名古屋弁の芝居の先駆者…山田昌さんに多くの悼む声
名古屋弁での演技で広く知られた俳優・山田昌さんが16日に94歳で亡くなられました。愛知県常滑市生まれで、NHK連続テレビ小説『おしん』や大河ドラマ『真田丸』など多くのドラマや舞台に出演。地元の名古屋で放送されている『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)では、6月18日の放送で多くのおたよりを紹介しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く多くのドラマに出演
番組宛てには思い出のテレビCMやドラマに関するおたよりが、たくさん届きました。
「山田昌さんの印象は、名古屋弁で鎌倉ハムの『まぁ1本、まぁ1本』のCMが面白かったですね。ご冥福をお祈りいたします」(Aさん)
「私の中では大河ドラマ『真田丸』。何人も『なか(豊臣秀吉の母)』を演じた役者さんがいらっしゃいますが、やっぱり昌さんのコテコテの名古屋弁とその人柄と役柄がピッタリで、唸るほどの名演技だったです」(Bさん)
また、かつて名古屋のイメージを全国に広めたのが、『名古屋嫁入り物語』(フジテレビ系)というドラマシリーズでした。
「『名古屋嫁入り物語』好きでした。お父さん役が植木等さん、お母さん役が山田さん。
娘役はかとうかずこさん、斉藤慶子さん、川島なお美さんなど豪華な女優さんが演じておりました。
お母さん役の山田さんが、お嫁に行く娘に通帳を何冊か渡すシーンが好きでした。
ストレートに渡すのではなく、靴下の下からとか服の下からとか。母親ってすごいなと思いながらドラマを観ていた記憶がありました」(Cさん)
おしどり夫婦としても有名
「アマチン」の愛称で親しまれ、昨年11月に亡くなられた夫の天野鎮雄さんとは、おしどり夫婦としても知られていました。
「『天ちんの土曜サロン 人間こんさーと』(東海テレビ)という対談番組で、当時売れ出したルー大柴さんがゲストの回。
何かにつけて『あなたが今いるのは、奥さんのおかげなんだからね』とおちょくっていたのを、アマチンさんは『ええ、その通りです』と照れながら答えていたので、『夫婦仲が良いんだな』と思って、うらやましかったです」(Dさん)
ルーさんがお二方のことをどこまでご存じかわかりませんが、つボイは「言ってることは本当」と語りました。
つボイ「アマチンさんがまだ役者で苦労している時に、山田昌さんは立派に地位を確立されていて、一家の大黒柱的な存在でずっとやっておられた。
その後にアマチンさんは『ミッドナイト東海』(東海ラジオ)とかバーンと弾けて、対等というんですかね。それまで山田昌さんがいろんな面倒を見ていたというのは、まさに本当のことだと思います」
名古屋弁での演技の難しさ
ここで、関西出身で現在は東海地区のアナウンサーである小高直子は、山田さんが役柄上で話される名古屋弁について語りました。
小高「ネイティブの言葉を駆使する役者さんって結構難しくて、演じるとネイティブな役者さんは自分ができるだけにどんどん誇張していっちゃう。
観てると『いや、そこまでは普段は言わないけど、(関西が舞台の場合)まあ関西弁らしい関西弁しゃべってんな』って感じになるんですけど、本当に自然な演技って難しい。
昌さんはとてもネイティブ、普段どおりの。でもすごく役者として演じて。『ドラマのキャラクターを確立してるなあ』って」
つボイ「小高さんの言われた通りで、普段しゃべってる言葉を演劇的なものまで昇華しようと思うとなかなか難しい。
ただ、関西弁は関西の映画とか漫才とか、わりと演じるお手本がたくさんあるんですが、名古屋弁のお手本ってあんまりなかったんですよ。
そこを山田昌さんは、舞台上でしゃべった名古屋弁はこうやると聞きやすいし、他の地方の人にも『あっ、名古屋弁やな』っていうふうになってくる。そういったことを確立した人やと思います」
小高「すごく名古屋弁を強調した、『そんな普段は言わないでしょ』っていう面白さの演技の時もあれば、本当に名古屋弁のお母さんとかおばあさんとかの役柄を演じる時は、本当に自然で優しい名古屋弁で」
最後につボイはあらためて山田さんの印象について、「歳を経た優しい人のイメージみたいな顔も、非常にみんなに親しまれたという感じがいたしました」と語りました。
(岡本)