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上手すぎて話題に!徳島県立近代美術館で「伝説の贋作師」の贋作を無料公開へ

上手すぎて話題に!徳島県立近代美術館で「伝説の贋作師」の贋作を無料公開へ

今年3月、徳島県立近代美術館で所蔵していた作品が贋作であったことが判明しました。美術館側は「鑑賞していただいた皆様に申し訳ない」と陳謝して公開を取りやめていましたが、5月11日から公開することになりました。贋作なのになぜ公開することになったのでしょうか?5月10日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員がその一連の流れを読み解きます。聞き手は加藤愛です。

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稀代の贋作師

徳島県立近代美術館が6,720万円という大金を支払って買ってしまった贋作は、「自転車乗り」という作品。
フランス人画家のジャン・メッツァンジェによる油彩画とされていたそうですが、実際にはドイツのヴォルフガング・ベルトラッキ氏による贋作であったと断定されました。

石塚「贋作なんだけど、このベルトラッキさんがすごく上手なんだよね」

ベルトラッキ氏は「伝説の贋作師」とも呼ばれているのだとか。
そもそもメッツァンジェ氏は「自転車乗り」という作品を描いていないそうです。

石塚「すごく良く似たタッチで、いかにもメッツァンジェ氏が描きそうな絵を描いていたんですね」

本人による暴露

そもそも贋作と判明した根拠は、ベルトラッキ氏本人の証言。

石塚「実は彼、詐欺罪で捕まって服役して、もう出所しているんですね。で、もう刑期を終えちゃってるから、本人が結構いろんなことを喋ってるんですよ」

メディアや取材に対して、かなり明け透けに自身の作品について暴露しているとのこと。
それが人々の関心を買い、地元ではかなりのニュースになったとか。

石塚「しかも自分が描いた偽物の絵のリストとかもあって。その中にこの『自転車乗り』っていう絵が入ってて、『これ、偽物じゃん!』となったわけです」

美術館は画商を営む大阪市の会社から鑑定書付きで購入したようですが、その鑑定者からも「贋作である」と証言され、完全に贋作だと断定するに至ったそうです。

隠さず公に

こういった経緯を経た贋作「自転車乗り」、本来であれば文字通りのお蔵入り。

石塚「ここが面白いんだけど、もう偽物だってハッキリわかったから『これがその話題の偽物です』って公開することにしたんだって」

徳島県立近代美術館では、ここに至るまでの一連の流れや贋作と判断した根拠などを説明するため、5月11日から6月16日までの期間限定で作品を一般公開するとのこと。

石塚「無料公開です。しかもただ公開するだけじゃなくて、なぜ騙されたかとか、この贋作がどういうものであるかといった内容もパネルにして一緒に展示するみたいです」

加藤「え、気になる!」

石塚「県立美術館ですから、お金の出どころは税金ですからね。もちろん謝罪はしていますし、間に入った画廊屋に対しても返金の交渉も始めてるみたいですけど」

期間中は14回にわたって学芸員による解説も行なわれるそうです。
来館者からの質問にも可能な限り答えるとのことで、信頼回復に努めたい考えのようです。

なんと高知でも

石塚「一方、同じルートでベルトラッキさんの偽物を買わされちゃったのが、高知県の県立美術館なんだよね」

高知県立美術館では所蔵の油彩画「少女と白鳥」が同氏による贋作であると断定されています。こちらは9月から、有料企画展の中の一作品として公開予定のようです。

石塚「でも褒めちゃいかんのだけど、ベルトラッキさんは本当に特徴を掴んで上手に描くんですよね」

加藤「その才能を別で生かせたらよかったんですけどね」

石塚「本当だよね(笑)」

ベルトラッキ氏はなんと現在、そのノウハウを生かして犯罪の捜査に協力しているとのこと。贋作の鑑定などで手腕を振るっているようで、まさに餅は餅屋といったところです。

そんな「伝説の贋作師」の名画を一目見ようと、今後も多くの人が四国に足を運ぶことになるかもしれません。
(吉村)
 

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