あの「太陽の塔」が重要文化財に指定。いまだ未解決の謎とは?

1970年に開催された大阪万博のシンボルである太陽の塔。芸術家の岡本太郎氏がデザインしたこの建造物が、重要文化財に指定されることになりました。この話題について5月17日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が詳しく掘り下げました。実は太陽の塔には、なんとも不可思議な謎が残っているというのです。聞き手は加藤愛です。
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5月16日、文化審議会が文部科学大臣に対して重要文化財に関する答申を行ないました。
石塚「太陽の塔の他にも、今回いくつか答申がありまして。名古屋の建中寺も含まれています」
名古屋市東区にある建中寺は尾張徳川家の菩提寺で、歴代の将軍を弔うために建立された御寺です。今回国の文化財に指定されたのは本堂と徳川家御霊屋とのことですが、敷地内にある多くの建物が愛知県指定文化財、名古屋市指定文化財、文化登録文化財などの指定を受けています。
石塚「それから琵琶湖の疎水施設は今回の答申で国宝に指定されるみたいです」
琵琶湖疎水施設は琵琶湖から京都へ水を運ぶために建築された、5つの施設から構成される長大な運河です。京都にある南禅寺の境内を横切るレンガ造りのアーチ型水路橋は特に有名で、近代京都の景観を育んだ代表的な遺構として文化史的意義があるとされています。
石塚「明治以降の土木建造物が国宝になるのはこれが初めてですって」
これらを含む計8件が重要文化財に指定される運びとなりました。
惜しむ声が多く
そして今回話題の中心となる太陽の塔は、高さおよそ70mの巨大建造物。万博では「人類の進歩と調和」を表現するテーマ展示施設としての役割を担いました。
設計から施工まで当時最先端の技術が施されており、高度経済成長期の日本を象徴するものであるという点で評価を受けているようです。
石塚「皆さんご存じのように太陽の塔は壊される予定でしたが、やっぱり残そうってことで今も建ってるんですよね」
もともとは万博終了後に解体されることになっていましたが、地元高校生からの署名運動や市民からの保存運動が展開されたことにより保存が決定したとのこと。それだけ太陽の塔が、万博を通して人々の心に印象的に映ったということなのでしょう。
今回の件を受け、大阪府の吉村知事は「次は世界遺産の登録を目指していく」と述べているようです。
全部でいくつ?
そんな太陽の塔には、よく目立つ顔が付いています。
石塚「いくつ付いているかご存じですか?」
塔の頂部にひとつ、正面にひとつ、それから背面にもひとつ。
石塚「3つまでは外から確認できます。これは現在、未来、過去を表しているそうです」
頂部の「金色の顔」は未来、正面の「太陽の顔」は現在、背面の「黒い太陽」は過去を象徴しているのだとか。
石塚「実は4つ目の顔があって、地下の施設に『地底の太陽』と言われるものがあったんです」
吹田市の未解決事件
この「第4の顔」には、いまだ解決されていない謎が残されているのだそう。
石塚「これがどこ行ったかわからなくなっているんです」
加藤「え!なくなっちゃったんですか?」
「地底の太陽」の大きさは横幅11m、直径3mとかなりのサイズ。うっかり紛失してしまうようなものではありません。
石塚「当初取り壊し予定だった時に一旦取り外されたらしいんだけど、やっぱり残すことになったから戻そうとした時に見つからなかったんだって」
こんなことがあり得るのでしょうか。ちょっとした現代のミステリーです。
石塚「太陽の塔は予約をすると内部に入れるんですが、今もそこに第4の顔はあります。でもそれはレプリカ。写真をもとに似せて複製したものです」
加藤「本物じゃないんだ」
石塚「当時のものは、今どこにあるか分からないという。謎ですね」
現在開催中の大阪・関西万博が盛り上がりを見せる中、今回太陽の塔が重要文化財に指定されたことで、1970年の大阪万博にも再び注目が集まると思われます。
消えた第4の顔の謎が解き明かされる日は、はたしてやってくるのでしょうか?
(吉村)
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