これも異常な暑さの影響でしょうか。大きな体に透明な羽根が特徴のクマゼミが今増えています。一体、なぜなのか。そのワケを探りました。外にいるのが危険なほど、暑くなってしまった日本の夏。自然もじわじわと変わりつつあるようです。夏の音といえば「セミ」。東海地方で特になじみがあるのは、体が茶色い「アブラゼミ」の鳴き声。しかし今は…「8割近くクマゼミになっている」(柿田公園管理事務所白坂幸子さん)「クマゼミがすごく鳴いていますね」愛知県安城市の公園に行ってみると、アブラゼミではなく、クマゼミの鳴き声ばかりが聞こえてきます。(柿田公園管理事務所森下千代子所長)「(抜け殻が)ことしは8割近くクマゼミになっている」「ある時点から比率が変わった」この公園では、エコロジーの基地「エコきち」と銘打って、12年ほど前から子どもたちが抜け殻を集めて、どんなセミがいるのかを調査する取り組みを続けています。(子ども)「クマゼミです!"おへそ"ある!」「アブラゼミ。"おへそ"ない!」クマゼミの抜け殻には、「へそ」のように見える部分があり、サイズもアブラゼミより一回り大きいのです。6人で集めたこの日、やはりクマゼミが最も多く見つかりました。これまでに集めた抜け殻が箱で積んでありますが、クマゼミの山です。一方、アブラゼミは少しだけ。(柿田公園管理事務所森下所長)Q.12年間でセミの抜け殻に変化はある?「ある時点からクマゼミのほうが、アブラゼミより比率が多くなりました。それはことしも顕著に表れています」Q.年々暑くなってくると?「クマゼミが増えているのが、安城市の現状だと感じる」「クマゼミ」が関東にまで⁉10年間のぬけがら調査をグラフにしてみると、6年ほど前からクマゼミが増え、アブラゼミを逆転しています。クマゼミの生息域は、元々九州沖縄~西日本にかけてでしたが、最近の分布調査を見ると関東にまで広がっています。果たして、これは温暖化が原因なのか。昆虫生態学の専門家に聞くと…(農研機構岸茂樹上級研究員)「現状の論文のデータでは、温暖化で(クマゼミの)分布が北上している。(セミは)木の根の汁を吸いながら生活するので、木の移植によって、セミも一緒に移動する事例がある。人為的な影響も生じてくるので、分布域が北上している理由の一部は人が運んだ影響もあるかもしれない」暑さだけが原因かは不明ですが、明らかに変化は起きていると言います。海が砂漠化?「もう、何もないわ…」気候変動が関係していると見られる変化は、他にも。志摩市の海の中を2009年に撮影した映像には、アラメやミルなどの海藻が生い茂っています。これが様々な生き物を育み、伊勢志摩の豊かな海を支えてきました。しかし、いま海藻は姿を消し、海が砂漠化。「磯焼け」という現象です。(漁師・小川吉高さん)「海藻でいっぱいだったけどな、昔は。もう、何もないわ…(磯焼けは)15年くらい前からぼちぼち始まって、この10年間で(海藻が)完全になくなった」海の温暖化で繁殖に欠かせない海藻が減り、それと共に、伊勢志摩特産だったはずの伊勢エビも減り続けています。20℃前後の水温を好む伊勢エビは、いまや東北の福島で大漁に。(漁師)「毎日とれるんじゃないの」(別の漁師)「10匹とか、10何匹とかとる」一方伊勢志摩の海では、沖縄の魚・グルクンや、南の海につきもののサンゴ礁まで、温暖化と共に進む海水温の上昇は、確実に海を変えています。 暑すぎてセミが「夏眠」!?再び、愛知県安城市の公園。クマゼミが増えているのは、果たして温暖化のせいなのか。はっきりとはわかりませんが、子どもたちや所長の森下さんも「気になっている」ことがあると言います。(子ども)「抜け殻自体がとれてない」「あんまり見つけられないかな」(柿田公園管理事務所森下千代子所長)「(ことしはセミの抜け殻が)ものすごく減っている。(去年と比べて)半分まではいかないけど、それに近いものはある」確かに、抜け殻の箱を去年と比べてみると、明らかに少ないことが分かります。(農研機構岸茂樹上級研究員)「昆虫よっては『夏眠』、暑すぎるから寝る。一番暑い時期を、避けるようになるのではないか。秋あるいは春に(出現の)ピークがずれるのではないかと思っている」あまりの暑さにセミ自体が減っているのか、それとも今後は、真夏より後に、出てくる虫になるのか。いずれにせよ、私たちを取り巻く自然そのものがじわじわと変わっていることは確かです。CBCテレビ「newsX」2025年8月28日放送より