「立浪監督との関係が良くないのでは?」ド直球質問に竜選手5人が答えた真実
その質問に、トークショーの会場はどよめき、ステージにいる5人の中日ドラゴンズ選手には、緊張が走ったように見えた。「立浪監督と選手の皆さんのリレーション(関係)が、上手くいってないように思うのですが、どうなんですか?」ファンから投げられた鋭いストレート(直球)だった。
コロナ禍で4年ぶり訪問
日赤愛知医療センター名古屋第二病院(八事日赤病院)では、クリスマスを前に、ドラゴンズ選手の訪問イベントが行われた。毎年恒例の行事なのだが、新型コロナ禍もあって開催は4年ぶり。
大島洋平、大野雄大、柳裕也、藤嶋健人、そして松山晋也という、そうそうたるメンバー5人が、12月初旬、小児病棟を激励に訪れた後、病院内のホールでトークショーを開き、入院患者や病院関係者らが参加した。
立浪竜への厳しい声
球団史上初となる2年連続の最下位。シーズン後半になると、ネットや週刊誌の記事を中心に、なぜかドラゴンズがターゲットになり、連日のように、チームについての辛辣な記事が出続けた。
立浪和義監督のチーム運営に関するものも目立ち、多くの竜党にとって、「大丈夫か?」と気になる問題だった。そんな中、トークショー後半の質問コーナーで、父親の影響でドラゴンズファンになったという年配の女性が問いかけたのが、冒頭の率直な質問だった。
5選手が語った立浪監督
真っ先に指名された藤嶋投手は「汗、汗」と口にして苦笑いしながら、こう答えた。
藤嶋投手「皆さんは監督に恐いイメージがあるかもしれないけれど、気さくな方です。今日ジム行ったんか?など、よく声をかけてもらう」
以下、回答した順にそれぞれの内容を再現したい。
大野投手「優しい方です。さすがPL(高校)のキャプテンだっただけに、何でそこまで気づく?と、こちらが焦ることにまで気づく。コミュニケーションが取れていないと言う指摘も分かる。監督は天才。自分たち世代が若手との間に立ちたい」
大島選手「優しい時もあれば、厳しい時もある。チームが負け続けているから、いろいろ言われてしまう。優勝したら持ち上げられるし、負けるから取り上げられている部分が多い」
柳投手「ネットなどいろいろ、あることないこと書いている。外から見ているほど、チーム内は動揺していない。勝てば変わる」
松山投手「自分は出してもらっている身。心強い監督」
5人はそれぞれ、質問に対し丁寧に答えた。いわゆる「行間を読む」という解釈もできなくはないが、選手会長である柳投手の一言がすべてを象徴している。来季「勝つ」ことへ、すでにドラゴンズというチームは向かっているという確信を得た。
それにしても、ファンとして最も気になることをズバリと尋ねた、値千金の見事な質問だった。
中田翔がやって来た!
この同じ日、ドラゴンズは中田翔内野手の入団を発表した。背番号は「6」。打点王を3回取った強力なスラッガーである。チームにとって、久しぶりの“大物選手の補強”と言えそうだ。
中田選手の入団によって、ここ数年の課題だった打線も、イメージがしやすくなった。やはり、軸となる強い「4番」候補の存在は大きい。この日ステージに立った5人の選手も、一様に中田選手へ歓迎の言葉を口にしていた。
現役ドラフトも終わり、来季へのチーム補強もいよいよ最終盤である。気になる不安をズバリぶつけた女性も、ドラゴンズを愛していればこそ。会場で目の当たりにしたストレートな質問に負けないように、拙コラムもしっかりと立浪ドラゴンズ3年目を追っていきたい。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。