“涙のマウンド”が大袈裟ではなかった理由。ドラゴンズ福敬登は精神崩壊の危機にあった
【サンドラを観られなかった全国のドラ友と共有したい番組のコト】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム
このコラム(?)は「サンドラ」を見られなかった全国のドラ友に話したい! との思いから番組の内容を綴る、竜党のみなさんに向けた、竜党による、竜党のためのコラム(?)である。1月17日の放送は、“2020年セ・リーグの最優秀中継ぎ投手賞”左腕・福敬登投手が生出演。本コラムでは、福投手が昨シーズンの中から「最も印象に残る試合」として挙げた、あの“涙のマウンド”にクローズアップする。福投手がマウンドで涙を流した理由、そして仲間とのエピソードを明かした。
福敬登は、なぜマウンドで涙を流したのか?
2020年シーズンを開幕から13試合連続無失点と最高のスタートを切った福投手。祖父江大輔投手、ライデル・マルティネス投手とともに勝利の方程式「大福丸」を形成すると、6回終了時にリードしていれば37連勝という大記録の原動力に。キャリアハイの53試合に登板して防御率3.55。リーフトップタイの30ホールドポイントをマークして自身初のタイトルを手にした。
福投手が最も印象に残る試合として挙げたのは、勝てば8年ぶりのシーズン勝ち越しが決まる位置づけにあった11月4日のベイスターズ戦。最終回を締めくくりチームの悲願をかなえたと同時にマウンドで涙を流した試合である。伏線はそこにいたるまでにあった。10月27日のタイガース戦で1カ月半ぶりの黒星を喫すると2試合連続で救援失敗。チームが6連敗をするきっかけとなっていたのだ。マウンドで涙を流した理由について福投手は次のように明かした。
福投手:不甲斐ない登板がずっと続いていたなかでも9回を任されて抑えられたのが一番。開放感と達成感(による涙)ですね。マウンドに上がる前のことは今でも覚えていないぐらい緊張していました。何が起きたか全然覚えていないんです
「無観客なら打たれていた」―。福敬登を救った竜党の存在
当時のことを思い出せないほど極度の緊張と不安に襲われていた福投手は「無観客なら打たれていた」と振り返る。追い込まれていた福投手を救ったのはドラゴンズファンの存在。普段以上の応援が奮い立たせたていたことを明かした。
福投手:いつもファンのみなさんに声援をいただいているのですが、このときだけはボール球になっても「頑張れよ!」という声や拍手をいただけた。たぶんファンのみなさんがいなければ精神的に壊れて負けていたと思います。ワンアウトをとったぐらいからウルウルきていました(笑)
涙を流す福投手が勝利を讃えあうチームメイトからあたたかい言葉をかけてもらうなかで、一人異なる反応だったのがキャプテン高橋周平選手。「何泣いてんの? 背負い過ぎ」との言葉にハッとさせられたという。
福投手:「背負い過ぎ」と言われたときは、さすがにゴメンと思いました
福敬登が勝利の方程式で輝ける理由
福投手はチーム内に信頼を寄せる存在がいることも明かした。共に最優秀中継ぎ投手賞のタイトルを獲得した祖父江投手である。
福投手:(祖父江さんは)頼れるアニキですよ。なんでも相談していました。ピッチングのこともそうですし、プライベートのこととか。夜ご飯をどのタイミングで食べますかとか。疲れたときは食べないですかとか。何から何までずっと喋っていました
福投手は2019年シーズンも52試合に登板して防御率2.05、20ホールドポイントを挙げており、2年連続でチームの勝利に貢献する活躍をみせている。投げる場所が変わったことに対するプレッシャーは?との問いに対しては、「ビハインドと敗戦処理のほうがきつい」と体験談から素直な気持ちを明かした。
福投手:ビハインドと敗戦処理はどうしても打たれると2軍に落ちるというプレッシャーにかられてしまう。ましてや(ブルペンでの)準備の回数も圧倒的に多いので100パーセントの状態でマウンドに行くのが難しい。そのコンディションで「打たれたら2軍にいくかもしれない」という変なプレッシャーにやられるということがよくありました
金属アレルギーの福敬登がネックレスをつける理由
福投手はゲン担ぎやルーティンが多数ある。ゲン担ぎの1つは、グラウンドに入る際など“すべて右からやる”こと。もう1つは、“投げる前にネックレスを握ってのお祈り”なのだが、実は金属アレルギーのためネックレスをしているとかぶれてしまうという。それでも試合中はネックレスをつけている理由を次のように明かした。
福投手:育成になったときにネックレスを買ってきてくれてつけたら支配下に戻り、次の年にはもう50試合投げれるようになり、今に至るという。怪我もしていないんで、つけて悪いことなかったなと。ネックッレスについている石は自分の誕生石かなんからしくて・・・。なんの石かは覚えてないですけど、とりあえず守ってくれると思ってつけています(笑)。金属アレルギー? 2020年シーズンから金属部分をプラスチックに変えたので(大丈夫)。今年もつけます!!
イチ視聴者(筆者)の番組感想まとめ。「壁を乗り越え逞しくなった福投手にさらなる期待を」
今週のサンドラを観た感想・・・。番組の最後に福投手が今シーズンの公約として掲げたのは『嬉し泣き!!』。「去年は泣いて終わったんですけど、今年は嬉し泣きで終わりたいですね。数字の目標? そこは目の前に集中していきたいと思います」と謙虚な姿勢を貫いていた。
福投手はいつも笑顔で明るいキャラクターという印象があったので、まさかあの涙のマウンドの裏側には精神が壊れてしまうほどの不安に襲われていたとは。その壁を乗り越えた福投手は一段と逞しくなったに違いない。今季も「勝利の方程式」の一角として活躍を期待するばかりである。
(このコラムを書いたのは・・・、サンドラ視聴歴約30年のアラフォーな竜党おじさん)