癒し系アナが岐阜県恵那市岩村町の『カステーラ』を調査! 日本のカステラのルーツがここに!? 230年、変わらぬ味を食す
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、町に根づく愛されフード。CBCアナウンサー2年目の松本道弥アナが全力で調査します。
今回は、『岐阜県恵那市岩村町』。城下町として発展した、この町の愛されフードは『カステーラ』です。
カステラというと長崎県を思い浮かべますが、町で聞き込みをすると、地元ではおそらく100%の認知度で、レンガくらいのビックサイズでありながら、まるっと1本食べられるくらいの軽い口当たりだとか。
岩村城跡から一番近い『松浦軒本店』という店が最も歴史があると薦められました。
江戸時代創業の老舗和菓子店『松浦軒本店』。愛されフードの『カステーラ』は、全面にこんがりと焼き目がついた、あまりお目にかかれないタイプのカステラです。
代表格の“長崎カステラ”と比べると、その差は歴然。パンに近いふんわりとした質感の岩村町の『カステーラ』には、長崎カステラに使われる“水あめ”は入っていません。
水分量の多い水飴ではなく、“ハチミツ”を入れるのが、ふんわりの秘訣。
小麦粉など材料を合わせたものを石臼で時間をかけて混ぜると、まるでホイップのような仕上がりに。この生地が、他のカステラにはないフワフワ食感を生んでいます。
そして、もう一つの違いは“焦げ目”。長崎カステラは、大きな型で焼いて、あとから切り分けるため、色が違うのは上下のみですが、『カステーラ』には全体に焦げ目がついています。その理由は、熟練の職人が手作業で“専用の型で一つ一つ焼く”ため。そして、焼きあがったらすぐセロファンで包み、蒸らして生地に水分を戻す“焼き戻し”という技法を使うことで、ふんわりで程よいもっちり感も残した、独特の食感に仕上がるそうです。
一説にカステラは、室町時代の南蛮貿易で、ポルトガル人宣教師によって日本に伝来。砂糖と卵をふんだんに使った栄養価の高い食べ物であったことから、“滋養食”として蘭方医などによって全国へ広まり、遠く離れた岩村町にもその製法が伝わりました。『松浦軒本店』では、岩村藩の御殿医から殿のためにカステラを作るように頼まれ、材料や製法を聞き、作ったのが始まり。230年ほど前のことです。
明治以降、水あめを使った長崎カステラが全国的に知られていく中、この店では、伝えられた当時のまま、製法を忠実に守ってきたため、今では「日本におけるカステラのルーツそのもの」という声も。7代目は家業を継いだ時から「作る時には記録せよ」を肝に銘じ、常々8代目にも伝えてきました。その8代目は「お菓子作りは科学」と言い、日々の記録の大切さを実感し、活かしています。
230年、岩村町で受け継がれ、愛されてきた『カステーラ』。実は、全国的にも貴重な歴史遺産でもありました。
(10月14日(金) CBCテレビ「チャント!」より)