中日OB・川上憲伸、高校野球7イニング制導入について考える
2月14日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』は、若狭敬一アナウンサーが元中日ドラゴンズ投手で野球解説者の川上憲伸さんに、高校野球7イニング制導入について尋ねました。2イニング減ると野球はどう変わるのでしょうか?自身の体験も交えて川上さんが考察しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く反対の理由
日本高等学校野球連盟(高野連)が、去年12月の検討会議で2028年春の選抜大会以降、7イニング制を採用することが望ましいと表明しました。
これについて、大阪桐蔭の西谷浩一監督などは「最後の最後まで反対する。そもそも間違っている」などかなり強めに抗議。
また、海外では高校は7イニングが主流なので賛成の意見もあったようです。
若狭「賛否両論渦巻いている中、ズバリ川上憲伸さんの意見は?」
川上「7イニングに反対する理由は2パターンだと思うんですよ」
野球は8、9回の終盤にドラマが起きるので、野球の面白さに注目する人。7イニングだと試合に出してもらえる選手が減るという2パターンだそうです。
西谷監督の真意は?
川上「西谷監督の意見はハッキリわからないんですけど、そういう時、僕は逆を考えるんです」
県立高校などのエースがひとりしかいない大阪桐蔭っぽくないチームは、次の日も負担が残らないので短いイニングの方がいいそうです。
例えばひとりだけのピッチャーで9イニングを投げようと思うと、力をセーブしようとしてミスが起きるそうです。
序盤飛ばさないように注意していたら、意外とそこで失点。
結局、ペースを上げるところまで行けないとか、ピンチを作った故にマックスで投げてしまうなど、全部が狂ってくることがあるそう。
対して大阪桐蔭や智弁和歌山など甲子園の強豪校は全国から部員が集まってきます。
1試合を3イニングずつ3つに区切ったとしてもピッチャーは余裕でいます。3点ぐらい取られても次の回で打ち返せるバッターも十分います。
選手層の薄いチームは勝っている段階で早く終わって欲しいのですが、選手層が厚いチームは負けていても逆転する余力があります。
若狭「消耗戦になった時に、選手層が厚い強豪校の方が必ず勝つようになってるわけですね」
ドラマはいつ起きる?
野球は終盤にドラマが起きるので7イニング制に反対の意見については?
川上「僕は最後の夏の大会の2回戦、8回の裏、ワンアウトまで0対7で負けてました」
1993年の夏。徳島商業対久慈商業。川上さんは徳島商業の四番でエース。
若狭「岩手、久慈商業。見てましたもん」
8回に川上さんのタイムリーもあり同点に。9回の裏でサヨナラ逆転勝利。
川上「何が言いたいかと言うと、選手は残りのイニングに刺激を受けられると思うんですよね」
若狭「ということは9イニングは8~9回にドラマがあるけども、7イニングだったら5~6回にいろんな心理が働いてドラマが生まれる可能性も十分あるということですね」
川上「十分あります」
全力野球に変わる?
2イニング分短くなることで、力をセーブする必要が減り、全力野球に近いことになると予想する川上さん。
川上「中盤までなんとなく来るっていうのがなくなるかもしれないですね。ダメだと思ったら見極めて早く交代とか、最初から全力で行けというのもあるかもしれない」
若狭「川上さんの話を聞いてると、競技としてはそっちの方が魅力的な気がする」
9イニング制の今は、ピッチャーの立ち上がりは自分のペースを掴むまでは抑えつつとか、野手も一回りは様子見のようなところがあります。
また2イニング長いことで、戦術にも余裕があるようです。
川上「僕が試合のプレイボールで1~2点取られてベンチ帰って来ると、コーチとかなんて言ったと思います?」
若狭「なんて言うんですか?」
「まだ初回の2点だから大丈夫」とか「まだ先は長いから焦らず行こう」と声がかかったそうです。
川上「『もう取られちゃダメだぞ、次から全力で行け』って言う人はほとんどいなかったんですよ」
真ん中の記憶がない
ピッチャー心理についても自分の経験を話す川上さん。9イニングだと投げ終わった後、中盤の記憶がないそうです。
川上「僕、ノーヒットノーランしてます。最初と最後のイニングはすごく覚えてます。でも真ん中周辺って何があったっけ?です」
若狭「確かに言われてみると、山井(大介)、岩瀬(仁紀)のあのパーフェクトリレーも、9回の岩瀬さんのスリーアウトって鮮明に覚えてるんですけど、山井さんの途中って正直記憶にないかも」
2007年、日本シリーズ第5戦。山井さんは8回までひとりのランナーも出さない完全試合ペースでした。
9回に抑えの守護神だった岩瀬さんがマウンドへ。3人で抑え、山井さんと岩瀬さんで完全試合を達成しました。
川上「むしろ7イニングだと、ほぼほぼ記憶に残るイニングになる可能性もありますよね」
若狭「1回から濃密なイニングが繰り広げられそうですからね」
川上「ぼんやりした回がなくなる可能性がありますよね」
高校生のためには
川上「なんでも最初は違和感はあると思うんです」
若狭「タイブレークでさえ、最初、ちょっと、ん?って言う人も多かったんですが、これはこれでドラマも生まれるし、違和感なく見られてます」
2020年頃から延長になった時にタイブレーク制の導入が本格的になりました。ランナー一塁・二塁から始めるため時間短縮と緊迫した試合展開が期待できます。
今では高校野球、社会人野球、MLB、WBC、オリンピックなどで導入されています。
川上さんが7イニング制か現状の9イニング制かについて考えているのは試合展開ではなく、高校生のためでした。
川上「高校生の体のことを考えると7イニングも仕方ないと思いますけど、甲子園でなるべく多く選手を使ってあげたいとなったら9回もねっていうところですよね」
若狭「どうなるんでしょう」
高校野球で7イニング制が導入されるのでしょうか?
(尾関)
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