「アイツの強肩は世界一」中村武志コーチが元ドラゴンズ加藤匠馬へ贈る惜別の激励
ドラゴンズ加藤匠馬捕手とマリーンズ加藤翔平外野手、シーズン中のトレードからまだ数日。二人はすぐさま入団会見で、新天地でのユニフォームに袖を通し、未来へ向かっている。ただやはり、トレードというのは、田尾安志さんの時も牛島和彦さんの時も、実にデリケートで鋭敏な感情が消えない。もちろん今後の伸びしろに期待したトレードではあるのだが。
そんな感傷を大きな期待感で上回る惜別の言葉を、師匠の中村武志一軍バッテリーコーチが語ってくれた。
「慌ただしい中、お世話になりましたと電話をもらいました。少しだけ話せたあと、LINEでメッセージも送ったよ。見返してやれ!と」
「チームとして出したくて出した訳じゃないし、個人的には、ほんとに寂しい。でも、野球人として大チャンス。とにかく、アイツの強肩は、日本一どころか、世界一だよ。味方の投手にとって、肩が強いというのは、最高の安心感。今のウチの投手陣を加藤の肩が育てたと言ってもいい。ただし、野球は肩だけじゃない。いろんな目立たない面のキャリアが必要。その経験値を千葉ロッテさんが与えてくださるのだから」
「ボクもそうだった。複数の球団でマスクを被ることができるのは、何よりの財産ですよ。だからこそ、見返してやれと!」
師匠として複雑な思いもあろう中で、なんとも中村コーチらしい惜別の激励だ。以前コラムに書かせてもらったが、二人にとって忘れられない甲子園での事件。そこからも感じることができる絆は、相当なものだったと推測される。
ちなみに私宮部の彼に関する思い出と言えば、一人の実況アナウンサーとして中継中、我がドラゴンズがピンチなのにワクワクする経験を初めて体感した。なぜなら、ランナーを許したら許したらで、加藤捕手の強肩バズーカを実況できたから。ピンチなのに、魅せ場!
そんなシーンをまた今秋、日本シリーズ、ドラゴンズ対マリーンズで魅せてほしい。頑張れカトちゃんこと加藤匠馬捕手!そして、ようこそ加藤翔平選手!両選手の大いなる活躍を期待して。燃えよドラゴンズ!
【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜、テレビ・ラジオのスポーツ実況担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。早大アナ研仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。月刊ドラゴンズ連載中】