3月7日から東海三県で先行公開になる映画『春の香り』。全国公開は3月14日からです。『春の香り』は愛知県江南市が舞台で撮影された作品だそうです。2日放送のＣＢＣラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に、主演の美咲姫さんとプロデューサーの堀ともこさんが出演し、撮影秘話などを小堀勝啓が尋ねました。

実話が基になった作品

『春の香り』は美咲姫さんにとって初の主演作。約1,000人のオーディションでこの役を射止めました。

美咲姫「私の気持ちの中では、藤森ハルカのモデルになった坂野春香さんと一緒にこの作品に向き合った、という気持ちが大きいです」

この映画は愛知県江南市で脳腫瘍と戦いながら漫画家を目指し、18歳で生涯を閉じた坂野春香さんの実話を基にフィクションとして描かれた青春ドラマで、監督は丹野雅仁さんが手掛けています。

美咲姫「18歳で脳腫瘍で亡くなられた藤森ハルカというひとりの少女の生き様、最後まで命を諦めなかったという生き様を描いた映画です」

江南市でロケ

美咲姫さんは撮影前、モデルとなった坂野春香さんの両親に会ったそうです。

小堀「そういうのって構えるというか、緊張するとこがありますよね」

美咲姫「私の中では『やっと会えた』みたいな感じが大きくって、春香さんのことをいろいろ話して下さったので、役作りに関してはすごく大切な時間だったと思ってます」

ロケの間はずっと愛知県江南市をはじめ、周辺で過ごしていたという美咲姫さん。

美咲姫「ずっと『すいとぴあ江南』に通ってたんです」

「すいとぴあ江南」は愛知大橋の近くにある木曽川沿いの展望タワーです。大浴場、レストランなどの施設もあります。
サイクリングロードを挟んだところに、本作に登場する3本の桜があります。

美咲姫「桜が咲く前から満開になって、散っていく時まで、ずっとその3本桜と一緒に過ごせたのですごく良い時間でした」

映画を観た方が聖地巡礼に訪れるかも知れません。

敬語禁止

櫻井淳子さんなどのベテラン俳優陣も共演。撮影初日の美咲姫さんは、スタッフから「大丈夫か？」と声を掛けられるほどの緊張ぶりだったそうです。

美咲姫「何より温かい現場だったので、スタッフの皆さんはじめ、キャストの皆さんもすごく優しくしてくださって、なんとか最後までやり切れたと思ってます」

小堀「映画の会話の中に、本当の家族感がありましたよ」

美咲姫「家族のキャストの皆さんとは撮影以外の時も、本当の家族のように『パパ』『ママ』って呼び合って過ごしてました」

またファミリー感を作っていくために、現場では敬語禁止だったそうです。先輩の役者さんであろうと、敬語を使うと逆に怒られたんだとか。

小堀「重要な部分の演技よりも、何となくぽかんとしてる時の感じが、普通の女の子みたいなすごくリアル感がありました」

美咲姫「監督が、カメラの中でも自然でいて欲しいってずっとおっしゃっていたので、できるだけいつもの自分で過ごすように心がけてました」

流れるのはどんな涙？

小堀「この映画を観て、生きていることの大切さを思いますよね」

堀「最後の最後に自分がどのように生き切ったかということが、その人の人生の価値になると思うんです」

この映画のハルカが18歳までしか生きられなかったことは、果たしてかわいそうなことなのか？
この問いに「ハルカの映画を観ていただければわかると思うんです」と確信を込めて言う堀さん。

堀「観終わった後に悲しい涙ではなくて、爽快感というか、『ハルカ、頑張ったね』って応援してあげたくなるような涙に、きっとなると思います」

小堀「観終わってから映画を思い出すときに、『俺はここまでナンもせんで生きとるな』という自分の反省になります（苦笑）」

小堀の緩い反省に笑う美咲姫さんと堀さん。

小堀「観終わって暗くなるかというとそうではなくて。春って希望が感じられる季節じゃないですか、ハルカちゃんの物語に『春の香り』っていうタイトルが本当にぴったりだなと思います」

温かい気持ちになれる

最後に堀プロデューサーと美咲姫さんからメッセージです。

堀「観終わった後に自分の人生を重ね合わせて、これからも頑張ろうと思える映画になっていると思いますので、ひとりでも多くの方に見ていただきたいと思います」

美咲姫「この作品はただの闘病記録ではなくて、ひとりの女の子が生き抜いた作品になっています。観終わった後に温かい気持ちになれると思うので、皆さんに観ていただきたいと思います」
（尾関）