100年目を迎えた「国勢調査」も新型コロナで大きく様変わり
【CBCテレビ チャント!論説室コーナー】
※9月28日放送の『チャント!』~暮らしに役立つ!ニュース用語講座~に基づく原稿内容です
5年に1度の国勢調査が、2020年10月1日に実施されます。「国勢調査」をキーワードに、100年目を迎えた調査の歴史と新型コロナの影響などについてご紹介します。
5年に1度の統計調査
国勢調査は、日本国内に住む人の数や世帯の数、そして職業などの現状を調べるもので、
5年に1度行われます。最も重要な統計調査です。10月1日から7日まで調査票によって実施されますが、インターネットでは9月14日から、すでに回答することが可能です。国勢調査には「大規模調査」と「簡易調査」の2種類あり、西暦の末尾が「0」の年は「大規模調査」、今回2020年はそれに該当するため、調査項目も前回より2項目増えた19項目です。
時刻表にも大きな影響?
国勢調査の結果は、様々なことに利用されます。国の人口を把握するという大切な目的の他、将来への最重要課題である人口減少社会に対応するため、将来への少子高齢化対策を考えるデータにもなります。来年2021年までには行われる衆議院総選挙の今後の区割り、命を守る防災計画を策定する基礎データ、さらに民間など交通機関が作る時刻表や商店街の出店計画の参考にもなるなど、調査結果は私たちの身近な生活に関係するところまで幅広く活用されます。
100年前の歴史をたどる
国勢調査は今回21回目ですが、100年という大きな節目を迎えました。
1920年(大正9年)に調査が始まった時の合い言葉は「これで文明国の仲間入り」。
100年前の10月1日、町には祝砲が轟いたり、お寺などでは鐘や太鼓が鳴らされたり、
日本国中が調査の開始を祝うムードに包まれたと当時の様子が記録されています。
100年前の調査結果を見ると、例えば都道府県の人口の第3位に北海道が入っていたり、職業ランキングのトップが「農業」だったり、その時代を彷彿させます。
ちなみに、国勢調査の実施を「10月1日」に決めた理由も、農作業がひと段落している時期だったそうで、農業を職業とする人が全体の51.6%を占めていたという結果にも納得できます。
新型コロナの影響は大きく
ところで、新型コロナウイルスの感染拡大は、100年目を迎えた国勢調査にも大きく影響しています。調査票の配布や説明をする調査員も70万人の募集に対し、61万人しか集まりませんでした。対面でのやり取りに抵抗があったようです。こうした状況も踏まえて、これまで原則、直接会って手渡ししていた調査票も、インターホン越しの会話の上で郵便受けに入れることも認められました。また調査員が回収してきた調査票についても郵送またはインターネットでの回答を推奨するなど、新型コロナ禍の中で初めて“人と接触しない調査”が進んでいます。
暮らしのためにも調査に回答を!
5年に1度の大切な調査である国勢調査ですが、前回2015年の回収率は86.9%と過去最低でした。新型コロナによって新たなハードルが持ち上がった今回の調査ですが、10月7日の期限までにきちんと回答することが求められています。統計法では、回答しない場合などの50万円以下の罰金などが定められていますが、罰則とは関係なく、私たち自身の暮らしのためにも、インターネットを積極的に活用するなどして、きちんと回答したいものです。
【チャント!「暮らしに役立つ!ニュース用語講座」より by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】