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アメリカとロシアが和平交渉、ウクライナの反発と国際社会の懸念

アメリカとロシアが和平交渉、ウクライナの反発と国際社会の懸念

アメリカとロシアの高官による和平交渉が数日以内に開催される見通しとなりました。アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は12日に電話会談を行ない、ロシアとウクライナの戦争終結に向けた和平交渉の開始で合意。この交渉を経て、早ければ今月下旬にも首脳会談が実現する可能性が出てきました。2月17日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、この動きの背景と今後の展開について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が詳しく解説しました。

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蚊帳の外の当事者

現時点では、ウクライナはこの高官協議に参加する予定はないとされています。これに対しゼレンスキー大統領は、「ウクライナが関与せずに作られた和平案は受け入れられない」と強く反発しています。

ヨーロッパはウクライナの近隣に位置し、多くの国がNATOやEUに加盟する立場からこれまでウクライナを支援してきました。アメリカもバイデン政権下ではヨーロッパと協調してウクライナ支援を行なってきましたが、今回の動きはその考え方からの転換を示しています。

このような状況にウクライナが不満を抱くのは当然とされる中、ヨーロッパ各国も主要な協議から排除されることへの懸念を示しています。

和平交渉のテーブルにヨーロッパが参加するかどうかは明確になっておらず、一部の国からは「ウクライナの未来とヨーロッパの安全保障に関する議論から、ヨーロッパを排除することはあり得ない」との主張も出ています。

ウクライナ支援の足並みに乱れ

ヨーロッパ内では、当初ウクライナを支援する姿勢で団結していましたが、徐々に変化が表れ始めています。

ドイツやフランスなどの極右政党、またハンガリー政府からは、ウクライナ支援疲れや、プーチン大統領への強硬姿勢を見直すべきとの意見が出始めています。これらの政党が選挙で勢力を増しており、ヨーロッパ内での意見の相違が鮮明になってきました。

このようなアメリカとヨーロッパの間に生じた意見の隔たりは、ロシアのプーチン大統領にとって追い風となる可能性があります。特に、アメリカの大統領がトランプ氏に変わったことは、ロシアにとって重要な要素とされています。

強権リーダー同士の共通点

バイデン氏やハリス氏と比較して、トランプ大統領の方がロシアにとって好ましい存在と見られており、トランプ大統領とプーチン大統領は、強権的なリーダーシップという点で共通するキャラクターを持つと指摘されています。

過去には、トランプ氏が最初に大統領選に立候補した際、インターネット上で不確かな情報が拡散され、トランプ氏に有利になるよう情報操作が行なわれたと指摘されました。この背景には、当時のロシア、プーチン大統領の関与があったのではないかという見方もあります。

「力による現状変更」の懸念広がる

ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議で、岩屋毅外務大臣は「停戦交渉がロシアの勝利という形で終われば、中国を含む世界中に誤ったメッセージを送ることになる」と警鐘を鳴らしました。

これは、「力による現状変更を認めることにつながりかねない」という意味であり、その結果、中国が台湾などに対して軍事的圧力を強める可能性も示唆しています。

今回の交渉の行方は、今後の国際社会に大きな影響を与えると考えられます。もし国際社会が力による現状変更を許容すれば、他国も同様の行動を正当化する恐れがあります。

アメリカの仲介に疑問の声も

また、トランプ大統領は必ずしも軍事力による介入を主張しているわけではありませんが、グリーンランドの買収やパナマ運河の奪還を主張していることから、アメリカが仲介役を務める妥当性が問われる可能性もあります。

アメリカとロシアの高官協議が数日以内に開催され、早ければ今月下旬には両国の首脳会談が行なわれる見通しです。今後、どのような話し合いが行なわれるのか注目されます。
(minto)
 

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