抗菌薬が効かない百日咳が増加。対策はどうしたらいい?
抗菌薬が効かない薬剤耐性菌への警戒が高まっています。全世界の死者は2050年までに年1千万人に達するとも予測され、サイレント・パンデミック、つまり静かな世界的大流行を引き起こすともいわれています。激しい咳が続く百日咳が流行し、患者数が2018年以降最多となっていますが、そのうち薬剤耐性の百日咳の感染が増えているとのことです。9月27日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、日本感染症学会理事で愛知医科大学病院感染症科教授の三鴨廣繁先生が、百日咳の患者が増えている現状や対策などについて解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く耐性菌の特徴
まずは三鴨先生に、現在の一般的な百日咳の治療法について尋ねます。
基本的にはエリスロマイシンやクラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬を使用するそうですが、近年、特に中国から伝搬してきたマクロライド耐性の百日咳菌というものが出現しているそうです。
耐性菌が起こる原因は菌の遺伝子が変異するからで、変異すると抗菌薬が菌に結合することができずに効かなくなってしまいます。
抗菌薬が効かないとなると、命にも関わるような重い症状にならないかと不安になりますが、「それは誤解である」と三鴨先生。
抗菌薬が効く効かないに関わらず、どちらの百日咳でも症状は長引き、咳き込んだ後の嘔吐や、息を吸う時の笛を吹くような音が出る特徴は同じだそうです。
ただ、耐性菌の場合は咳が長引きやすいといったことが臨床的には問題とのことです。
耐性菌の増加に懸念
では、薬剤耐性菌の治療法は現時点で確立しているのでしょうか?
三鴨先生によれば、先程のマクロライド系とは異なり、ミノサイクリンやキノロン系の薬が選択肢に入り、薬剤耐性菌だとわかった場合でも治療は可能とのことです。
一方、産経新聞が報じたところでは、大腸菌や黄色ブドウ球菌にも薬剤耐性菌が出てきたとのこと。
抗生物質が効かない、効きにくくなることをAMR(薬剤耐性)といいますが、実はこれは百日咳に限りません。
最近では日本でまた結核が問題となっていますが、さまざまな病原菌に耐性がついてきています。
WHO(世界保健機関)は公衆衛生上の大きな問題であるとして、各国に対応策を練るように指示しているそうです。
耐性菌を増やさないためには
では、私たちの行動が耐性菌を増殖させているということはあるのでしょうか?
よく風邪をひくと抗生物質を求めることがありますが、風邪はウイルスであるため直接的には効きません。
しかし、ウイルスの感染の後に細菌に感染して合併症で重症化することに備え、とりあえず抗生物質をもらう患者もいるようです。
本来は不要な抗菌薬のため、使用するとお腹の中にいる別の菌に耐性がついてしまう危険性があります。そのため「不必要な抗生物質は使わないことが大事」と三鴨先生。
また、抗生物質を薬局でもらった際、よく「必ず飲み切ってください」と言われたことはないでしょうか?
これは症状が良くなったからと勝手に服薬を中断すると、体内で残っている菌に耐性がつく危険があるためです。
そして、三鴨先生は「ワクチンで予防できる疾患はなるべく受けたほうが良い」ともアドバイスしました。
(岡本)
番組紹介
読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。


