ハザードマップではわからない?都市部に潜む「内水氾濫」のリスク

9月も半ばに差し掛かりましたが秋雨前線が到来し、先週は首都圏や三重県四日市市など各地で局地的な豪雨による被害が発生しました。9月13日放送のCBCラジオ『石塚元章ニュースマン!!』では、気象協会の都築さんが短期的な豪雨の時に発生しやすい災害「内水氾濫」について解説します。聞き手はCBC論説室の石塚元章特別解説委員と加藤愛です。
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停滞する秋雨前線の影響で、ここ数日は各地で記録的短時間大雨情報が発表されたり、局地的に激しい大雨が降るなどの荒天となっています。三連休初日、この日の天気も全国的に下り坂となりました。
都築「避難所を確認したり、ハザードマップをチェックしたことがある人は結構いらっしゃると思います」
石塚「今は結構みんな、ちゃんと確認してるよね」
ハザードマップも、地震や高潮など災害の種類によってさまざまあります。その中でも雨に関するものでは、洪水と内水氾濫という災害が挙げられるのだとか。
都築「洪水はわかるじゃないですか。でも内水氾濫って、それを聞いてピンとくる人って一体どれくらいいるんだろうって思っていて」
石塚「僕は仕事上知っていますが、ご存じない方が多いでしょうね」
洪水はよく知られているように、大雨によって川が氾濫する現象。
一方、内水氾濫とは大雨によって下水道や排水路が排水能力を超えてしまい、道路や建物に雨水があふれ出す現象のことです。
水位≒危険度
都築「紙面でもネットでも、ハザードマップで洪水だけを確認して安心してしまっている人が多いんです」
洪水のハザードマップは1000年に一度級の大雨を想定して作られています。しかし堤防が切れたり川が氾濫することはそうそうないことです。
都築「ただどうしても洪水の方が知名度が高いですし、氾濫した時の水位が5mとか3mとかって書いてあるとインパクトもあるので、注目されやすいんですよね」
内水氾濫ではそれほど水位が上がることはないため、「そんなに大したことないと思われがち」と都築さん。
この頃よく耳にする線状降水帯のように、短い時間で集中的に雨が降る場合は、洪水よりも内水氾濫の方が起こりやすいそうです。
家屋や耕地の浸水はもちろん、停電などインフラ面に与える影響も大きく、知名度以上に憂慮すべき災害なのです。
都市部が危険
そもそも内水氾濫の「内水」とは何のことなのでしょうか?
都築「これは『提内地にある水』のことを指します。堤防を挟んで堤外地は川の方、提内地は我々の生活圏の方。その提内地にある水のことを内水と呼びます」
マンホールを押し上げて水が噴き出したり、側溝から水があふれ出したりといった様子を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
近年の集中豪雨の増加や都市化により、内水氾濫が非常に起こりやすくなっているにもかかわらず「言葉のわかりにくさからあまり浸透していない」と都築さん。
石塚「つまり下水や排水のキャパを超えちゃうってことなんだよね」
川からではなく陸地から雨水があふれ出して浸水するため、住宅地や近隣に川がない地域でも起こりうる水害なのです。
石塚「ハザードマップにも、具体例とか書いてもらった方がわかりやすいのにね」
短時間の雨でも危険
都築「名古屋市のハザードマップは1時間に156ミリの雨を想定して作られているんですが、東海豪雨の時でも名古屋の1時間の最大雨量は97ミリだったんです。
でも三重県四日市市では1時間に120ミリ以上降っています」
近年の集中豪雨は、短時間とはいえ災害級の危険を伴います。「洪水だけでなく内水氾濫にも十分に警戒してほしい」と都築さん。
石塚「この前の東京の雨もすごかったですもんね。内水氾濫、本当に今多いんですよ」
都築「都市はほとんどがアスファルトで覆われてしまっているので、どうしても水が溜まってしまうんですよね」
東京都は1時間に50ミリの雨量があっても大丈夫なように排水機能を変えたそうですが、それでも大雨のたびにどこかで内水氾濫が起こっているように感じます。
近年の気候変動の影響と進む都市化が、新たな災害の脅威を高めています。
(吉村)
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