百戦錬磨の谷繁も思わず“まいった!”広島市民球場で一撃KOされたカップルのつぶやき野次
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
吉見一起の“ヨシトーーク”アツい○〇後編
元ドラゴンズの絶対的エース・吉見一起さんの初々しいトークが評判の燃えドラch『ヨシトーーク!』。現役時代さながらの絶妙なコントロールで球界裏話や同僚、ライバル話をビシバシ投げ込む!
今回も前回に引き続き谷繁元信ドラゴンズ元監督をゲストに迎え、“アツイ〇〇”をテーマにドラゴンズ黄金時代を支えた最強バッテリーがこれまたお題目通り“アツイ”トークをさく裂!谷繁さんの第一印象から始まり、日本で一番熱く、そして暑い球場と呼ばれるナゴヤ球場の思い出を語ってくれたご両人。さて今回も引き続き、ナゴヤ球場と双璧をなすアツイ球場として有名な甲子園球場の思い出からスタートだ!
センスのある野次は選手も和む
いつ行っても人で溢れかえるイメージの甲子園球場。
それだけファンの熱量も高いことで有名!
その熱の“アツさ”に吉見さんも現役時、思わずクスっとなったこともあったそうだ。
吉見『イニングの合間、ベンチ横でキャッチボールしているじゃないですか。良いピッチングしているとお客さんが近くにやってきて、ネット超しに“吉見!吉見!頼むから打たれてや!”って言ってくるんですよ(笑)。ちょっと笑ってしまう野次っていうのがありますよね』
谷繁『分かる!分かる!会話しようとするでしょ?阪神ファンって』
吉見『また反対に、打たれて降板してベンチへ帰ってくると、“ありがとう!”って言ってくれるんですよ!そんな言葉に笑ってしまう感じってありますよね』
野次でも言われた相手が思わず和むのはセンス抜群な野次。
反対に聞いて思わずにらみつけたくなる野次はノーセンス。
吉見『野次で汚いなと思ったのは神宮球場。結構きついこと言われるなって』
谷繁『たしかに。神宮は何が嫌って、ゲーム終わった後にグラウンドの中を通って帰るのが嫌なんだよ。勝った時はいいよ。3連敗した時の3敗目なんか通って帰るのが嫌で、嫌で』
球場内にロッカーが存在せず、ホームのスワローズですら、試合後一塁側ライト後方にあるクラブハウスまで荷物を持って歩く姿は日常の光景である。
吉見『土地によって野次の仕方も違いますしね』
ドラ二軍戦、汚い野次はご注意を
どうしても聞いてみたくなるのが、野次っていうのはグラウンド内でも聞こえるものなのでしょうか?
谷繁『ムチャクチャ聞こえるよね』
吉見『ある程度冷静になっているから耳に入ってきますよね』
谷繁『そう考えると、ナゴヤドーム(バンテリンドーム)は本当にやさしい。昔のナゴヤ球場は結構あったけどね』
吉見『暑いし、野次も汚かったっすか?』
谷繁『昔はね』
吉見『ナゴヤ球場って二軍で今、使っているじゃないですか。あんな暑い中でお客さん、来てくれるんですよ。そして今でも野次すごいですよ。結構“これ、アカンやろ?”って野次もあって。マネージャー室に行くと、要注意人物の写真が貼ってあるんですよ。たぶん出入禁止になっていると思うんですけど(笑)』
これは門外不出ネタ!
出入り禁止画像が貼ってあるのね!(笑)
たしかに客としてスタンドで聞いていても、“今のはダメだろ?”というモラルを欠いた野次を時折聞くことがある。
そんな野次をつい口にしたことのある方は、マネージャーにチェックされる恐れがありますからご用心を!
吉見『たぶん佐伯さん(元二軍監督)が言われた言葉だと思うんですけど、“それだけお前ら応援してもらっているってことや”って言われて。それだけ野球が好きなんだということを言いたかったのだと思います』
なかなか言えない言葉ですね!
佐伯さん、人間ができています!素晴らしい!
つぶやき野次に谷繁も思わず“まいった!”
“野次で思い出したけど…”
谷繁さんが口にしたのは、広島市民球場での出来事。
そのイニングの前までに盗塁を3つ、4つ連続で刺せず、むしゃくしゃした気分だった谷繁さん。その借りをバットでお返し!とばかりネクストバッターズボックスで意気込んでいた時、異常に観客席との距離が近かった市民球場ならではともいえる、会話程度の声量野次が耳に飛び込んできたそうだ。
谷繁『二人組のカップルがボソボソっとした声で、“オイ!谷繁!ひとつくらい刺せや!”って話しかけてきたの。こいつら、うるせぇーなと思って、ぱっとふり返って見たら女の人が“そうよ!そうよ!って言って(笑)”。もう近すぎるんだわぁ、あそこ!』
吉見『言い返さなかったのですか?』
谷繁『まあ、刺せてなかったからね。いやあ、野次というか、話しかけられているみたいだったから』
つぶやく、いや、ささやく感じの野次というのは、なんとも気が抜ける感じか(笑)
つぶやくと言えば、キャッチャーがついバッターに話しかけて動揺させる戦法と似ているように思えるものだが…。
吉見『バッタ―も同じように思っていたと思いますよ。谷繁さんがキャッチャーで話しかけていたように(笑)』
うむ。谷繁さんのつぶやき動揺攻撃、絶対聞き覚えがあるバッターは多いはず!(笑)
根が子どもの谷繁さん
話は野次から吉見さんからみた谷繁さんの現役時代の印象話へと移り変わる。
あまりにも唐突だが、これがヨシトーークの“味”なのである(笑)。
吉見『谷繁さんは基本的に顔に出さないじゃないですか。冷静に見えるんですよね』
谷繁『ドラゴンズ時代はね。大人になっていたから(笑)』
吉見『この試合は落とせないという大事な時の試合に入っていく目つきはボクの目からも“この試合にかけているんだな”と感じましたね。喜び方は今だから言えますけど、すごく子どもですよね(笑)』
谷繁『(薄笑い浮かべながら何も迷うことなく首を縦に振る)ウン。それだけ気持ちが入ってるってことだよ。じゃないと、ベイスターズの最後の年にサヨナラヒット打ったの。全然嬉しくなかったもん。その時はもう嫌だったから。どれだけ集中してプレーしているかってことだね。根が正直者だから、出ちゃうんだよね。なかなか演技ができない。ガハハハハハっ!』
もう嫌だったからって(苦笑)。
口を揃えて“ヨッシャー!”
正直者と自らを称し、なんでも思ったことは口にする谷繁さん。
吉見さんもどちらかと言えば、谷繁さんに似たタイプに見える。
そんな二人だからこそ、喜んだ時の爆発ぶりも相当なものと想像する。
その答えは、スタッフから質問された“二人が組んだアツイ試合は?”で明らかとなる。
谷繁『急に言われても思い出せないんだよね、オレ…初完封か初完投のどっちかで、めっちゃ喜んだ記憶がある』
吉見『ボク、初完投・初完封は一緒なんです。ボクは必死過ぎて全然覚えていないんですけど。ヤクルトに2-0で完封した試合があるんですけど、その前の試合、4-0で勝っていて、9回に4点取られて勝ちが消えたんです。完封できると思ってスキを見せたんですよ。一週間後に完封できたんですけど、その時初めて谷繁さんに投げ終わった後、肩組んでもらいました』
谷繁『じゃあ、その試合かもしれない。なんかやった記憶がある』
吉見『その写真、今でも飾っているんです』
谷繁『えっ、吉見邸に?』
吉見『はい、吉見“宅”に(笑)』
しっかり谷繁さんのツッコミにボケをかます吉見さん!
さすが黄金バッテリー!
吉見『それは覚えていますねぇ。自分の中で一週間前の悔しい思いをやり返したということと、谷繁さんも喜んでくれて、確か一緒に“よっしゃー!”って言っているんですよ』
谷繁『それだ!たぶん記憶の中にあるのは』
バッテリーで勝ち続けた黄金時代
ドラゴンズ常勝時代を共に過ごした谷繁さんと吉見さん。
吉見さんは先発を任される度に“この試合の大切さ”をかなり実感したという。
そして自分自身が満足できるパフォーマンスを見せた時は“バッテリーで勝てたな”と感じることが多かったそうだ。
谷繁『そういう試合、めっちゃ多かったでしょ?言っちゃなんだけど。自分も攻撃陣の中に入っているからあまり言えないけど、あんまり点取ってくれなかったもんな』
吉見『ボク、点が入らないなという感覚はなかったんですよ。とりあえず先取点取ってもらえば、“なんとかなる”というちょっとした自信があったんです』
谷繁『それ、慣れ慣れ(笑)』
吉見『序盤で点取ってもらえば、守ろうじゃなくて、“勝てた”と思える自分がいるんで。もう“やられたらどうしよう”じゃないんです。困ったら後ろ(救援陣)がしっかりしているんで、“お願いします!”って感覚だったですね。』
谷繁『1-0で勝っている試合と負けている試合って、負けている方が楽でしょ?』
吉見『はい、楽です。理想は1-0で負けていて、6回に逆転してもらって、ちょっとだけ投げて、“あとお願いします!”ってヤツですね。その展開が一番好きでしたね』
粒揃いの中継ぎ陣に浅尾、岩瀬で締めた常勝ドラゴンズ。
6回までリードすれば確実に勝利を手中にしていたっけ。
鉄板リレーが懐かしすぎるぞ!
(竹内茂喜)