糖度バクダン!?約40年の時を経て復活した“幻のメロン”とは
夏本番!今が旬のフルーツといえばやはりメロン!いまやほとんど栽培されていないという希少メロンを渥美半島で発見しました。“糖度バクダン”と言われるほど甘く、香り高いそのメロンは栽培を始めてまだ3年目。実は、栽培の難しさから誰もが作るのを諦めた中で約40年ぶりに復活した“幻のメロン”でした。
高級アルコールのような味わい成分 糖度抜群で果肉もっちりメロン
愛知県の渥美半島にある田原市で、石井芳典さん(38歳)が栽培しているのは、希少や幻と言われる「古田(こだ)メロン」です。
「古田メロン」の大きさは大人の男性の手よりも小さく、一般的なメロンよりも二回りほど小ぶりです。
(石井芳典さん)
「(古田メロンは)非常に果肉がもっちりした中に、高級アルコールのような味わいの成分が含まれている。それが糖度とあいまっておいしい」
実際に、果肉がやわらかいという「古田メロン」をカットしてみると、あっという間に芳醇な甘い香りが漂います。この香りも「古田メロン」の特徴のひとつ。蜜のように濃縮された糖分が果実に入り込んでいるとのことです。
「古田メロン」は品種改良されていない純系のメロン。しかし、約40年前に「古田メロン」は姿を消してしまいます。
当時は田原市の高松で作られていたことから「高松メロン」と呼ばれ、このあたりでも多く栽培されていたそうです。
それを3年ほど前、石井さんが復活させ栽培しています。
大量生産は困難…収穫間際に木が“立ち枯れ” する問題が
「古田メロン」はとてもおいしいのに大量に生産できません。実は、収穫間際に木が“立ち枯れ”するという問題がありました。
2022年は4000本の苗木を植えたのですが、すでにその半分の約2000本がダメになっているそうです。
(石井芳典さん)
「土の中にいる病原体や湿気(が原因)。2000本という数字が、1900、1800…(と少なくなる)最後どこまで持ちこたえるか」
“希少”や“幻”と言われるのは、栽培する農家がなく収穫できるメロンの計算ができないためでした。そんな難しい中でも、石井さんがメロン作りを始めたのは、父親の言葉がきっかけでした。
(石井芳典さん)
「父親が高松メロンを食べたことがあって、夏になると思い出したように毎年『うまかったな』と言っているのを思い出して、食べてみたいと思ったのが始まり」
そして、「高松メロン」のタネを探していたところ、古田町でタネを守っている農家を発見し譲ってもらいました。
古田町にタネが残っていたことから「古田メロン」と名付け、苗木を作り、本格的な「古田メロン」作りが始まりました。
栽培の難しさを知る、農家一筋の父親の忠秀さんは、
(父親・忠秀さん)
「『病気が出るからやめたほうがいいぞ』とは言った」
それでも石井さんの決心は固く、栽培に使用しているビニールハウスのひとつをメロン専用にしました。メロン作りに真剣に取り組む姿から気持ちが伝わり、今では忠秀さんも応援しています。
“幻のメロン”がたっぷり入った贅沢ケーキを期間限定で販売
豊川市にある人気のケーキ店「パティスリーモネ」では、期間限定で「古田メロン」のケーキを食べることができます。
(パティスリーモネ・廣田佳宜店主)
「『まるごとメロンちゃん』というケーキで、2021年は200個完売です」
「古田メロン」を半分にカットして、タネを取り、スポンジを詰め込み、生クリームとカスタードクリームで仕上げます。2022年も7月から販売する予定です。
(妻・廣田靖子さん)
「娘がメロンを昔から食べられなかったのに、こんなおいしいメロンに出会ったのは初めてだと言っている。古田メロンだけは食べる。メロンが好きになった」
廣田夫妻の娘さんは、「古田メロン」だけは食べられようになったそうです。
約40年ぶりに復活した、メロン嫌いも好きになるという幻の「古田メロン」。その美味しさは確実に広まりつつあります。
CBCテレビ「チャント!」7月1日の放送より