その胸焼け・胃もたれ危険…「逆流性食道炎」がんリスクも!その原因や最新治療法とは?
サマリーSummary
ドクター:東京医科大学病院 内視鏡センター 部長 主任教授 医学博士 河合隆
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東京医科大学病院 内視鏡センター 部長 主任教授 医学博士 河合隆先生です。
今回のテーマは「〜その胸焼け・胃もたれが危険〜本当は怖い!逆流性食道炎」
年末年始に飲み過ぎたり、食べ過ぎたりしませんでしたか?そこで注意すべきが「逆流性食道炎」。逆流性食道炎とは、胃の中の胃酸などが食道に逆流して炎症を起こしてしまう病。現在では日本人の3人に1人が逆流性食道炎になっているといわれているそうですが、放っておくと「がん」につながるリスクもあるのだとか。そこで今回は、逆流性食道炎の意外な原因や最新の治療法などを専門医に教えてもらいました。
逆流性食道炎の基礎知識
<逆流性食道炎ってどんな病気?>
逆流性食道炎とは、胃の中の胃酸などが食道に逆流して炎症を起こしてしまう病。食道と胃の境には「下部食道括約筋」という筋肉があります。通常は締まっているこの筋肉が、年齢などのさまざまな原因によってちょっとずつ緩むと胃酸が上がってしまうそうです。
<逆流性食道炎の症状は?>
逆流性食道炎の主な症状には、「胸焼け」「胃もたれ」「お腹の張り」「呑酸(どんさん)」(口腔内へ胃酸が逆流し苦味や酸味を感じたり、げっぷが出る事)などがあるそうです。
<胃酸の逆流が口内炎やがんの原因にも!?>
胃には胃酸から守るバリアがありますが、食道にはバリアがないので胃酸が上がると、痛んで炎症を起こしてしまうそうです。逆流した胃酸が食道を通り、口元まで上がる事で口腔内が炎症を起こして「口内炎」の原因になる事もあるのだとか。他にも、胃酸が咽頭に入ると「咽頭炎」が生じたり、そこから「中耳炎」につながったりする事もあるそうです。また、逆流性食道炎を放置すると、炎症が食道がんを引き起こすリスクもあるため注意が必要だそうです。
日常に潜む逆流性食道炎の意外な原因
<原因(1)辛い物の食べ過ぎ>
辛い食べ物は、胃を刺激して胃酸を過剰に分泌させるため逆流性食道炎の原因につながるそうです。辛い物が好きな方は毎日食べるのではなく、適度な量に抑えて食べましょう。
<原因(2)食後すぐに歌う>
食後すぐに歌うと、お腹に力が入り腹圧が上がるため胃酸が逆流する危険があるそうです。
<原因(3)右側を下にして寝る>
胃の構造は、身体の左側が膨らんでいます。そのため、右側を下にして寝てしまうと胃液が食道との境に流れ込み、逆流しやすくなるそうです。
<原因(4)猫背>
前屈みの姿勢は、腹部を圧迫してしまい胃酸が逆流しやすいそうです。そのため、長時間のデスクワークなどをする際は、なるべく同じ姿勢を続けず、こまめにストレッチをする事が大切だそうです。
<原因(5)お腹を締め付ける服装>
お腹をベルトなどでキツく締め付けると、腹圧がかかってしまい胃酸が逆流する原因になるそうです。そのため、逆流性食道炎の方はなるべくお腹を締め付けない服装を意識しましょう。
<他にもある!逆流性食道炎になりやすい行動一覧>
・肥満傾向がある
・食べてすぐ運動
・ストレスの多い生活を送っている
・食べてすぐ入浴
・暴飲暴食
<ピロリ菌の除去が逆流性食道炎の原因になる事も!?>
ピロリ菌とは、胃の壁を傷つけ、胃酸の分泌を低下させてしまう細菌。胃がんの原因になるとも言われています。ピロリ菌を除菌し、胃酸が正常に分泌される事で逆流性食道炎の原因になる事もあるそうです。
逆流性食道炎の予防に効果的!自宅でカンタン横隔膜体操
先生によると、横隔膜というドーム状の筋肉を鍛えると、食道と胃の境の緩みを抑える効果が期待できるそうです。
<横隔膜体操のやり方>
(1)足を肩幅に開き背筋を伸ばし 両手を頭の後ろで組む
(2)ゆっくり息を吸いながらお腹を膨らませる
(3)息をはきながら腕とかかとを真上にあげ全身を伸ばす
≪ポイント≫
1回10呼吸で1セット、1日1〜2セット行いましょう。食後に行うと逆効果の可能性があるので必ず食前に行うようにしてください。重要なのは毎日継続する事!気になる方はぜひ続けてみてください。
今注目!逆流性食道炎の最新治療法
<従来の手術法>
逆流性食道炎になると、胃と食道の間にある下部食道括約筋が緩んで広がってしまいます。薬が効かないほど重症になると、手術をする必要があるのだとか。その際には、開腹手術や腹腔鏡手術などで、広がってしまった食道に胃の一部を巻きつけて狭める方法があるそうです。
<食道に傷をつけて治す最新治療>
最新治療では、広がっている胃と食道の境にあえて傷をつける事で傷が修復する時の収縮反応を利用し食道を閉めて逆流を防ぐそうです。鼻や口から内視鏡を入れて行う治療法のため、従来の開腹手術と違い合併症などのリスクも少ないのだとか。先生によると、この治療法によって3年後も約半分の患者さんが薬を飲まなくても快適に暮らせているという報告が出ているそうです。
<2022年4月から保険適用に>
食道に傷をつける最新治療は「内視鏡的逆流防止粘膜切除術」といい、2022年4月から保険適用になったばかりだそうです。申請をして許可が出た病院のみ行えるそうなので、気になる方はぜひ医師に相談を!各病院のホームページでも確認できるそうです。先生によると、新しい治療法なので治療を行える施設がまだ少ないそうですが、保険適用になった事で今後広まっていくことが考えられるそうです。
(2024年1月14日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)