美しすぎる花魁(男性)に大量の爆竹!?4年ぶりに開催した奇祭「雨乞いまつり」の実態とは?
愛知県豊川市にある宮道天神社の奇祭「雨乞いまつり」が4年ぶりに開催されました。2日間にわたって行われるこの祭りでは、目と耳を疑うような行事が次々と行われます。一体どんなことが行われているのか、祭りにアツい思いを持って参加する「OMATSURIちゃん」を探しました。
「神様を迎えに行く」 深夜の山登りから祭りがスタート!?
午前3時半、「雨乞いまつり」は山登りからスタート。あたりはまだ真っ暗ですが、境内に集まった人たちは参拝した後、山へと向かいます。
(宮道天神社宮司・山本行洋さん)
「(Qこんな時間から何をされるんですか?)今から奥宮登拝といいまして、宮道天神社の雨乞いまつりの一番最初のお祭り(行事)」
真っ暗な山道は、途中から獣道に。灯り一つない山道を行く理由を聞きました。
(参加者)
「神様をまず山にお迎えに行って、雨乞いの神事を受ける」
暗いうちに神様を迎えに行くという故事に従って、山の麓にある「里宮」から山頂にある「奥宮」へと歩を進めます。午前5時、標高362メートルの山頂にある奥宮に到着。ここでは、2日間に渡って行われる祭りの成功や、参加者の健康などを願う神事が行われます。神事が無事に終わると下山し、午前7時ごろにいったん解散しました。
女装男子がたくさん!祭りのメインイベント「歌舞伎行列」とは?
その翌日、神社の一角には真っ白に顔を化粧する人たちの姿がありました。その理由は、祭りのメインイベント「歌舞伎行列」に参加するため。地元の若者が町娘や舞妓などに扮し、町を練り歩きます。
江戸時代、大干ばつのときに雨乞いをしたところ雨が降ったということに起源をもつ「雨乞いまつり」。歌舞伎行列は、神様を楽しませるための余興として行われるのです。
ひときわ華やかな花魁を発見。しかし、その素顔はお祭り好きの30歳男性です。父親の影響で中学3年生から毎回参加し、今年で11回目の女装!本来は、地元の青年が女装など、歌舞伎の格好をするのが歌舞伎行列でしたが、年々青年の数が減り、今年は7割以上が女性の参加となりました。
中には、兄妹で歌舞伎行列に参加する人もいます。歌舞伎行列に初挑戦する兄・水野麗加さんと、今年で2回目の参加となる妹・水野華音さんです。麗加さんは大百(だいびゃく)、華音さんは藤娘に扮します。
兄・麗加さんと一緒にお祭りに参加したかったという妹の華音さん。祭りの運営を担う父の水野純さんと、親子3人で参加します。
雨乞いをしながら歩く行列に、大量の爆竹!?
きらびやかな歌舞伎行列の後ろに、町ごとの山車が続きます。今年は、下町と関川の2つの町が参加。総勢50人以上を擁する行列が、約1kmの距離を練り歩きます。行列の最後尾には、神様を乗せたお神輿が。子どもたちは、「アメガフッチャソウソウヤ」という掛け声を掛けながら歩きます。これは、「雨が降っては早々や」と言っており、雨が早く降って欲しいという雨乞いの言葉でした。
下町の山車の前には、歌舞伎行列初挑戦で、大百に扮した麗加さんの姿が。大百は、行列の主役で「車止め」とも呼ばれ、山車のスピード調整をする重要な役割を担います。最大の特徴が、その歩き方。「六方」と呼ばれる歌舞伎の所作の1つで、手足の動きを誇張して表現するため、足への負担は相当なものです。
お父さんの純さんも、かつて麗加さんと同じように大百を務めた経験があり、20年の時を経て息子が今年、大役を務める姿を見守ります。
(歌舞伎行列初挑戦 水野麗加さん)
「(Qここまでやってどうですか?)バカしんどいです。(Q楽しいとしんどい、何対何?)7対3、7が楽しい」
さらに道中では、大量の爆竹が鳴らされます。その爆発音のすごさに取材陣の声が届かないほど。余興の意味合いが強いこの歌舞伎行列では、爆竹も雰囲気づくりに欠かせないアイテムだといいます。
大役を終えた息子を見届けた父の目には涙が…。
この日は、気温が35度を超える猛暑日。それでも大百の麗加さんは必死に足をあげ、前に進みます。先にゴールしていた花魁や妹の華音さんも駆けつけ、無事に行列が終了しました。
(参加者)
「神様を乗せた神輿が、これで宮道天神社に帰ります。うちの山車も撤収していきます。これで終わりになります」
4年ぶりにかつての活気を取り戻した「雨乞いまつり」。今回のベストオブOMATSURIちゃんは、初挑戦ながらも大百の大役をやり遂げた水野麗加さんです。
(歌舞伎行列初挑戦 水野麗加さん)
「しんどかったですけど、めちゃくちゃ楽しかったです。またやりたいですね」
息子の雄姿を見届けた父・水野純さんも、大切な祭りを自分の子どもたちが受け継いでくれることをうれしく思っていると、目に涙を浮かべます。
これからの祭りを担うOMATSURIちゃんから、アツい思いのこもった手形をいただきました!
CBCテレビ「チャント!」9月13日放送より