パリ協定離脱、EV撤退。トランプ大統領就任の影響はどこまで?
アメリカの第47代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任しました。トランプ大統領は就任後すぐにさまざまな大統領令に署名し、バイデン前政権からの大幅な方針転換を行なっていることで注目を集めています。1月21日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』でも、この話題について触れました。外交関係を築くにあたって日本にも大きく関わってくるアメリカの今後について、つボイノリオと小高直子アナウンサーが意見を交わします。
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共同通信によると、アメリカのトランプ大統領は20日、気候変動対策の国際枠組みであるパリ協定を離脱すると表明しました。離脱は第一次政権に次いで2回目です。
また、トランプ大統領は就任演説で「アメリカは領土を拡大し、新たな地平線にアメリカの旗を掲げる」と主張。そして太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の管理権を取り戻すと宣言し、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改称するともしました。
さらに連邦政府が認める性別は男性と女性だけだと述べ、バイデン前大統領が進めた多様性、公平性、包括性に関する政策を終わらせるとしました。
またバイデン前政権が進めたEV(電気自動車)の普及策を覆すと述べるなど、国民にとっても大きな影響を与るような大幅な政策転換を考えているようです。
国際社会にも大きな影響
小高「パリ協定の中で気候変動対策としての目標みたいなものをいろいろと作ってますけど、その達成はただでさえ難しそうな状況なんですよね。
これから何とか巻き返さなきゃいけないという話になっている中、アメリカが脱退したことで、目標からはさらに大きく後退することになるでしょうね」
トランプ大統領はパリ協定に関して「アメリカの製造業を制約する不公平な協定だ」として、石油などの採掘を進める考えを表明しています。各国は温暖化対策への遅れに懸念を抱きつつも、引き続き方向性を変えず尽力する構えのようです。
小高「トランプ大統領は多様性という話に関しても随分と後ろ向きで、また後退させようとしているようですね」
つボイ「性別は男性と女性だけだ、なんて言ってましたね」
トランプ政権は多様性に関する研修やプログラムを見直し、場合によっては終了させる計画とのこと。公民権や人権擁護団体は、トランプ大統領の政策に異議を唱えると表明しているようです。
日本でも価値観の変化を感じる性別の多様化。アメリカのこうした動きが、我々にも影響を与えることになるのでしょうか。
自動車業界では
小高「あとは電気自動車の普及を覆す、なんて話もありましたけど」
トランプ大統領は就任前から、電気エネルギーよりもビジネスとして大きな利益をもたらす原油、石油エネルギーを推し進めるべきであると主張していました。
つボイ「ただEVが普及するのかどうかって結局商売のことですから、もちろん環境問題でもありますけど。
でも自由主義経済と言いますか、買う人は買うだろうし買わん人は買わんだろうし。こういった指導的な立場の発言って必要なんかな?」
小高「自動車の普及には、インフラ整備がものすごく大切になってきますから。インフラを整えるには国家というものが随分関わってくるのでね。
そこに対して前向きな政府なのか後ろ向きな政府なのかは、自動車業界にとっては非常に大きな問題ですよね。企業の動き方そのものが変わってくることだと思います」
国からの援助の有無
つボイ「でもインフラって、つまり施設の管理者が充電設備を作るかどうかって話でしょ?うちのマンションにもあるし」
小高「例えば国家が推していれば、充電設備を作りたい自治体や企業に対して補助金出しますよって話になる可能性もある」
トランプ大統領は自動車充電ステーション向けの政府資金拠出を停止するとした上で、EV税額控除の終了も検討しているとのこと。アメリカにおけるEVの衰退は明らかです。
物事の普及にはやはり大きな後ろ盾が必要であることを感じます。
小高「車の燃料って別に電気や従来のガソリンだけじゃないし、新しいいろんな技術っていうのもどんどん開発されてますから、今後トランプさんがそのあたりのバランスをどう取っていくのかっていうところでしょうね」
つボイ「さまざまな立場の方が新しい大統領の就任によって影響を受けていますね」
新政権の及ぼす影響は、アメリカにどのような未来をもたらすのでしょうか。
そして今後、私たち日本はどんな影響を受けるのでしょうか。アメリカ新大統領の動向から目が離せません。
(吉村)