2軍“読谷組”スタートの3選手に注目だ!ドラゴンズ沖縄キャンプの焦点
プロ野球の春季キャンプがスタートする。キャンプ地である沖縄県そして宮崎県共に、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が出ており、12球団無観客でのキャンプインとなる。そんな中、10年ぶりのリーグ優勝をめざす中日ドラゴンズ、個人的に注目したい選手はいずれも2軍の“読谷組”にいる。その3選手をご紹介しよう。
“エース道”を歩む新背番号の梅津晃大
入団3年目を迎える2021年シーズン、背中の数字は軽くなった。背番号「28」から希望していた「18」へ変わった梅津晃大投手である。
2020年8月2日のナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)、真夏の東京ヤクルトスワローズ戦での熱投が忘れられない。延長まで10回をひとりで投げ切った。投球数は理想的な127球、許した安打は5本。打線の援護なく、勝利投手になることはかなわなかったが、ファンの心にズシリと響く見事なピッチングだった。
残念ながら、右ひじの違和感から、そのゲームを最後にシーズンで1軍マウンドに立つことはなかった。しかし“将来のエース”へと期待する声は圧倒的である。いつの時代も、ファンは熱いピッチングが好きなのだ。
梅津投手は、日本一チームである福岡ソフトバンクホークスのエース、千賀滉大投手と自主トレを行った。日本を代表する投手のひとりである「滉大(こうだい)」に“弟子入り”した竜の「晃大(こうだい)」にとって、得たものは多いはずである。それを突き詰める春季キャンプだ。まずは先発ローテーションに入って規定投球回数を投げ切ってほしい。そうなれば2ケタ勝利がついてくるはずだ。頼むぞ、背番号「18」!
20歳の主砲誕生を見たい!石川昂弥
「石川のバッティング練習を見るだけでも、名古屋から沖縄への往復航空券代を払う価値がある」
1年前の春季キャンプで、スポーツアナウンサーにこう言わしめた石川昂弥選手は、2年連続の“読谷組”スタート。昨シーズン後半になって体調を崩したことから、無理をさせないという配慮であろう。しかし、ファンの夢はおのずから広がっていく。
「早く4番に座ってほしい」
セ・リーグ他の5球団の4番打者は、ジャイアンツ岡本和真、タイガース大山悠輔、ベイスターズ佐野恵太、カープ鈴木誠也そしてスワローズ村上宗隆と、すべて若き顔ぶれである。「近い将来に」などと悠長なことは言わず、早々に竜の4番に座ってもらいたい。
そして球団には、6月にようやく20歳を迎える若きスラッガーをきっちりと育て、どっしり腹をくくって起用してほしいと願う。それを見据えてのドラフト1位指名だったはずであり、王貞治さん(ホークス会長)がドラフト1位指名してまで欲しかった逸材。早い時期に1軍“北谷組”のキャンプでホームランを連発してほしい。
祖父江大輔が魅せる眼力と投球術
見ているこちらまで射すくめられるような鋭い目線。2020年シーズンはチーム最多の54試合に登板して、最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得した祖父江大輔投手には、新たなる立場への期待もある。
新型コロナの影響で、外国人選手のキャンプ合流が遅れる見通しだ。その中には160キロを超える剛速球で“抑えの切り札”として「勝利の方程式」を締めくくり続けたライデル・マルティネス投手も入りそうだ。
かつて「最多セーブ」というタイトルが初めて導入された1974年(昭和49年)の星野仙一投手から始まって、鈴木孝政、小松辰雄、牛島和彦、郭源治、宣銅烈、エディ・ギャラードそして岩瀬仁紀の各投手、ドラゴンズが強い時代には必ず“抑えの切り札”が存在した。どの球団にとってもクローザーは重要だが、85周年を迎えたドラゴンズにとって、その存在は特に大切と言える。
マルティネス投手が間に合わない時の“代役”は祖父江投手に期待したい。その理由は与四球の少なさである。2020年は50イニング余りを投げ、与えた四球はわずか7つ。リリーフ登板して、ナインもファンもガッカリするのは、肝心なところでの四球である。ストライクを投げていれば、打ち取る確率は上がる。
「優勝争いをしたい。優勝したい」と熱く語る背番号「33」は、ユニホームを脱げば、涼し気な目のさわやかな青年だ。そのギャップも大いなる魅力。キャンプ当初は“読谷組”で投球と眼力をますます鋭く磨き、1軍への合流を待っている。
8年ぶりにAクラスになったことで、キャンプの中味も当然1ランクも2ランクも上がるはずである。梅津晃大、石川昂弥、そして祖父江大輔、“読谷組”の3選手はもちろんのこと、すべてのドラゴンズナインは徹底的に自らを追い込んでほしい。
無観客のため、当面はファンの声援なきキャンプが進んでいくが、竜党の熱き視線と優勝への期待だけは、沖縄の地にドラゴンズブルーの空を描き続けるはずだ。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】