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開幕検証!ドラゴンズの「昇竜復活」態勢はどう整ったのか?

開幕検証!ドラゴンズの「昇竜復活」態勢はどう整ったのか?

開幕検証!ドラゴンズの「昇竜復活」態勢はどう整ったのか?

待ちに待った日がやって来た。新型コロナウイルスによって、大きな影響を受けてきた2020年プロ野球のペナントレースがいよいよ6月19日に開幕。史上初の事態となった3か月もの開幕延期は、各チームの戦い方にどんな変化をもたらすのか?例年よりも調整期間が長かった中、中日ドラゴンズの臨戦態勢はどう整ったのか?

新型コロナの新ルール続々

東京五輪・パラリンピックのために、例年より3週間ほど早く3月20日に開幕を迎えるはずだったシーズンは、新型コロナの影響で逆に3か月も足踏みを余儀なくされた。
おのずから2020年は大きな変化がある。試合数は143試合から120試合に、2割近くも少なくなる。交流戦とオールスターゲームは中止、セ・リーグについては、本拠地が屋外球場のチームが多いこともあって予備日の関係からクライマックスシリーズ(以下CS)も中止される。ゲームは延長10回で打ち切りになる。
その一方で、連戦がずっと続くことから、ベンチ入りの選手の数が1人増えて26人になる。12球団それぞれが今季限定の新ルールの中で未知なる戦いに臨むことになる。
7年連続Bクラスと低迷が続くドラゴンズだが、ここ数年の中では戦力が整ってきたとの評価の声も多い。

先発投手陣への期待と心配

開幕ローテーションは固まった。
ここ2,3年、若手投手の台頭が見られ始めていたが、この中に、去年はケガで出遅れた小笠原慎之介投手、小気味いい投げっぷりで昨季3勝を挙げた山本拓実投手、そして将来のエース候補として期待が高い梅津晃大投手、この3人の若手がローテ入りすることは実に魅力的だ。
さらに、岡野祐一郎投手にも15年ぶり新人でのローテーション入りの期待が高まる。ベテラン吉見一起投手も練習試合では健在ぶりを示すなど、久しぶりに駒がそろってきたという印象だ。
しかし、忘れていけないことは、ノーヒットノーランを達成した大野雄大投手にしても、初の2ケタ勝利を挙げた柳裕也投手にしても、過去の例から2年連続で大活躍できる保証はないということだ。投手陣の整備はシーズン通しての大きな継続テーマとなる。

打撃陣は「あと1点」勝負強く

打線もスタメンの顔ぶれがほぼ出そろったようだ。
リードオフマンである大島洋平選手が下半身の張りから練習試合の後半を欠場したが、一方で去年はケガに泣いたスイッチヒッターのソイロ・アルモンテ選手が元気に復活し、打線は厚みを増した。6月の練習試合12試合で打率は.275、ホームランは17本、いずれもリーグトップである。特に去年は打率リーグトップながら、一方でリーグ最少だったホームラン数が増えたことは嬉しい。
しかし残念なのは得点数である。他球団と比較して、ホームラン数や安打数の割には得点が少ない。1点差の負けが実に27試合もあった昨シーズン。「もう1本が出ていれば」「あと1点取れていれば」とファンが切歯扼腕した“勝負弱さ”は今のところ拭い去れていない印象だ。

正捕手は?抑えの切り札は?

大きな宿題が2つ残ったままであることが気になる。正捕手と抑えの切り札だ。2月の沖縄キャンプ総括の際に、当コラムでも課題として挙げた。
谷繁元信さん引退後、ずっと“空席”が続く「正捕手」の座。加藤匠馬、木下拓哉、そして大卒ルーキー郡司裕也の3捕手が練習試合で交互に起用されたが、まだ決め手に欠く現状だ。
岩瀬仁紀さん引退後、確立できていない「抑えの切り札」も不安要素である。岡田俊哉、藤嶋健人、ライデル・マルティネスら抑え投手の名前は挙がるが、「切り札」「守護神」と呼べる存在は、まだ確立できていないように思われる。
いずれも開幕後に“戦いながら”ということなのだろうが、開幕が延びた3か月の日々に何とか決め込めなかったのか、残念に思われる。

3か月たっても新戦力浮上せず

残念と言えば、これもキャンプ総括の際に指摘したが、新たなレギュラー選手の台頭である。思い浮かぶ開幕スタメンの顔ぶれは、いずれも昨シーズンまでのお馴染みの選手である。あえて厳しい言い方をすれば、7年連続Bクラス、そして3年連続5位というシーズンを戦ってきたメンバーだ。他球団から、新たな若手レギュラー誕生の報が次々ともたらされる中、応援するファンとしてはどこか淋しい気持ちである。
ウエスタンリーグの練習試合で、2年目の根尾昂選手やルーキー石川昂弥選手らの活躍が注目されているが、例年より3か月余分にあった開幕前の調整期間に、1軍に馳せ参じるレベルに間に合わなかったのだろうか。今季は120試合の、ある意味“短期決戦”であり、勢いをつけたチームが一気にペナントレースを勝ち抜けることが予想される。おまけにセ・リーグはCSがなく、シーズン一発勝負なのだ。チームに勢いをつけるのは、昔も今も若き新戦力である。

ワクワクする采配に期待

新型コロナ禍の日々は、私たちに自粛という忍耐と共に、生活スタイルなどで新たな価値観ももたらした。選手たちにとっても辛かった3か月の日々から、各チームが何を得て、どう活かすのか?与田ドラゴンズには、今だからこそファンをワクワクさせるような“新たな戦い方”に期待したい。
ちょうど30年前、1990年の開幕戦で、当時の星野仙一監督は同点の延長戦で、いきなりルーキーをリリーフ登板させた。ゲームは引き分けに終わったが、その投手が投げた150キロを超す剛球に竜党は狂喜乱舞して、熱い声援を送った。現在ドラゴンズを率いる与田剛監督のデビュー戦だった。そんな興奮があってもいい。いよいよ開幕のプレイボールだ。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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