経験者が語る結石の恐怖
サマリーSummary
ドクター:東京腎泌尿器センター大和病院 泌尿器科 医長 大岩祐一郎
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
今回のテーマは「~決して他人事じゃない!~経験者が語る結石の恐怖」
発症すると激痛が走り“悪魔の一撃”とも言われる病気「尿路結石」。食生活の変化や運動不足などの影響により、その患者数は年々増加。40年間で約3倍に増えているというデータもあるのだとか。また、結石を放っておくと腎臓が腫れて腎機能が停止する事や、全身に細菌がまわって死に至るケースもあるといいます。そこで今回は、尿路結石の原因と対策を専門医に教えてもらいました。
尿路結石ってどんな病気?
腎臓・尿管・膀胱・尿道を含めた尿の通り道を「尿路」といい、腎臓でできた結石が尿路に詰まって痛みなどの症状を引き起こす病気を「尿路結石」と呼びます。特に尿管に詰まる場合が多く、尿路結石のうち90%以上は尿管に詰まって発症しているそうです。
尿路結石の症状は?
・症状その1「 種類の違う痛みが2度襲う」
尿路結石を発症すると、種類の違う痛みが2度襲ってくるといいます。1つは、結石による痛み。結石はトゲトゲしているので、尿管に詰まる事で痛みを引き起こすそうです。2つ目は、腎臓が腫れて生じる痛み。結石が詰まって尿の流れが悪くなると、腎臓が腫れて痛みを引き起こすのだとか。腎臓がある腰から背中にかけて激痛が走るのが特徴だそうです。
・症状その2「痛みだけでなく吐き気も催す」
腎臓の近くには、腸を守る腹膜があります。腹膜には多くの神経が走っているため、腎臓が腫れて神経を刺激する事によって吐き気を催してしまうそうです。また、吐き気を催すもう1つの原因が、腸自体への刺激。腸の動きが鈍り、吐き気を引き起こすそうです。
~我慢できないときは救急車を!~
痛みと吐き気のどちらが先に来るかは個人差があるそうですが、背中や腰の激しい痛みに加え、吐き気を感じたら尿路結石の可能性大!他の病気が隠れている場合もあるので、我慢できない場合は救急車を呼ぶのがおすすめだそうです。
尿路結石の原因は?
先生によると結石の原因となるのが、食物の苦味やえぐみの元になる「シュウ酸」です。いわゆる“あく”の成分の1つで、シュウ酸が体内に多く存在するカルシウムと腎臓内で結合する事で、石ができるといわれているそうです。
尿路結石セルフチェック
下記の項目に1つでも当てはまる場合は、結石ができやすいそうです。
<尿路結石セルフチェック>
□喉が乾いたら水よりお茶やコーヒーを飲む
⇒紅茶・緑茶・コーヒーは、結石の原因であるシュウ酸を比較的多く含んでいます。少量だと問題ありませんが、普段から過剰に摂取している方は注意が必要だそうです。
□普段から乳製品などカルシウムを進んで摂らない
⇒体内に入ったシュウ酸は、小腸内でカルシウムと結合すれば便として排出されますが、シュウ酸が多すぎるとカルシウムと結合できず余ったものが腎臓へ運ばれます。すると、シュウ酸が腎臓にある結合し結石になってしまうのだとか。そのため、普段からカルシウムを意識して摂っていない人は、結石ができやすくなってしまうそうです。
□血縁者に結石になった人がいる
⇒先生によると、遺伝もあるそうですが1番は食生活が似ているため結石ができやすくなってしまうそうです。
□魚より肉が好き
⇒お肉などに含まれる脂肪はカルシウムと結合しやすいため、余ったシュウ酸が腎臓に運ばれやすくなるそうです。
□尿酸値が高めと言われた事がある
⇒柑橘類などに多く含まれる酸味の成分「クエン酸」は、シュウ酸とカルシウムの結合を妨げてくれます。しかし、尿が酸性だとクエン酸はあまり働かないのだとか。痛風の原因で有名な尿酸は、尿を酸性に傾けるため注意が必要だそうです。また、尿酸以外に糖や塩分を摂りすぎると尿が酸性に傾きやすくなるそうなので、摂り過ぎに注意しましょう。
ドクターおすすめ!尿路結石の予防法
・予防法(1)「カルシウムをうまく摂る」
シュウ酸と一緒にカルシウムを摂れば、小腸内で結合し便として排出されます。尿路結石予防には、低脂肪牛乳や小魚など、脂肪分が少なくカルシウムが豊富な食材を普段の食事にちょい足しするのが、おすすめだそうです。
・予防法(2) 「良い尿をたくさん出す」
水分が不足すると尿が濃くなるため、尿の成分が固まりやすくなります。そのため、汗をかき脱水状態になりやすい夏場は、結石患者が約2倍に増えるといわれているのだとか。結石予防のためには、1日2L以上水を飲み、薄い尿をたくさん出すようにしましょう。また、良い尿にするためには、シュウ酸とカルシウムの結合を防ぐ「クエン酸」を意識して摂る事が大切だそうです。
尿路結石の治療法
・治療法(1)(結石が6mm以下の場合など)
緊急性がない場合や結石が6mm以下の場合は、尿管を広げる薬の処方や食事・運動療法で自然排出を促すそうです。
・治療法(2)(結石が7mm~1cmの場合など)
結石が7mm~1cmになると自然排出が難しくなるため、体の外から衝撃波(ESWL)を当て、結石を小さく割ってから自然排出を促すそうです。先生によると、施術時間は1時間程度で痛みはほとんどないそうです。
・治療法(3) (結石が複数個ある場合など)
結石が複数個ある場合や衝撃波で壊せない場合は、内視鏡を使った手術で1つずつ石を摘出するそうです。尿道から内視鏡を入れる「TUL」という手術の場合は、手術時間が1時間程度で、入院期間が4~5日(※病状などによって異なる場合があります)。背中から腎臓へ直接内視鏡を挿入し、石を砕いて摘出する「PNL」という手術の場合は、腎臓に開いた穴が塞がるまでの時間として1週間程度の入院が必要になるそうです。
(2021年8月29日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)