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『シン・ゴジラ』で話題。意外と身近な「立体商標」とは?

『シン・ゴジラ』で話題。意外と身近な「立体商標」とは?

2016年公開の映画『シン・ゴジラ』(脚本・総監督庵野秀明、樋口真嗣監督)に登場するゴジラ「第四形態」について、知財高裁は「立体商標」と認めなかった特許庁の審決を取り消し、作品製作・配給元である東宝の主張を認めました。「立体商標」とは、「この形と言えばこれ!」と、一般的に広く認知されている立体物に対して認められている特許です。11月9日放送のCBCラジオ『石塚元章ニュースマン!!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が「立体商標」の身近な例を出して解説します。(画像は『シン・ゴジラ』「ゴジラ第四形態」フィギュアの一例)

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特許を勝ち取った東宝

製作・配給元の「東宝」は2020年9月、映画『シン・ゴジラ』に登場するゴジラの「第四形態」の形状を、フィギュア開発などに活用する目的で「立体商標」として出願しました。

しかし特許庁は「ゴジラの形状は、恐竜や一般的な怪獣の一類型に過ぎない」として、これを拒否。
この対応を不服とした東宝は、審決の取り消しを求めて提訴していました。

それに対し知的財産高等裁判所は「ゴジラ第四形態の形状は消費者に広く認識されており、他のものと区別できる」として、東宝側の主張を認める判決を出したのです。

固有名詞をイメージできるかどうか

そもそも「立体商標」とは具体的にどういったものなのでしょうか?

よく耳にする「商標登録」というと、商品やマーク、デザインなどがイメージされる方も多いでしょう。
一方「立体商標」とは、立体的な形状そのものにも商標権の登録を認めてほしいという考えの元で生まれた特許です。

その形状に商品やキャラクターを識別する機能があると判断されれば、商標として登録できるようです。
しかし「立体商標」の登録は簡単ではありません。

消費者がその形状に対して間違いなく「これだ!」という認識を抱くようになるためには、長い年月と企業への信頼が必要不可欠なのです。

近年では大手企業の出願申請が増えており、実はわたしたちの生活の身近なところにも立体商標登録されたものがあります。

長年親しまれた形

例えばヤクルトの容器。乳酸菌飲料といえば誰もがあれを思い浮かべる、なじみ深い形状ですが、立体商標登録されています。

どちらの派閥かでたびたび論争が起こる明治の人気チョコスナック「きのこの山」と「たけのこの里」の形も立体商標です。
あのお菓子の形状を真似た商品を売り出すことは出来ないわけです。

またキャラクターには今回話題となったゴジラと同様に商標登録されているものもいくつかあります。

不二家の「ペコちゃん」「ポコちゃん」や、ケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース」もそのうちの一つです。
どれも昔からみんなに愛されてきたキャラクターたちです。

その形を見れば誰でもイメージすることができる。
そういった識別力は、長年親しまれたからこそ培われてきたのでしょう。

誕生40周年のG-SHOCK

石塚「立体商標に関連して、こんな興味深い話があります」

こう話し始めたのは、カシオ計算機が販売する腕時計のブランド「G-SHOCK」。
G-SHOCK初代モデルの文字盤は独特な8角形で形どられていますが、これも「立体商標」に登録されています。

しかし当初特許庁は「よくある時計の形」として認めませんでした。
そこでカシオは独自調査をすることにしたのです。

対象は16歳以上の男女。
文字もロゴも入っていない形だけを提示し、「これを見て思い浮かべるブランドは何ですか?」とアンケートを取ったそうです。

結果は6割以上が「カシオ」「G-SHOCK」と回答。
カシオがこのアンケート結果を裁判所へ提出したところ、「立体商標」に認められたとのことです。

腕時計として文字やロゴなしの形状で、国内で立体商標登録されたのは初めてのことです。
「G-SHOCK」が長く愛されてきたことがうかがえるエピソードでした。

あまり耳馴染みのない「立体商標」、実は私たちの身近に多数存在します。
あの容器やこのキャラクター、調べてみるとまだまだあるかもしれません。
(吉村)
 

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