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相続者に気持ちを添えよう。遺言書の「付言事項」とは

相続者に気持ちを添えよう。遺言書の「付言事項」とは

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。4月16日の放送では、遺言書を作成する時の「付言事項」について北野誠と松岡亜矢子が三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタント齋藤元紀さんに伺いました。

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付言事項ってなに?

今回齋藤さんが紹介したのは、遺言書の付言事項(ふげんじこう)について。
「付言事項」とは何でしょうか?

齋藤「付言事項とは、遺言書に記載する法的効力のないメッセージのことです」

遺言者が相続人に対して感謝の気持ちや財産の配分理由などを伝えるために記載する事項となります。
付言事項を記載することのメリットは何かを尋ねる北野。

齋藤「相続人間の誤解や争いを防ぐ効果があります」

例えば、特定の相続人に多くの財産を遺す理由を説明することで、他の相続人の理解を得やすくなるとのこと。

齋藤さんは、日ごろ遺言書作成の手伝いだけでなく、遺言書を作成した方が亡くなられた際の「遺言執行」という遺言書通りに財産を分配することにも行っています。そんな中でも…。

齋藤「付言事項で遺言書作成の理由を記載した方が、相続人が納得されやすいと感じます」

内容を知らないと思わぬ誤解を生む

齋藤さんは具体的な事例として「長男と長女の2名が相続人となったケース」を紹介。

齋藤「当初、父親は子供2人にあまり差をつけずに財産を遺す方針でしたが、結果としては、長女に若干多く財産を遺しました」

その配分だけ見ると「差をつけた理由はわからないですよね?」と続ける齋藤さん。

北野「長男は怒るかもしれない。付言事項で説明があったの?」

この遺言者は付言事項に「長女は両親の介護による貢献があったため、長女への配分を少しだけ増やした。長男の方が少なくなっているが、ふたりの子供どちらも大切に思っていることを理解してほしい」と書いたと説明する齋藤さん。

齋藤さんは、長男が遺言書で自分への配分が少ないことに若干疑問を感じている様子を感じたそうですが、この付言事項を読んで配分理由に納得し、円満に遺産分割が行われたそうです。

北野「付言事項による説明有無によって、受け取る側のイメージが違いますね」

齋藤「特に最近では同居している家族が減少し、気持ちがわからない場合が多い。メッセージを書くことで『あ、こういうことがあったんだ』と円滑になる」

付言事項で「配分の理由や気持ちを伝えることは大切」と促しました。

思いを伝えて穏便な相続を

付言事項にはどのような内容を記載すべきでしょうか?

齋藤「感謝の気持ちや財産分配の理由、遺族への希望などが一般的です」

例えば、「家族みんなで仲良くしてほしい」「遺産を有効に活用してほしい」といったメッセージを記載することで、遺族に遺言者の思いを伝えることができると続けます。

ここで、北野が付言事項を記載する際の注意点を伺いました。

齋藤「遺言書の本文と矛盾しないように記載することが重要です」

また、相続人が付言事項を読むときは遺言者が亡くなった後なので、感情的な表現や否定的な内容は避け前向きなメッセージを心がけるとよいとアドバイスします。

北野「最後に、遺言書を書かれる方にひと言お願いします」

齋藤「付言事項は遺言書をより温かく、相続人にとって意味深いものにする重要な要素です。ぜひ遺言書を作成する際には、付言事項を活用して遺族に思いを伝えてください」

遺言書の内容について遺言者に理由を尋ねたくても、亡くなられた後だと確認出来ません。

北野「温かい気持ちが大事ですね」

遺言書を作成する際は「付言事項」を活用してほしい、と念を押す北野でした。
(野村)
 

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