一世帯一人以上の参加が絶対条件!?愛知県豊田市「足助祭り」で一生に一度の大役に臨む男性に密着
山車の上の舞台で踊る男たちに、響き渡る爆音!一世帯一人以上の参加が絶対条件という鉄の掟を守り続ける町内で、一生に一度しかできない大役に挑む男の心境とは?祭りにアツい思いをかける「OMATSURIちゃん」をタレントの寺坂頼我くん(以下、寺坂くん)が探しました。
山車で踊る男たち?!街の全世帯が参加する田町の足助祭り
2023年10月8日、愛知県豊田市の紅葉の名所「香嵐渓」で開催された「足助祭り」。町を探索していると、町を練り歩く山車に遭遇しました。さらに、山車の正面にはせり出した舞台があり、その上で男性たちが激しく踊っていました
(男性)
「(Qあれは何?)出役。足助の(の山車には)からくりがないから、若い衆がお囃子に合わせて踊る」
東海地方の様々な山車祭りで、神様を楽しませるため、からくり人形を奉納するものは何度も目にしてきましたが、生身の人間が踊る山車は初めてです!
早朝から豪華絢爛な4町内の山車が足助八幡宮まで曳き回され、境内を中心に夜まで様々な催しが行われるのが足助祭り。中でも最も人数が多いのが、「田町(たまち)」です。
(田町自治会長・岩瀬朝啓さん)
「(Q田町にはどれくらい人がいる?)135世帯。(Q伝統がある?)一世帯一役」
田町の住民は、全世帯一人以上の参加がルール!さらに、その全員にきっちり役割が与えられています。山車を曳くのは「綱役」、細かな軌道修正を絶えず行う「梶方」、山車の中にはお囃子を演奏する「囃子方」、女性たちも男性陣の食事などを準備する「お手伝い」として祭りを支えています。
中には、火縄銃の奉納を行う「田町警固隊」という役を担う人もいます。
一人前の男になった証!一生に一度の大役「年行司」
田町の135世帯を束ねるのは、山車の上部のセンターで盛り上げる本多由一さん(39歳)です。「年行司(ねんぎょうじ)」と呼ばれる、いわばその年のリーダーで、週末はほとんど祭りの準備に費やします。全体連絡やお金の管理など、1年かけて作業に追われてきました。
(年行司・本多由一さん)
「ずっと稽古。段取り、お付き合い。(Qでもやりたい?)祭りが好きでやらせてもらっているので、年行司までやってナンボ」
足助の男たちにとって、「年行司」は一人前の男になった証。田町の年行司は「一生に一度」の大役です。さらにこの役には、足助祭り最大の見せ場があります。
(年行司・本多由一さん)
「(Qこのあと何が待っている?)ボンデン投げ。山車の先端に白いボンボリみたいなものが2つ付いている。それを最後、お宮さんの前で投げる」
神様に祭りの終わりを告げる「ボンデン投げ」。大観衆の中、各町内の年行司がそれぞれの町に伝わる1分程度の口上を叫び、「ボンデン」と呼ばれる祭具を投げます。
ボンデンは昼の練り歩きで邪気を吸収し、それを投げることで「厄払い」になると言われているのです。しかし、本多さんはかなり控えめな性格。「ボンデン投げ」の練習では、声が小さいと言われるなど、家族や周囲の人からも心配されていました。
(年行司・本多由一さん)
「やっぱりまだまだ。自分の声は通りにくい…。腹から(声を)出す。カッコよくやれたらいいな」
失敗は許されない!魂の口上とともに放たれる「ボンデン投げ」
足助祭りも終盤に差し掛かり、町を練り歩いていた山車も足助八幡宮に向け動き出します。家族も声援を送る中、一年の平和を願い、町の誇りを見せつける一生に一度の「ボンデン投げ」の瞬間がやってきました。
ゆっくりと口上を述べ、魂の「ボンデン投げ」は見事大成功!見守っていた家族も、無事に成功させた本多さんを見て、笑顔です。
(年行司・本多由一さん)
「やり切りました。皆さんのおかげで、ここまでこられた。本当に…ありがたく…きれいな景色でした」
後輩や町の人たちも、大役を終えた本多さんを労います。全世帯参加で盛り上がる、田町の足助祭り。普段おとなしい本多さんも、喉が裂けるほどの雄叫びで、祭りへのアツい思いを炸裂させました。
今回のOMATSURIちゃんは、無事に年行司の大役を終えた本多さん。寺坂君の法被にアツい手形が刻み込まれました!
CBCテレビ「チャント!」10月18日放送より