日本の1円玉はなくなるのか?1セント硬貨が廃止へ

米財務省は最小単位の通貨である1セント硬貨の製造を段階的に中止すると明らかにしました。実は額面の小さな硬貨を廃止する動きはアメリカだけに限らないそうですが、将来日本の1円玉もなくなってしまうのでしょうか?6月4日放送『CBCラジオ #プラス!』ではCBC論説室の石塚元章特別解説委員が、なぜ世界的に少額の硬貨を廃止しようとしているのか解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く1セント硬貨の歴史
100セントで1ドルですので、1セントは日本円で大体1.5円ぐらい。まさに日本の1円玉と同じような感覚です。
最初の1セント硬貨ができたのは1793年(寛政5年)で、なんとまだ江戸時代。
その後何度か大きさやデザイン、素材などが変更され、現在は亜鉛がメインで周りに銅でメッキした物で茶色です。
茶色の硬貨は1セントだけで、他はシルバーのため見分けがつきやすいです。
現在はリンカーン大統領の肖像画が描かれ、1セント硬貨は「ペニー」という愛称で親しまれています。
廃止の理由
世界で少額硬貨廃止の動きが広まっている大きな理由は、何と言ってもキャッシュレス決済が進んでいること。
キャッシュレスが進むと硬貨の流通は減るため、製造の必要がなくなっていきます。
ただ今回、廃止の直接のきっかけとなったのは、トランプ大統領が財務長官へ指示したこと。
以前政府効率化省のリーダーを務めていたイーロン・マスク氏が、SNSの公式アカウントで「1セント硬貨は製造コストが高いのですが、みなさんはどう思いますか?」と問題提起したことで、廃止へと進みました。
1.5円ほどの1セント硬貨を製造するには3.7セントかかる上、最近では銅の値段が上がるなどして製造コストも上昇しています。
そのため製造を止めると年間80億円ほど浮くという試算があり、廃止が実現したようです。
細かい硬貨がなくなったら?
少額硬貨廃止の動きは、アメリカのみならずカナダやオーストラリア、ニュージーランド、ベルギー、ブラジル、フィンランド、フランスなど各国で広まっています。
フランスはユーロで、他のヨーロッパの国ではユーロの100分の1でセントがありますが、フランスでは使用しないことになっているようです。
ただ、細かい硬貨がなくなっても、単位自体がなくなったわけではありません。
キャッシュレスでは細かい単位でも決済ができますが、現金で支払う場合はどうすれば良いのでしょうか?
実は公式のルールでラウンディングというのがあり、つまり数字を丸めることで対応しているそうです。
例えばカナダの場合、1セントや2セントは0として切り捨て。
3~7セントまでは5セントの扱い、8~10セントであれば10セントに切り上げられるそうで、場合によって得したり損したりすることになります。
1円玉も製造が減っている
一方で廃止には慎重論もあり、便乗値上げを警戒する意見もあります。これは消費税率が上がる時に言われることと似ています。
また、細かい硬貨が募金に回されないことで、慈善団体の反対もあるそうです。
日本でも1円玉はあまり製造することはなくなり、今やその年に発行するコインセットのために製造している程度だそうで、現在流通している1円玉でまかなえるようです。
ただ韓国や中国などと比べ、日本ではキャッシュレス決済の比率がまだまだ少ないため、しばらくは1円玉廃止の話は出ないのでは、とまとめた石塚委員でした。
(岡本)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。