雄大さんに負けない!中日・柳、来季こそ飛躍の年に! 芽生え始めた“エースの自覚”
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
福留孝介、14年ぶりのドラ復帰!
先週のドラゴンズは、ドラファンにはなんとも夢が膨らむ週末となった。
11日金曜日には育成指名選手を含む、新人9選手の入団発表が行われ、未来のドラゴンズを背負う若者たちがドラゴンズブルーのユニホームに袖を通した。
そして翌日12日にはドラファンが待ちに待った、あの男が戻ってくるニュースが飛び込んだ!竜の黄金時代に猛打をふるった福留孝介が14年ぶりの復帰を果たしたのだ。
首脳陣は勝負強いバッティングに、代打の切り札として期待しているようだが、福留はそれだけで満足するような柔な男ではないはず。やるからにはレギュラー狙い!2月のキャンプインまでには身体作りを終え、初日からしっかり動ける姿を見せつけ、必ずや守り慣れたライトのポジションを狙ってくるだろう。平田、井領らも黙って見ているはずはなく、チーム内に熾烈な競争が始まる。まさに与田監督が待ち望んだ戦力の底上げだ。
また福留の“後ろ姿”を見て、同じ左打者である京田や根尾らに大きな影響を与えるに違いない。間違いなく福留がチームを刺激し、奮い立たせる。背番号9を背負った姿はもう少しお預けとなりそうだが、来季から新しく本拠地名が変わったバンテリンドーム ナゴヤで大活躍する福留の姿を期待したい。
さて今週のサンドラ、ゲストに柳裕也投手を迎え、一年間の活躍を振り返った。
序盤~エースへの期待(自己採点80点)
『去年よりプレッシャーを感じていますし、やらなければいけない立場』
今年2月のキャンプイン時のインタビューで柳は主力投手としてチームを牽引していく意識からか、責任感あふれた決意を述べていた。
昨シーズン、チームトップの11勝を挙げ、今年は先発の柱として期待された。開幕から3試合を終え、防御率1.80ながら、1勝1敗。当時のピッチングについて“投げていてめちゃくちゃ良かった”と好調だったことを振り返る柳投手。
ここで裏話。ゲストコメンテーターの岩瀬仁紀さんから、こんな証言が。
『実は7月よりも3月の時が一番良かった』
柳本人もまさに同意。もし開幕が遅れていなければさぞかしロケットスタートが切れたことだろう。しかしまさかの開幕延期。過去に経験のない難しい調整が続く中、7月に腹筋のケガでまさかの戦線離脱。波に乗り切れないシーズン序盤となった。
『(当時について)もどかしさはありましたね』
前半戦で印象に残っているのは、8月12日、ケガから復帰しての二戦目となったカープ戦。ストレートでドンドン押していく強気のピッチング。7回までわずか被安打2、無失点の好投を見せた。8回1点を失うと、阿波野コーチがマウンドへ。すると柳投手は交代を嫌がり、セカンド方向へ離れていく。
『ウソだろ…ウソぉ~!ウソだろう~!や~め~て~!やめて!やめてよ~!』
スタジオで確認したところ、その時の“心の中の叫び”がこれ!まさに人間らしい柳投手の一面を覗かせてくれた。同期入団で同級生でもある京田選手から当時“あの姿、俺はいいと思う”と激励されたことも明かされた。
交代に抗う姿を見せたのも、主力投手としてマウンドに立つプライドがそうさせたものだった。
『大野さんという長いイニングを毎試合投げて完投もしている、そんな存在がいるので1イニングでも1球でも長くマウンドにいてチームを勝たせるのが自分の役割だと思う』
結局交代となったが、完投への執念を見せた。
中盤~課題噴出(自己採点0点)
シーズンは中盤戦に突入。しかし2勝目以降、柳投手の勝ち星は伸びなかった。大量失点を喫し、イニング途中で降板する試合が続いた。そして9月25日、東京ドームで行われたジャイアンツ戦。立ち上がりから打ち込まれ、プロ最短の2回6失点でノックアウトされた。その後、二度目の一軍登録抹消となった柳投手。その時の心境をこう語る。
『何をしても打たれましたし、上手くいかなかったので、苦しかったですね』
この日のゲストで来シーズンからCBC野球解説者の仲間入りを発表した吉見一起さんは当時のピッチングについて、“投げているボールは良いと思いましたが、白星がつかない中、悪い方向に考えてしまったのかな。不安そうな顔をしていましたね”と、柳投手の技ではなく心の弱さを見抜いたコメントを残した。
ゲーム序盤は抑えたものの、打順3廻り目から打たれ出す悪いクセが出たのが勝ち星の伸びなかった原因。本人曰く、変化球に逃げて、その球を打たれたという悪循環。気づけば、太陽の光が燦燦と降り注ぐナゴヤ球場。二軍で汗を流す日々が続く中、柳投手は気づく。邪念は捨て、自分の良いモノを出す。良いボールをただ投げるという意識を取り戻すことができた。
終盤~巻き返し(自己採点70点)
二軍での調整を経て、帰ってきた一軍のマウンド。時は10月17日、対カープ戦。マッチアップは明治大学の後輩、飛ぶ鳥を落とす勢いのルーキー、森下暢仁投手。
ゲーム前は正直、森下との対戦を超嫌!と思っていた柳投手。
『先輩だから勝って当然とみられるのもプレッシャーだし、負けると面目ないし、ハイリスクローリターンって感じでした』
その試合、序盤は安定せず2点を失うものの、修正力の高さを見せ、4回以降はカープ打線を封じ込める力投。8回、味方が逆転に成功し、およそ一カ月ぶりの勝利を収めた。結果、後輩森下と投げ合うことをモチベーションにした思い出に残る一勝となった。そしてここから尻上りに調子を上げ、4試合に登板し、3勝をマーク。その間の防御率は1.88と、来シーズンにつながるピッチングを見せたのだ。
改善したその証とは何か?まず終盤投げた4試合は被本塁打ゼロ。そして何よりも変化球の被打率が劇的に低下。シンカーに関して言えば、ほとんど打たれていないという結果。自分自身の考案でシンカーの握りを深く変え、投げてみたのが好感触につながったようだ。
雄大さんに負けない
「右のエース」と期待され、挑んだ入団4年目となる2020年シーズン、成績は6勝7敗、防御率3.60と期待に背く結果となった。しかし柳投手が来季に掲げる目標は高い。
『雄大さんに負けない』
沢村賞を取り、いまや球界を代表する投手の大野雄大投手。最後まで投げ抜く姿に憧れを抱く。だからこその追い付き、追い越せ。
来シーズンの2ケタ勝利は取って当たり前。目指すは右の柳、左の大野の二枚エース看板だ。柳が勝てば、大野だって負けやしない。そんな争いが一年続けば、必ずや優勝の二文字が見えてくるはずだ。
年が明けての自主トレでは横浜高校の先輩、楽天の涌井秀章投手と初めて汗を流す予定。今季、史上初となる3球団での最多勝を達成した先輩のもとで「勝てる投手」への極意を是非とも掴んでもらいたい。
がんばれ柳!燃えよドラゴンズ!