なぜ名古屋なのに“台湾”ラーメン?意外な理由 専門家が分析「名古屋の人の趣向とマッチ」
なごやめしの代表として知られているのが、ピリ辛に炒めたひき肉を麺の上にふんだんに乗せた「台湾ラーメン」や「台湾まぜそば」。他にも、近年様々な「台湾○○」と付くメニューが増えています。しかし、名古屋で愛されるなごやめしになぜ「台湾」と付いているのでしょうか。その理由を徹底調査しました。
台湾ラーメンの発祥は「味仙」 担仔麺を辛くアレンジして誕生
台湾グルメの店が立ち並ぶ名古屋市中心部の大須商店街で、台湾ラーメンがなごやめしと呼ばれる理由について聞き込み調査。しかし商店街では有力な情報は掴めず。そこで、年間400食以上のなごやめしを食べているという研究家に話を聞きました。
(なごやめし研究家・Swindさん)
「1970年頃には、(名古屋市千種区)今池にある『味仙』で(台湾ラーメンが)出されていた」
台湾ラーメンでおなじみの台湾料理店「味仙」を訪ねると、創業者の妻・郭美英さんが、疑問に答えてくれました。
1970年頃に創業者の郭さんが台湾料理「担仔麺」を元に作ったのが「台湾ラーメン」だと言います。担仔麺はあっさりしたスープが特徴で、えびや肉味噌を麺にのせたもの。郭さんは自分の好みに合わせて辛くアレンジし、台湾ラーメンが誕生したのです。
ちなみに「台湾ラーメン」という名前の由来については、台湾出身の郭さんが作ったラーメンということでそのまま省略して「台湾ラーメン」になったそうです。
台湾ラーメンがなごやめしと呼ばれるほど人気になった理由について、なごやめし研究家・Swindさんは、「名古屋の人の趣向として、味噌や醤油の旨味が強いものを料理によく使う。その趣向と台湾ラーメンの辛さがよくマッチしたのでは」と話してくれました。
色々なメニューをなごやめしに変化させる、恐るべし「台湾ミンチ」
「味仙」で人気となった台湾ラーメンをヒントに2009年生まれたのが、ピリ辛のミンチをゆで麺に乗せた「麺屋はなび」の「台湾まぜそば」です。台湾まぜそばには、ちょっと意外な誕生秘話がありました。
当初は、台湾ラーメンのようなメニューを取り入れたいと台湾ミンチを作り、「麺屋はなび」の繊細なスープと合わせてみますが、バランスが悪くて失敗。
残った台湾ミンチを“もったいないから、まかないで食べたい”とアルバイトの女性がゆで上げた麺にのせて食べたのが始まりでした。失敗から着想を得て生まれたのが台湾まぜそばだったのです。
その後、台湾まぜそばは、2013年に行われた「新なごやめし総選挙」で準グランプリを獲得。そして他の飲食店も「自分たちの得意な料理に台湾ミンチをのせたら『台湾○○』として売れるのでは」と考え始めて、ブームになったのではとSwindさんは話しました。
今では、台湾ミンチを乗せた台湾焼きそば・台湾チャーハン・台湾カレー・台湾きしめんなど、次々に「台湾○○」が誕生しています。
(なごやめし研究家・Swindさん)
「変わり種として最近食べたのが、台湾たこ焼き。台湾たこ焼きはなごやめしです」
大阪名物すらなごやめしに変えてしまう台湾ミンチ、恐るべき存在感です。
台湾出身の人が台湾まぜそばを食べると
台湾ラーメンと同じく、台湾まぜそばも台湾には存在しない料理です。では、台湾の人が台湾まぜそばを食べたらどんな感想を持つのでしょうか。
大須商店街で台湾料理店「李さんの台湾名物屋台」を営む李承芳さんに「台湾まぜそば」を食べてもらいました。
(李さんの台湾名物屋台・李承芳さん)
「食べやすい。おいしい!」
台湾の人にも大好評。名古屋で誕生し、多くの人に愛されるなごやめしとなった「台湾ラーメン」。その進化は「台湾○○」として、まだまだ続きそうです。
CBCテレビ「チャント!」10月4日放送より