中日ドラフト1位ルーキー・草加勝投手に受け継がれる「青い血」
8月17日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、「ドラフト1位ルーキーに流れる青い血」と題して、中日ドラゴンズの草加勝投手について若狭敬一アナウンサーが紹介しました。右肘のトミー・ジョン手術を受けて現在リハビリ中の草加投手、どのようなエピソードがあるのでしょう?
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草加勝投手は2001年11月21日生まれの22歳。若狭アナと同じく岡山県出身で、創志学園高から亜細亜大学へ進学しました。
亜細亜大学も所属している東都リーグ(東都大学野球連盟)では、3年秋に敢闘賞を受賞。
2023年のドラフト会議で1回目の1位指名で度会隆輝選手を外した中日ドラゴンズから指名を受け、いわゆる外れ1位で入団した右腕です。
しかし、プロ1年目の今年はトミー・ジョン手術からのスタートになってしまいました。
手術を決断した言葉
今年の1月、草加投手はナゴヤ球場での新人合同自主トレ中に右肘内側側副靭帯損傷と診断されました。
当初は復帰が早いと言われている保存療法で復帰を目指そうとしましたが、結局トミー・ジョン手術を受けることになりました。
2月1日に手術は終わり、現在リハビリの真っ最中です。
トミー・ジョン手術を受けると1年から1年半ほど投げられません。
それでも治療に踏み切ったのは、立浪和義監督から次のような言葉があったからだそうです。
「この先のことを考えるとトミー・ジョン手術をして、長く活躍できるようにして欲しい。手術は早いに越したことはない」
心の支えになる言葉
2月上旬、草加投手は歩くことしかできないにもかかわらず、沖縄の読谷キャンプに臨みます。
散歩中、落合英二コーチからはこんな言葉をかけられたそうです。
「お前はまだスタートラインに立っていない。でも、いつかスタートラインに立った時は『俺が一番』だと思って投げろ。その気持ちを忘れるな」
草加投手にとって、この言葉は大きな支えになっているそうです。
奇跡の先輩
ちなみに落合コーチは日本大学出身で、草加投手と同じ東都リーグで投げていました。
外れ1位で中日に入団し、プロ1年目には、右肘を骨折しサファイアを入れる大手術をしており、草加投手と非常に似た境遇です。
草加投手は落合コーチの言葉に「こんなに全てが同じ先輩が、同じチームにいるのは奇跡。全ての言葉が染み込んできました」と感銘を受けたそう。
実は落合コーチが草加投手にかけた言葉は、落合コーチ自身がある人から送られてたものでした。
それが今は亡き稲葉光雄さん。1971年から1976年にかけて中日で活躍した投手です。
稲葉さんが1年目の落合さんに会った時にかけた言葉がこれだったそうです。
若狭「稲葉さん、落合コーチ、草加投手へと、この言葉は受け継がれているんですね」
ブレーキになった言葉
まず歩行からリハビリを開始した草加投手ですが、右肘に負担をかけない投球フォームを考え、いろんな人に意見を聞いたそうです。
すると梅津晃大投手からかけられたのがこんな言葉。
「ちょっと焦り過ぎてないか?投球フォームはボールがきちんと投げられるようになってからでいい。しっかり治して、指先を含めた投げる感覚を取り戻してからにしよう」
優しくブレーキを踏んだ梅津投手。焦って過剰にリハビリをすると、かえって手術した個所を悪化させることもあります。
「この言葉で目が覚めました。全ての感覚が戻ってからフォーム修正に取り組もうと思いました」と草加投手。
投球のヒントとなる言葉
草加投手が理想のフォームとしたのは、二軍の岡田俊哉投手だそうです。
焦る気持ちは抑えつつ、岡田投手が投げる時に意識していることを尋ねたところ、「グラブをはめている手と投げる手を、最終的にスパッと入れ替えるイメージで投げている」との返答。
これは岡田投手の言葉と思いきや、そうではありませんでした。
これを岡田投手にアドバイスしていたのはあの岩瀬仁紀さんだったそうです。
通算1002試合。407セーブの守護神が、まだ一軍デビューもしていない頃の岡田投手に伝えた言葉だったそうです。
若狭「草加勝投手はこのチームに入ったからこそ、心の支えとなる言葉、復活のカギとなる技術を与えられたんですね。長いドラゴンズの歴史、青い血は今の選手にしっかりと受け継がれています」
(尾関)