高校生が東京モーターショー出展…テーマ「そうだ、月に行こう」“月で乗れる車”の出展秘話
自動車や航空などモノづくりのスペシャリストを育成する、名古屋市千種区の愛知県立愛知総合工科高校。
「そうだ、月に行こう」をテーマに、月で乗れる車を製作。去年130万人が訪れた東京モーターショーに高校で唯一出展する快挙を達成しました。
その開幕直前の去年10月、この学校を訪れていた、お笑いトリオパンサーの向井慧さん。果たしてモーターショーはどうだったのか、そして卒業生の進路は…3月10日に再び会いに“向かい”ました。
パンサー向井さん:
「卒業式とかはどうだったの?」
百々さん:「短縮で行われました」
神谷さん:
「ちゃんと式をやることができたので、そこに関してはホッとしてます」
東京モーターショーに挑戦したのは高校卒業後に2年間学ぶ「専攻科」の皆さん。ちなみに、この日集まってくれた6人のうち5人が就職。1人は大学3年に編入したそうです。
鈴木さん:
「トヨタ自動車に内定をもらいました。言われているのは試作や開発をする部署です。今までは実家だったんですけど、4月から研修で寮生活です。もう…不安ですよね(笑)」
神谷さん:
「僕はオークマという工作機械メーカーに内定をいただきました」
彼らが東京モーターショーに出品したのは2台。実は前回訪れた時、そのうちの1台はまだ“完成前”でした。あの車は…。
山本さん:
「モーターショーの2日前くらいに完成しました。ギリギリで(笑)」
構想から1年、設計からパーツまで自作のEVカー、その名も「Tre-IV(トレフォー)」。デコボコした月面でも走れるよう4つのタイヤが車体の傾きに合わせて動きます、が…。
パンサー向井さん:
「製作で何が一番大変だったの?」
百々さん:
「…半年かけて作ったカウルが、展示の3日前に壊れました(笑)」
それは夜間走行テストでの出来事…。終わって帰ろうという時、ハンドルにトラブルが。調べるためスロットルを動かした瞬間、何と車が勝手に走っていってしまったのです。
鈴木さん:
「車だけで丘みたいなところを飛んで、草むらに突っ込んでいったんです(笑)」
事故後の写真を見せてもらうと、カウルが真っ二つに…。
百々さん:
「みんな『ダメかなぁ~』の笑いがすごかったです。1周回って笑っちゃいました(笑)」
それでも朝から晩まで修復作業を続け、何とか無事間に合ったという東京モーターショー。若者の車離れを止めたいと始めた挑戦でしたが、様々な出会いがあったようで…。
百々さん:
「ランボルギーニのデザイナーの方と話をしたり海外の自動車番組に出演したりしました」
水野さん:
「トヨタ自動車の豊田章男社長がいらっしゃって、ブースを通りかかる時に、自分たちのコンセプトである<そうだ、月へ行こう>を見て、『月かぁ…』とおっしゃってました(笑)」
1年以上に及ぶ壮大なプロジェクト。そこで得たモノとは…?
百々さん:
「何度も諦めたくなる時期があったり、メンバー同士のコミュニケーションで揉めたりとかもあったので、“やり切る力”というのを今後の社会で生かしていきたいと思います」
鈴木さん:
「宇宙のプロジェクトをやっている方とお話できたり、サスペンションを作っている会社の方も来ていたので、高校では聞けないようなお話が聞けて良かったです」
春から新社会人。皆さんの悩みとは…。
百々さん:
「周りがめちゃくちゃ頭いい人なんですよ。東大院生や京大院生ばっかりで。そういう頭いい人たちに、どうやったら上手くなじむのかを伺いたいです」
パンサー向井さん:
「俺らも“高校で1番面白いヤツ”みたいな感じで芸人の世界に入っていくわけだけど、そうしたら全国の面白いヤツらが集まって来てて、驚くんだよ。俺もともとボケやりたくて入ったけど、ツッコミだったら出来るんじゃないかとか、壁にぶつかるたびにちょっとずつ迂回しながらやってたら、自分だけしかできない事にたどり着くんだ。その都度考えてると、周りの人たちよりも自分の方が出来ることとか得意なこととかが意外とハッキリしてくるから大丈夫だよ。すごくいいこと言ってるね(笑)」
愛知総合工科高校専攻科卒業生の皆さん、取材へのご協力ありがとうございました。新天地でのご活躍をお祈りしています!