熱さで服が溶ける?!燃え盛る大松明を担いでダッシュ!700年続く津島神社の「開扉祭」
愛知県津島市にある津島神社で約700年続く「開扉祭(かいひさい)」、通称「おみと」。巨大な大松明(おおたいまつ)を担ぐ男たちは熱さと重さに耐えますが、祭りに対するアツい気持ちも秘めていました。今年4年ぶりに通常開催されたこの祭りを、タレントの寺坂頼我くん(以下、寺坂くん)が取材しました。
熱い!重い!長さ10メートルの燃える大松明を担ぐ「開扉祭」
「開扉祭」について調べるため、津島神社の境内に入ると紙垂(しで)がついた巨大な物体を発見。宮司に尋ねてみると…。
(津島神社 宮司・堀田正裕さん)
「大松明。直径が1メートル、長さが10メートル」
祭りのシンボルともいえる2本の大松明。コロナ禍の3年間は長さ7メートルでしたが、今年は4年ぶりに10メートルに。「開扉祭」は、燃えている大松明を担いで神社の中を練り歩き、その火で災いを払うという祭りです。
神社の鳥居を出発した2本の大松明が拝殿の前に整列すると、2本の間を神職さんが通り抜け、本殿で神事が行われます。本殿の扉を開けて神様にお供え物をすることから、「開扉祭」の名がついたと言われています。
(津島神社宮司・堀田正裕さん)
「『おみと』っていうのは、御御扉で“おみと”」
大松明の材料は、「葭(よし)」と呼ばれるイネ科の植物。2本作るには、約12万本の葭が必要です。そのため、神社の近くには祭りで使う葭専用の田んぼがあり、栽培から松明の完成まで1年かかります。
何があっても大松明は落下厳禁!700年続く歴史を伝承
大松明の担ぎ手は、地元の消防団「津島市消防団西分団」を中心としたメンバー。祭り歴28年の分団長・松永純一さんが全体の指揮を執ります。
(分団長(指揮役)・松永純一さん)
「700年続くお祭りなんですけど、松明は一度も落としたことがないって聞いたので、落とさないように。4年ぶりに大きな松明を担ぐので、うまく担げるのかなっていう…。ぶっつけ本番なんで!」
担ぎ出し1時間前の午後7時、担ぎ手たちは、大松明のもとへ。ここで、初めて今年の大松明を担ぎ、スタート地点の鳥居前まで運びます。大松明1本の重さは約700キロ、25人ほどで担ぎます。松明に取手はなく、葭を縛っている縄を持つしかありません。
一番の難所かつ一番の見せ場は、豊臣秀吉が寄進したとされる楼門の通過、火のついた大松明を担いだまま、タイミングを合わせて、この難所をダッシュで通過します。松永さん曰く、「もし転んで、地面に引きずられてでも、縄は離さないこと。松明を落としてはいけない」とのことで、担ぎ手の過酷さが伺えます。
15回目の祭り参加にして、初めて前誘導を務めるのは、上田昌也さん。先頭で火の調整や舵取りを行う花形ですが、最も過酷なポジションでもあります。
(「前誘導」初挑戦・上田昌也さん)
「熱い。服が溶けたり…。なので後ろの人に燃えていたら消してもらう」
普通ならありえない距離で炎と向き合う前誘導。上田さんの初挑戦が始まります。
熱さをこらえて葭を取り合う観客の姿が…その真相は
午後7時45分、大松明の先端に点火。担ぎ出しまでの間、上田さんは軍手1枚で勇敢に火の調整を行います。
(「前誘導」初挑戦・上田昌也さん)
「あまり燃やしちゃうと担ぐ場所まで(火が)すぐいっちゃう」
しかし、この日は強風で火の調整に苦戦。午後8時、いよいよ担ぎ出しが始まります。火が点いた大松明は担ぎ手たちによって鳥居を通過し、境内を一周して最難関の楼門前へ。緊張の瞬間です。
楼門の向こう側で大勢の観客が見守る中、指揮役の松永さんの合図で無事に通過することができました。その後も、熱さに耐えながら担ぎ続け、最終地点の拝殿前に到着。しかし、神職が2本の大松明の間を通り終わるまでは、担ぎ続けなければなりません。そして、担ぎ出しから約10分、ようやく大松明が地面に下ろされ、その後は、大松明全体に空気を送り込んで一気に燃やします。
これで終わりかと思いきや、今度は観客が激しく燃える大松明のもとへ。実は、燃え残った葭は、箸にすると虫歯除け、玄関に置いておくと雷除けなどの厄除けに効果があるとされ、観客は熱さをこらえながら取り合います。
(「前誘導」初挑戦・上田昌也さん)
「今年は火の回りがけっこう速くて、ちょっと調整が大変でした。僕の背中を見て、次の前誘導やる人が出てきてくれたらいいなと」
今回のベストオブOMATSURIちゃんには、前誘導に奮闘した上田さんを選出。大松明の火と格闘し続けた手で、立派な手形をいただきました。
CBCテレビ「チャント!」3月20日放送より