歳をとった親の行動について、こどもたちに投稿が多数寄せられるのが、ＣＢＣラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』のコーナー「かわいい人」。3月24日の放送では、つボイノリオに代わり塩見啓一アナウンサーと小高直子アナウンサーがリスナーのエピソードを紹介します。

捨てられないモノ

まずは多くの人が共感するおたよりです。

「うちの親は、昭和時代の布団を処分する気がなくて困っています。ふた言目には『誰かが泊まりにきたらどうするの？』と言いますが、もう誰も泊まったりしません。
何十年も押し入れの上下二段を占領している重たい布団をなんとかしたいです」（Aさん）

塩見「特に昭和の布団は重いです。しかもでかい。今は軽くてコンパクトになっています。この分厚さがお客さんをもてなすと思っていました。困りますよね」

いらなくなった布団や座布団、服や食器などは、実家のあちこちを占領しています。親にそれを捨ててという説得は大変です。

きゅうじょう？

次は90歳くらいのお父様の話です。

「40年ほど前、家族で東京へ行くことになり、どこを観光するか検討していたとき、父が『きゅうじょうに行くか』と言うので、『野球もやってないのに後楽園球場に行ってどうするのか？』と聞いたら、あきれ顔で『きゅうじょうを知らんのか』と言われました。

父の言う『きゅうじょう』は『宮城』で、現在の皇居のことでした。戦後呼び方が皇居に変更されたのですね。昭和5年生まれの父でした」（Bさん）

同じ昭和でも戦前と戦後ではずいぶん違います。
徳川幕府の居城が、明治元年に「皇居」となり、明治21年以来「宮城」と称されていましたが、昭和23年に「皇居」と呼ばれるようになったそうです。

使われない櫛

父親のバッグからいろいろ不要物が出てきたという話です。

「父は4月の結婚記念日を前倒しして、バースデー割引ができる3月にホテルに泊まりに行くぞと提案。思い立ったら即行動の人なので、母の返事も聞かずに、ホテルに電話しました。

会員ナンバーを聞かれたようで、片手でカバンからカードの束を出し、私にそれを渡すと目で『ホテルの会員証を探せ』と合図。
無事、会員証を見つけたのですが、中には接骨院の診察券が2枚など。

『バッグに他にもいらないものが入っているんじゃない？』と母に言われ、父はしぶしぶ愛用のバッグをあさりました。レシート、どっかの入場券、粉末のお茶などが次から次へと…。

最後に『これを使ってくれ』と形見のように差し出したのは櫛でした。父はとうの昔に髪の毛がないので、いったいいつからカバンに眠っていたのでしょうか？

切ない気持ちが伝わってきて、『大切にするね』と受け取ると、母が隣で『お父さん必要ないのに後生大事に持っていたの、ギャー』と大笑い。父は頭皮まで真っ赤にして『ホテルはキャンセルだ』と怒っていました」（Cさん）

小高「出張でホテルに泊まると櫛があって、一回使っただけで捨てるのもったいないな、でも、これホテルの人は捨てるのだろうと思うと、ついカバンに入れます」

塩見「お母さんも容赦ないよね。オレも行くのやめるわ」

しかし「母の返事も聞かずに、ホテルに電話」したり、いらないものをバッグに入れっぱなしはどうでしょうか。お互い欠点はあっても、意外といい夫婦なのでは。

『知らんなー』

「去年の今頃、ＣＢＣの通販で買った割れチョコ、たくさん入っていてびっくり、それよりなによりおいしい。食べきれないほどの割れチョコを台所のテーブルに置いて、つボイさんの1泊2日の山口県ツアーに参加し、無事帰宅しました。

そしたら台所の割れチョコがなくなっていました。まだ3切れしか食べてなかったんですよ。そこで留守番していた義理のお母さん93歳に、『あのチョコどこへやった？』と聞くと、少し認知症のお母さんは『知らんなー』と答えました。

すると、家内が母の部屋のゴミ箱から割れチョコの袋を発見しました。なんとひと晩で食べてしまったのです。こどもなら親から食べ過ぎると鼻血が出ると言われます。果たしてお母さんは鼻血も出ず、夜寝られたのでしょうか？

それにしてもほぼ1キロのチョコを食べた上、息子に頼んでいたコンビニ弁当も食べ『知らない』と言うお母さん。医者からは膝が痛いのは太りすぎと言われてますが、本人は意に介さず、歯のない歯茎でバリバリ食べています。これは長生きしそうだわ」（Cさん）

小高「奥さんの名探偵ぶりもすごいですね」

塩見「1キロってなかなかですよ。すごいですね」

周囲が90過ぎの老人と思っていても、意外とすごい力を発揮することがあります。
（みず）