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部位によって大きく異なる、がんの5年生存率

部位によって大きく異なる、がんの5年生存率

1月14日、2016年に診断された人のデータを基に、がんと診断された人が5年後に生存している割合「5年生存率」について厚生労働省が公表したと朝日新聞が報じました。国によるがん患者情報の一元管理が始まって初めて、部位別の5年生存率も公表しましたが、部位によって割合は大きく異なるようです。1月24日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、がんの5年後生存率について解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。

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なぜ5年で判断?

5年生存率とは、がんと診断された日を起点にして患者の状況を追跡し、5年後に生存している人の割合のこと。

5年を基準としている理由について、吉田先生は「1年後の生存率だとまだ治療の結果が出ていない場合が多く、10年後だとデータが出るのが4年以上後になり、古い治療の評価になってしまうため、中間の5年ががんの医療を評価する尺度になっている」と解説。

15歳以上の5年生存率について、主な部位別では前立腺が92.1%、乳房が88.0%で、最も低いのが膵臓(すいぞう)で11.8%でした。

また、国立がん研究センターによりますと、1993年以降の推移では男女ともに多発性骨髄腫や悪性リンパ腫のほか、男性の前立腺、女性の肺などの生存率が大きく向上していたとのことです。

早期発見がなによりも重要

5年生存率も上がっていることから、がん治療が大きく進んでいることが伺えます。
その理由には検診の普及と、画像診断や内視鏡の進歩で、以前よりも早い段階で見つかる比率が飛躍的に増えたとのこと。

部位によって大きく生存率が異なるのも、早い段階で見つけやすいかどうかにかかっている面があります。
部位によって見つけやすさに差がある原因のひとつはがんの広がり方で、例えば膵臓の場合は見つかった時点ですでに広がっていて進行していることが多いため。

また、手術や放射線、薬の効き方が部位によって大きく異なるそうです。
とにかく早期に発見することが大事とのことです。

手術の技術が飛躍的に進歩

また、手術の技術が向上していることも生存率の向上につながっています。
身体へのダメージも軽くなってきていたり、放射線治療もピンポイントで病巣に当てられるようになったり、薬も進歩しているということが挙げられます。

そして、今回の発表は2016年の診断データが対象となっています。
「2016年以降に本格的に普及した治療の効果は含まれていませんので、2026年段階の5年生存率はもっと高くなっているのは間違いないですね」と吉田先生。

この10年でそれぞれの人に合った治療法が発展していて、代表的なものとして免疫療法や分子標的薬療法というものがあり、治療法は進歩し続けています。

がんとの新しい向き合い方

ひと昔前のように「がん=命に関わる病気」とは限らなくなってきたので、がんへの向き合い方も変化しています。

最近広まっているのは「サバイバーシップ」という考え方。
治療中だけではなく、治療の後に続くだるさや食欲不振、不眠、不安感などの症状への対処や、仕事をどう続けていくか、家族がどう支えていくかなど、多岐にわたる課題とどう付き合っていくか考えることです。

治療に直接携わる医師や看護師のみならず、薬剤師や栄養士、心のケアを行なう方、ソーシャルワーカーなど、チームで支える医療が標準になりつつあるとのことです。

また、がんを未然に防ぐためには、飲酒を控える、食生活に気をつける、運動をするなどといったことが大事なのはわかっているものの、なかなか実践できないのが実情。

吉田先生は「心理学や精神医学、行動科学など、今までがんとは直接関係がなかった学問分野も結集して、あとスマホやAIなども活用して、がんの予防行動を多くの方に普通に実践してもらうようになるのが非常に重要です」とまとめました。
(岡本)
 

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