特効薬が不足!インフルエンザ感染者が過去最多
インフルエンザの流行が止まりません。愛知県でも過去最多の感染者数となり、医療現場では薬不足の声も上がっています。インフルエンザの薬不足の原因は何なのでしょうか?1月18日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーがインフルエンザによる薬不足について解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く医療現場ではタミフルなどが不足
厚生労働省の発表によると、昨年末の1週間で報告されたインフルエンザ患者数は31万7812人。
現在の統計水準となった1999年4月以降、最多となりました。
医療現場では抗インフルエンザ薬「タミフル」などの薬不足の声も上がっています。
大石「本当、流行していますよね。愛知県でも昨年末、過去最多の感染者数となりました」
実は年始はやや減少傾向となりましたが、この減少は年始休みによるもので、医療機関ではこのピークアウトが一時的なものと考え、年明けに感染が広がる見立てもありました。
大石「今はまだA型なんです。ただ昨年は年明け以降、A型減ってきてB型が増えた。A型以上に(B型の)感染者多かったんですよね」
A型は高熱・頭痛・倦怠感などが主な症状。B型になると、これらの症状に下痢や嘔吐が加わります。
薬価引き下げが不足の原因に
医療現場では、特にタミフルやゾフルーザなど、抗インフルエンザ薬の不足が深刻なようです。
大石が取材した名古屋市内の薬局には病に応じて1500種類の薬がありますが、風邪薬の棚は「入手困難」の札が立っていたとのこと。
大石「それだけ少ないんだな、と。なんで薬が足りないのか?」
表向きに言われているのは、インフルエンザの患者数が前倒しで増えていて、供給が追いつかないという理由。
しかし真の原因は別にあると大石は指摘します。
実は「製薬会社があまり薬を作っていないこと」が原因だそうです。
国が決めている「薬価」ですが、医療費削減のために現在安くなっています。
薬価も市場価格に左右され、価格競争があるためです。
すると製薬会社が利益を上げようと、薬の製造を抑えるわけです。
大石「薬価が下がると、企業体力がなくなり、薬を作る余力がなくなる。薬を作れなくなっている製薬会社も多い」
薬の供給が追いつかない恐れ
大石「大変なんですって。作るのに莫大な投資が必要」
数百億円の投資がかかるうえ、1種類の薬の開発に通常、10-15年くらいかかります。
販売によって回収できないと、企業としては当然成り立たなくなります。
最近よく聞く「ジェネリック医薬品」という言葉。
新薬に付きものの特許ですが、20-25年の特許期間が切れると販売される医薬品です。
やはり事前の設備投資が必要なため、利益を生まないと赤字になってしまいます。
大石「今は薬価が安いので、これまでの投資分を回収できなくなっている」
このようにジェネリック医薬品さえ作れないのが現状のようです。
このまま状況は改善しないのでしょうか?
薬学の専門家に意見を仰ぐと、「おそらくは改善しない。急に感染者が増えると対応できない」とのこと。
大石「平時なら問題ないが、有事になると薬の供給が追いつかない現象も今後は出てくる」
となると、災害が今後起きた場合、薬の供給は大丈夫なのでしょうか?
「薬の自給自足」は後々大変な問題になるのではないか、と危惧する大石。
現在はインフルエンザだけでなく、コロナや感染性胃腸炎も増えているようです。
うがい・手洗いをしっかり行ってください、と呼びかける大石でした。
(nachtm)