ライデルの抜けた抑え、ファースト・サードは競争か?強い自覚をテーマに井上ドラゴンズの開幕構想に迫る!
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
今回のサンドラでは、井上一樹監督がキャンプスタート時点での構想について語った。これから本格始動するチームを見る指標になる特集。モチベーターとしても評価が高い井上監督の注目ポイントをチェック。これを読んで、キャンプを100倍楽しみましょう。
ポジティブバトルキャンプと銘打ったキャンプで、『ダーティハッスル99』という練習メニューが出現。井上監督の色がでているキャンプが始まる予感がするが、これは山井大介コーチか、浅尾拓也コーチ、大塚晶文コーチの誰かが発案したメニューだという。追い込んでヘロヘロになるようなノックをするのが目的。井上監督がゴロを打って、失敗したらペナルティーのトレーニングが追加されるルールだ。メニューをこなした清水達也投手は、普通にゴロをキャッチする分にはそう難しくはないが、ミスをしたときにドンドン積み重なっていく疲労感がたまらないと語った。井上監督曰くメニューを比較的器用に乗りこなしていたゴロ捕球の上手い清水投手でさえ悲鳴をあげていたので、その厳しさはなかなかのものだろう。
内外野のポジション争いは?野手構想を語る!
まずは昨シーズン指標としては健闘しつつも、まだまだ伸び代のある野手の構想について、井上監督はこう語った。
二遊間の起用方法は、他にも候補はいるが村松開人選手と福永裕基選手が有力で、忍者と形容されるほど守備面が魅力的な田中幹也選手は体力的な面での強化ポイントがあるため、落合英二2軍監督指導のもと読谷キャンプで鍛えるという構想だ。
サードについては、石川昂弥選手本人が目標に掲げた打率.350 30本塁打 120打点を達成できたら言うことはない。そうでなくても、繊細で綺麗に打つことを意識し過ぎてしまうので、三振を恐れずフルスイングで尻餅をつくぐらい荒々しくやってほしいと期待する。井上監督が掲げたオフのテーマ「殻を破る」というのは石川昂弥選手に向けて言っているような言葉だと言う。天才の部分も魅力的だが、パフォーマンスでもいいから他の選手にもそう言った部分を見せてほしいと語った。
ファーストについては、中田翔選手はベテラン組のS班で調整中。体重も10キロ落として体の負担を軽減し、今年結果を残せなければ引退という後がない状態で引き締めた気持ちでキャンプに挑んでいる。実績などを評価しつつも、当然ポジションを与えられるわけではなく競争で勝ち取るもので、打順も必ずしも4番にこだわることはないと井上監督は明言した。
キャッチャーについては、ルーキーで一軍の北谷キャンプに参加の石伊雄太捕手が注目されている。ブルペンでのキャッチングスタイルを見ると、木下拓哉捕手、宇佐見真吾捕手もうかうかしてられないという評価だった。石橋康太捕手も開幕スタメン候補の可能性もあり、まだ誰になるかは未知数だ。ブルペンで高橋宏斗投手(「高」ははしごだか)のボールを受けるなどプロの世界で一歩ずつ歩みはじめた石伊捕手。その感想をこう語る。
「良いスタートが切れたと思うのでここから波に乗っていけたらと思う。」
石伊捕手は面白い存在だと嬉しそうに語る井上監督の表情を見るとこれからのキャンプでも要注目だ。
外野陣は、実績のある細川成也選手がライト、岡林勇希選手がセンターと予想されるが、レフトのもうひと枠は、新外国人のジェイソン・ボスラー選手をはじめ、応援歌も発表されたオルランド・カリステ選手、ベテランの意地を見せる大島洋平選手、板山祐太郎選手も虎視眈々とポジションを狙っており、熱い競争が見られそうだ。
開幕投手、先発候補、ライデル退団後の抑えは?投手陣の構想を語る!
昨年は、鉄壁の抑えは12球団トップクラスなものの、先発投手の不調などに苦しんだり、強みを生かし切れない部分もあった投手陣。ライデル・マルティネス投手がジャイアンツに移籍して抑えの座が空いたこともあり変革が求められるだろう。その構想について井上監督はこう語った。
昨シーズンチームの先発を支える活躍を見せた高橋宏斗投手が開幕投手の筆頭候補だ。井上監督は可能性は7、8割と答えたが、2月中旬までは練習の内容や、開幕投手としての自覚があるかを見極めて判断するという。
新外国人投手のカイル・マラー投手については、井上監督はとても期待していると語る。長身で、真面目な性格と、器用にボールを投げ分けられる部分があり楽しみな先発候補だ。
ドラフト2位ルーキーの吉田聖弥投手も、即戦力として先発ローテ入りが期待されているが、ブルペンに入っても他の先輩ピッチャーの投球に引けを取らないボールを投げ込んでいたようだ。初日からブルペン入りし、38球を投げ込んだ感触を吉田投手はこう語った。
「周りもすごい方達ばかりだったので、緊張して力が入りました。徐々に球数も増やしながら開幕に向けてやっていきたいと思います。」
雰囲気に飲まれず落ち着いた発言にもプロ向きなオーラが漂って期待が高まる。同期の金丸夢斗投手の誕生日にもしっかり0時にお祝いのメッセージを送ったと笑顔を見せる。仲の良い同期先発コンビでドラゴンズを引っ張ってくれる日が待ち遠しい。
そのドラフト1位ルーキーの金丸夢斗投手は、2月2日に初ブルペンで力強い投げ込みを行なった。落合2軍監督からも、すごく素直に綺麗なボールを投げていて、投げた後の状態も悪くないと報告があり井上監督の直接視察もそう遠くなさそうだ。腰の負担を考慮して、読谷スタートになったものの遠投やブルペン入りなども果たし、順調な滑り出しを見せる金丸投手はキャンプの意気込みをこう語る。
「自分の身体を追い込んで、成長できるようにしてシーズンを迎えて今年の目標である新人王を達成できるように頑張っていきたい!」
根尾昂投手の起用法は、井上監督の判断としては中継ぎ起用となりそうだ。準備をしっかりできるタイプの選手ではあるが、突然「おい!アキラいけ!」と登板するときの方が力を発揮できるのではないかと説明する。そういう意味では器用なのかもしれないとも語った。
ライデル投手が抜けた中で守護神争いについては、松山晋也投手はライデル投手退団前から抑えの座を狙いたいと宣言するくらいに意欲的だったが、清水投手や藤嶋健人投手や候補に名前が出てない投手にも可能性はあるようだ。まだキャンプは始まったばかりだが、注目したい部分の一つだ。
実績や特徴を活かした起用を構想しつつも、競争が前提で、練習前の選手によるスピーチなども含めて、自覚を持って取り組むチーム作りを目指している井上ドラゴンズ。いよいよスタートを切ったキャンプ、選手たちのアピールに注目したい!頑張れ井上ドラゴンズ!
澤村桃