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色っぽい仏像?愛知県岡崎市・瀧山寺の聖観音の美しさ

色っぽい仏像?愛知県岡崎市・瀧山寺の聖観音の美しさ

毎週木曜日の『ドラ魂キング』では、パーソナリティの佐藤楠大が仏像に関するトピックを紹介します。5月22日の放送で紹介したのは、愛知県岡崎市にある瀧山寺の宝物殿にある聖観音像。とても奇麗で女らしい仏像の秘密とは?

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観音像の基本型

聖観音は愛知県岡崎市にある瀧山寺の宝物殿で見られます。
仏像は大きく分けて上から如来、菩薩、明王、天部の4つ位に分けられるそうです。聖観音はこの中の菩薩の位。

「観音様」と言われますが、正式には「観世音菩薩」。観世音菩薩を略して観音菩薩とも呼ばれています。
聖観音は観音菩薩の基本的な姿で作られているそうです。

佐藤「シンプルな作りで、お顔は一つ。腕は二本。左手に蓮華の花を持っているのが小観音です」

もともとの観音様からいろんな形に変わっていったのが千手観音であり、如意輪観音だとか。

カリスマ仏師の作

瀧山寺の聖観音は背丈は174センチあり、作られたのは1200年も前のこと。
宝物殿では、中央に聖観音。左右に梵天と帝釈天という脇侍がいて、三体を同時に見ることができるそうです。

聖観音は鎌倉時代のカリスマ仏師、運慶が作った仏像。運慶は、同じ慶派の仏師・快慶と共に東大寺南大門の金剛力士像を作ったことで知られ、運慶・快慶と二人の名前を並べて聞くこともあります。

佐藤「運慶と、その息子湛慶によって作られた仏像がこの小観音です。この時点でレアなんです」

運慶は、作った作品全てが国宝か重要文化財に指定されているそうです。

リアルを追求

運慶の作品の特徴は、今にも動き出しそうなリアリティーがあると言われます。
聖観音も肉体表現が非常にリアルで、瀧山寺の宝物殿では、かなりの近距離で後ろも回って360度見ることができるそうです。

佐藤「私が見て思ったのは女性らしい体つき。背中から見た時の脇の辺りの膨らみや、胸元の膨らみが女性らしさを表現しているんだなあって思いました」

聖観音は、右足を少し前に出した歩き出しそうなポーズをしているそうです。その時の衣服にできる皺も緻密に再現されているとか。

最先端のファンデーション

佐藤「最初見た時に、真っ白だなと思ったんですよ」

仏像は基本的にお寺の中の暗いところに安置するため、光が当たることを考えて作られてないんだそうです。

佐藤「でも、これは光をパーンと当てても艶やかで美しいんです」

これは800年前の当時の最先端のファンデーションが塗られているため。

このファンデーションは貝殻をすり潰して水に溶かし、浮いて来た細かい粒子だけを掬って作られているんだそうです。

佐藤「生で見ると、こんなに真っ白で奇麗な仏像さんがいるんだなと感じることができます」

本当にあった

佐藤「こんなにこだわった作品だったのに注目されたのは、つい最近、昭和に入ってからなんです」

鎌倉時代初期、当時の住職、源頼朝の従兄弟に当たる寛伝上人が頼朝の追善供養のために、このお寺を改めて復興させたそうです。

瀧山寺の歴史を標した瀧山寺縁起によると、頼朝の三回忌に当たる1201年に作られたのが聖観音像で、大きさは頼朝の等身大なんだとか。

作られてからは何度も装飾や色が加えられ、歴史的価値が疑問視されていたそうですが、像の中には頼朝の髭と歯が納められたという記述があり、これを検証するために、昭和に入り、レントゲン撮影を敢行。

すると、像の顔の部分に、髭と歯を入れたと考えられる小さな紙包みと針金を確認。

佐藤「そのX線写真が宝物殿にありました。だからレアですよ。まさか愛知県岡崎市に、神奈川県の鎌倉の源頼朝と所縁のあるお寺があって、頼朝のDNAがあるなんて本当に驚きでした」

宝物殿にはフランクに何でも答えてくれる館長がいるそうです。皆さんも愛知県岡崎市の瀧山寺へぜひ足を運んではいかがでしょうか。 
(尾関)
 

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