められています」
料金が上がる?
料金も全国一律で郵便法で定められています。
今までは国が料金の上限を定めていましたが、郵便事業は経営的に厳しいため、今年の改正では日本郵便が料金を設定して大臣の認可を受ければ料金を決められるように変わったそうです。
見直しが進められていて、2027年度中にもかなりな引き上げがあると言われているとか。
西村「かつての葉書とか封筒の価格と今はもう全然違うじゃないですか」
正木「倍ぐらいのイメージですよね」
全国一律にこだわる理由
なぜ郵便料金は全国一律にされているのでしょうか?
正木「公共性が一番大きい理由です」
国民にとって基本的な権利に関わる通信手段の確保。手紙の秘密を守る義務。これらを守るため郵便事業は、他の民間業者があるにもかかわらず日本郵便がやると法律で定められているそうです。
日本郵便が独占している分、厳しいルール・義務も課されています。
例えば民間のサービスでは市場原理が働き、売り上げが重視されるため、山間部、離島、過疎地は当然配達のコストが上がり配達は当然減らされていくことになります。
正木「公共的なインフラと考え、国民に通信の機会に大きな差が生じないように、しっかり義務を課しているんです」
デジタル化で郵便離れ
デジタルの普及に伴ってSNS、メール、電子契約、オンライン手続きが進む中、「郵便離れ」が起こっていることで今回の法改正の議論に至ったそうです。
郵便の差し出し数は2001年に262億通。しかし2025年にはほぼその半分まで減少しています。
郵便事業の営業費用の7割を占めるのが燃料費、人件費。
このうち燃料費は高騰中で、一通当たりの配達コストは上昇する一方。しかも山間部はさらに高コストです。
郵便事業のコストは2022年から4年連続赤字で、累積赤字は2000億円以上に上ります。この赤字は解消が難しいと見込まれています。
正木「日本郵便自体は現在の法制度のままでも効率化して黒字化を目指すと計画発表をしているんですが、なかなか難しい状況にあります」
どうすればいいの?
今年6月にも郵便法制改正をして、国が年間650億円規模の交付金が出せるような制度が設けられたそうです。
税金を投入してでも郵便ネットワークを維持することが現在の方向性なんだとか。合理的な経営にして目指すのは黒字。
正木「配達密度が低い地域では、原則1日1回の配達を減らしてみるなど、現在の状況に応じてどこまでの変化が必要なのかをこれから検討していく段階にあります」
とはいえデジタル技術の発達で、さらに郵便離れは進むはず。車にも乗らずデジタルが使えない高齢者が多い過疎地の郵便事業は負担も大きくなります。
正木「さらに利用者が減るとなるとさらに採算性が悪化。さらにサービスが減ることにもなってしまいます。負の循環の恐れが指摘されています」
配達ではなく通信を担う郵便事業。私たちの生活にも直結する問題です。これからどうなるのでしょうか?
(尾関)
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