ロールモデルのような憧れの存在ではなく、身近な“隣の女性”たちの持つリアルな本音に耳を傾けることで、「今」を生きる女性たちを応援したい――。そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。都会でありながら、地方都市でもある名古屋。この街で働く女性たちならではのライフスタイルとは、どんなものなのでしょうか?今回は誰しも関心の高い「お金の悩み」をテーマに座談会を開催いたしました。参加してくれたのは、CBCテレビ夕方の情報番組『チャント!』『newsX』を担当する2人の女性ディレクター、28歳のA子さんと27歳のS子さん。さらに、アドバイザーとして、名古屋にある「じんFP事務所」代表で、ファイナンシャルプランナー(FP)でもある39歳の祖父江仁美さんにも加わっていただき、me:tone編集部が取材しました。第4回のテーマは「ファイナンシャルプランナーのリアルなお金の使い方」です。ファイナンシャルプランナー(FP)の仕事とは?これまで、20代の貯金額やNISA・iDeCo、資産運用など、アラサー女子のお金にまつわる疑問に的確に答えてくれたファイナンシャルプランナーの祖父江さん。座談会の終盤で、S子さんが率直な疑問を投げかけました。S子さん:「ファイナンシャルプランナーという肩書きの方が、実際にどんなことを教えてくれるのか、何をしているのかが分からなくて…。正直、これまで頼りようがなかったんです。」これまで資産運用について、誰に相談すればいいのかも分からず、つい後回しにしてきたという2人。今回の座談会を通して、祖父江さんにお金の疑問を一つひとつ聞くことができ、S子さんもA子さんも少し安堵した表情を見せます。「もっと早く相談すればよかった」と感じつつも、改めてファイナンシャルプランナーの仕事について尋ねました。祖父江さんによると、ファイナンシャルプランナーの業務は、大きく分けて次の6つの分野があるそうです。1ライフプランニングと資金計画2保険などリスク管理3金融資産運4タックスプランニング5不動産6相続・事業承継このうち、祖父江さんが専門としているのは「ライフプランニングと資金計画」。家計の収入と支出のバランスがうまく取れず、思うように貯金ができていない人には家計管理のアドバイスを行い、老後に向けて資産形成をしたい人には、それぞれの目的に合わせた生涯設計を提案します。また、金融商品を運用する際にも、専門用語をかみ砕きながら、分かりやすく一般的な解説を行うのも役割のひとつだといいます。ファイナンシャルプランナーという仕事は、まだあまり馴染みがないと感じる人も多いかもしれません。実際、多くのファイナンシャルプランナーは金融機関に所属し、自社の商品を提案するアドバイザーとして活動しています。一方で、祖父江さんのように個人で事務所を構えて活動するFPは、まだ少数派なのだそうです。※イメージファイナンシャルプランナーが語る、たったひとつのお金の後悔座談会の中で、貯金やNISA、iDeCoなどについて幅広く話を聞いてきたA子さん。最後に、ファイナンシャルプランナーの祖父江さんへ、ストレートな質問を投げかけました。A子さん:「もし祖父江さんが、今29歳だったとしたら、どんなことをしていますか?もし戻れるなら、これをしておけばよかった、という後悔はありますか?たとえば、NISAをやっておけば良かったとか。」興味深々の2人に向けて帰ってきた祖父江さんの答えは、少し意外なものでした。祖父江さん(FP):「お金が理由で、躊躇してやれなかったことがたくさんあります。例えば、長期の旅行ですね。」祖父江さんには現在、3歳になるお子さんがいます。旅行をしたい気持ちはあっても、子育ての比重が大きく、長期間家を空けることはなかなか難しいそうです。当時、ある程度の貯えはあったからこそ、「母親になる前に、もっと旅行に行っておけば良かった」と本音を明かします。祖父江さん(FP):「今、ちょっと後悔しています。もし人生をやり直せるなら、その頃のお金は“楽しい思い出”に使うと思います」資産形成や投資を専門とする“お金のプロ”からの、思いがけない答えに、2人は驚きを隠せません。「形に残らないものにお金を使いたかった」という祖父江さんの言葉に、A子さんも「思い出には残るけれど、手元にモノは残らないから、最近無駄遣いなんじゃないかと思い始めていた。」と自身の気持ちを重ねます。me:tone編集部:「あとから振り返って、そう思うこともありますよね。思い出のためにお金を使うって勇気がいるし、それは自分自身の価値観との天秤なのかも。楽しく使う、という視点も大事なんですね。」お金は「貯めることが正義」「節約することが大切」と思われがちです。けれど、思い出は、時間が過ぎてからでは手に入れられないものもあります。お金との向き合い方について、改めて考えさせられる一幕でした。好きなことに使うお金が、人生を前に進める祖父江さん(FP):「生活費の1割は、自分の“推し活”などに使ってもいいと思います。」将来のためにお金を蓄えたり、資産形成をしたりすることはとても大切です。ただし、1カ月単位で見れば「浪費」に思える支出も、1年、さらに長い目で見れば、必ずしも浪費とは言えないと祖父江さんは話します。だからこそ、生活費の1割は、友人との食事や推し活など、自分の心が満たされることに使っても「あり」だといいます。そうした使い方が、心に潤いを与え、生活にゆとりや豊かさをもたらすのであれば、周囲から「浪費」に見えたとしても、それは経験という「投資」になるのだそうです。お金の使い方を・食費や日用品などの「消費」・将来のための「投資」・娯楽費などの「浪費」に分けた場合、7:2:1くらいのバランスで使ってもいいのではないかと、祖父江さんは提案します。me:tone編集部:「自分の好きなものにお金を使うことを、そっと後押ししてもらえた気持ちになりますね。」A子さん:「したくてもできなくなる時が来るからこそ、今できることは、今のうちにやっておいたほうが良いということですね。」CBCテレビme:tone編集部今を生きるために、“お金を使う”という選択祖父江さんは、ファイナンシャルプランナーとしての経験談を続けます。これまで多くの人の資金計画の相談に乗ってきた中で、「正直、相談する必要がないほど、すでに十分な資金計画ができている人」も相談に訪れるのだといいます。貯金も十分にあり、親も近くに住んでいて、老後の生活もイメージできている。客観的に見れば、まったく問題がなさそうな人が、「確認」の為に相談に来るケースも少なくないそうです。祖父江さんから見ても、資産額は一般的な水準をはるかに上回っている。それでも、人生、何が起きるか分かりません。もし、多くの資産を蓄えたまま、ある日突然人生を終えてしまったとしたら。数千万円というお金を使うことなく、この世を去ることになるかもしれません。祖父江さん(FP):「もちろん、その人が満足していればいいのですが、そのお金で本来得られたはずの経験をしないまま亡くなるとしたら、本当に豊かな人生だったのかな、と考えてしまいます。自分が築いた資産を、ちゃんと使い切って人生を終えることも、一つの“きれいな形”なのではないでしょうか。」子どもや孫のために資産を残すことも大切です。けれど、何より大切なのは、まさに今を生きている自分自身の人生。その人生を豊かにするために使うお金があっていい――。モノとして残るものだけでなく、思い出として心に残るお金の使い方もあるのです。ファイナンシャルプランナーの祖父江さんが、今回の座談会を通して、2人の“人生の後輩”に伝えたかったことは、きっとそのメッセージだったのではないでしょうか。【ファイナンシャルプランナー祖父江仁美さん】大学卒業後、保険会社と保険代理店にて約11年勤務。2017年8月、名古屋で「じんFP事務所」を開業。ファイナンシャルプランナーとして、ライフプラン研修やマネー相談、執筆などを行う。著書「お金の使い方・貯め方教えて下さい」(主婦の友社)。プライベートは、一児の母。(以上)