残り試合30を切った今、与田ドラゴンズに願いたい「やるべきこと」

残り試合30を切った今、与田ドラゴンズに願いたい「やるべきこと」

戦いの日々は、こんなにあっという間に過ぎるものなのだろうか。
与田剛監督が指揮をとっての1年目、新生・中日ドラゴンズの2019年シーズンも残り30試合を切った。つい先日、期待と希望を胸に開幕戦を迎えたのにという驚きと共に、現時点のBクラスという順位についての「夢なら覚めてほしい」という願いが、暑さの中で錯綜する晩夏である。

新体制で加速できなかった

昨季2018年シーズン、残り30試合となった時点でのドラゴンズは、50勝62敗1分、負け越し12、0.5ゲーム差で最下位だった。
今季は同じ113試合を終えたところで(8月21日ゲーム終了時点)、49勝62敗2分、負け越し13、リーグ5位である。新監督の下で奮闘している印象があったがほぼ同じペースである。チームが新しい体制になった初年度は、勢いが出て好成績を残すケースが過去いろいろなチームでも散見されたが、こと今季のドラゴンズに関しては当てはまらなかったようだ。残念。

野手の「新旧交代」は足踏み

ちょうど1年前の記録メモを見て気づいたことがある。
「これから残り30試合」となる113試合目のゲームは2018年8月24日のナゴヤドームでの阪神タイガース戦だった。スタメン野手の顔ぶれである。1番の平田良介選手から始まり、京田陽太、大島洋平、ダヤン・ビシエド、藤井淳志、高橋周平、福田永将、そして松井雅人という各選手が並ぶ。今シーズン途中にオリックス・バファローズに移籍した松井捕手以外、何だかほとんど1年後の現在と同じような・・・。
「新旧交代」という竜にとっての大きな課題が、野手陣においては未だ解決していないことをあらためて痛感させられた。

明日が楽しみな若手投手陣

「サンデードラゴンズ」にゲスト出演する川上憲伸さんと宮下純一さん©CBCテレビ

その一方で評価したいことは、プロ初勝利を挙げた投手が5人もいることである。阿知羅拓馬、清水達也、勝野昌慶、山本拓実、そして梅津晃大という投手たちが、次々と飛び出した。清水と山本両投手は2年目、梅津と勝野両投手はルーキーである。まだローテーションの一角に定着するには至っていないものの、こと投手陣について言えば「新旧交代」は着実に進んでいる。これは与田監督ら首脳陣の積極的な投手起用の賜物だ。ここ数年、いやもっと長い間、ドラゴンズにこんな現象はなかった。間違いなく“明日”が楽しみだ。

あと1点!という切歯扼腕

今季ドラゴンズは1点差で負けたゲームが24試合ある。サヨナラ負けは実に10試合。
昨季2018年は38試合もの逆転負けにファンとして涙し続けたが、今季の1点差負けも実は相当に堪える。「よく粘った」「よく頑張った」という評価はシーズン前半戦ならば許されるかもしれないが、やはり勝たなければならない。
また、ホームランで決着するような爽快なサヨナラ勝ちゲームが1試合もないだけに、逆に2ケタのサヨナラ負け試合数は、応援するファンの心に大きなダメージをもたらしていることも事実である。千葉の交流戦での悪夢のような敗戦もあった。それでも新監督の1年目シーズン、だからこそ竜党は声援を送り続けている。

残り試合への切なる願い

「サンデードラゴンズ」にゲスト出演する川上憲伸さんと宮下純一さん©CBCテレビ

残り30試合を切った今、ドラゴンズに願いたいことは2つ。
ひとつは、クライマックスシリーズ進出の可能性がある限り、フルイニング気を入れた闘いをしてほしい。これはプロの集団として当たり前のことである。そんな中でも「1点差で勝つゲーム」を増やしてほしい。1点差での「負け」が「勝ち」に転じることは6年連続Bクラスに低迷するドラゴンズにとっては大切なステップアップである。
そしてもうひとつは「来季への希望の光」をグラウンドで見せてほしい。ドラゴンズはこういうチーム作りに邁進していくぞ、という球団としての確固たる方向性と燃えるような気概を見たい。明日の竜を担う若い戦力を積極的に起用してもいい。ファンはそんな“手応え”がほしい。それを胸に抱いてファンもシーズンを締めくくりたい。そんな願いを胸に、きょうもナゴヤドームに足を運ぶ。

【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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