若竜が躍動中!ドラゴンズ沖縄キャンプ前半戦で目立った次世代の“主役”たち

若竜が躍動中!ドラゴンズ沖縄キャンプ前半戦で目立った次世代の“主役”たち

プロ野球12球団の春季キャンプも折り返し点を迎えた。毎年この時期はキャンプ地からの明るい話題が届くのだが、中日ドラゴンズのキャンプ地である沖縄の北谷球場と読谷球場からは、例年以上に、元気な若竜たちのニュースが連日のように発信されている。

石川の打撃練習はキャンプの人気

注目の筆頭は、ドラフト1位ルーキーの石川昂弥選手である。
キャンプ初日の打撃練習から柵越えを連発して、球団関係者やファンの度肝を抜いた。バッティング練習に立ち会ったCBCテレビのスポーツアナウンサーは興奮気味にこう表現した。
「石川のバッティング練習を見るだけでも、往復航空券代を払う価値がありますよ」
石川選手は、実戦形式のシート打撃でも、また他球団との練習試合でも結果を出している。
「1軍で十分やれる」と分析する野球評論家も多い。まだ卒業式も終えていない“高校3年生”にして早くも大物ぶりを発揮中。オープン戦そして開幕に向けて、夢を描くドラゴンズファンも多い。

待望の正捕手ついに誕生か?

「サンデードラゴンズ」より郡司裕也捕手

石川選手と同じくルーキーの郡司裕也捕手も注目されている。
慶応義塾大学野球部のキャプテンにして、東京六大学野球の三冠王。今だ正捕手が決まっていないドラゴンズだけに、新人捕手がいきなりレギュラーに躍り出る可能性も十分にある。それは2つの理由からだ。とにかくバッティングが素晴らしい。相手投手の配球を読みながらの打撃に対する評価は高い。そして「勝てる捕手」であること。大学時代には、チームを日本一の座にけん引した。
2019年シーズン最も先発マスクをかぶった強肩の加藤匠馬捕手や、力強い打撃が売り物の木下拓哉捕手の「タク・タク」両先輩キャッチャーとの開幕マスク争いの可能性もあり、その凌ぎ合いから待望の正捕手が決まるかもしれない。

二刀流から切れ味鋭い外野手へ

「サンデードラゴンズ」より岡林勇希選手

もうひとりのルーキー岡林勇希選手の評判もいい。
高校時代は投手と野手の“二刀流”だったが、プロでは外野手1本で勝負することになった。2軍キャンプ地の読谷球場で見せるシュアなバッティングは、早くも首脳陣の目に留まっている。沖縄電力との練習試合にも早々に登場した。投手としても150キロを超える球を投げるのだが、50メートルを5秒台で走る俊足は、外野手としての適性も十分。石川選手と同じく、まだ“高校3年生”という若さだけに、先が楽しみな選手である。

投手王国復活への新たな芽

「サンデードラゴンズ」より山本拓実投手

投手で目立っているのが、まず入団3年目を迎える山本拓実投手である。
初の1軍対外試合となった2月8日の阪神タイガース戦に先発、3回を2安打無失点に抑えた。もともとクレバーな頭脳派投手である上に、思い切りのいい投球とキレのある球筋で、首脳陣の期待に応える初登板だった。開幕ローテーション入りを狙う山本投手は、キャンプ入り前に成人式を終えたばかり。20歳の右腕に期待は高まる。
もうひとり期待の右腕は、さらに力強い。2年目の梅津晃大投手である。
ルーキーだった2019年シーズンは「初登板初先発」からの3連勝で、球団記録に並んだ。野球に取り組む姿勢にも強い芯が通っている選手である。キャンプ地を訪れた侍ジャパンの稲葉篤紀監督が「注目している」と語ったほどに、開幕ローテーションはもちろんのこと、先発陣の柱になるかもしれない逸材であろう。

根尾も虎視眈々とチャンスを狙う

「サンデードラゴンズ」より根尾昂選手

元気な若手選手の話題は、ドラゴンズファンにとっては嬉しい。高校球界のスーパースターだった根尾昂選手も、ポジションを本来のショートから、さらに外野手にまで拡大して出場のチャンスを狙っている。
しかし、彼らがそのまま1軍の舞台で活躍できるほど、プロの世界は甘くない。ベテラン選手は自分たちのペースを心得ていて、黙々と調整を続けている。自ら志願して2軍キャンプ地で練習している大島洋平、平田良介の両外野手が代表的なケース、まもなく2人は間違いなく1軍に合流してくる。

ただ、これまでも度々、当コラムでも書いてきているが、7年連続Bクラスと低迷するチームを上位に押し上げるのは、前年までのレギュラー選手による底上げだけでは容易なことではない。戦いに勢いを与えるのは新しい戦力、若い芽である。
開幕投手には大野雄大投手が決まった。しかし、あとの開幕スタメンはこれからの勝負だ。
新旧のチーム内競争がさらに激しくなることを楽しみにしながら、2020年キャンプ後半戦を迎えたい。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

                                
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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