実は建設コストが超優秀!中部国際空港 セントレアが20周年
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中部地方を代表する空港、中部国際空港 セントレアは2005年(平成17年)の2月17日に開港し、今年で20周年を迎えます。そこで、2月12日放送『CBCラジオ #プラス!』では、中部国際空港 セントレアの歴史とこれからの未来について、ジャーナリストの北辻利寿さんが解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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セントレアは愛知県常滑市沖、伊勢湾海上の人工島に24時間運用可能な3,500mの滑走路を持つ海上国際空港。
作られたきっかけは昭和40年代にまでさかのぼります。
中部経済連合会(中経連)が、中部地方に大規模な国際貨物空港が欲しいという構想を発表。
しかし昭和50年代に入り、当時の中部地方の空の玄関口だった愛知県豊山町にある名古屋空港が手狭で、これからの高速大量輸送、国際化の時代に向けて新しい空港が欲しいという機運が高まりました。
セントレアの大きな特徴は国主導ではなく、地元の経済界と自治体が一体となって建設に動き出したことで、その熱意はようやく1991年(平成3年)、国の第6次空港整備五箇年計画で初めて中部国際空港という名前の登場に結びつきました。
その後、愛・地球博が2005年(平成17年)に開催されることが決定したことで、国が本格的に動き出しました。
民間が運営を主導
また、セントレアを運営する空港会社の株主構成も特徴的で、成田空港や関西国際空港は国が100%出資しているのに対し、セントレアはわずか4割。
地元の財界や民間企業などが50%、自治体が10%という構成で、民間企業には三菱UFJ銀行やトヨタ自動車、中部電力、JR東海、名古屋鉄道、東邦ガスと、中部地方の大企業が勢揃いとなっています。
また、この会社の社長も開港以来6代、すべてトヨタ出身の方々です。
当初の総事業費は7,680億円という見込みでしたが、最終的にはなんと5,950億円で収まり、なんと計画よりも低く作ることができました。
国や地方自治体などが手がける建設の費用は計画を超えることが当たり前のようになっていますが、セントレアはかなり優秀といえます。
トヨタ方式のように徹底的な合理化を計ったことが功を奏したようです。
今後の課題
年間の利用者数は年々増加傾向にあり、2019年は国際線が620万人、国内線が640万人、合わせて1200万人超えと過去最高を記録しました。
しかし、2020年にはコロナ禍によって20万人まで激減。
昨年3月にようやく黒字に戻り、今年度の利用者数は1000万人に近づくのではないかといわれています。
これから再び発展を期待していきたいところですが、課題が残されています。
一番の課題は滑走路が1本しかないことで、羽田は4本で成田や関空、伊丹、新千歳、那覇は2本あります。
セントレアは24時間開港可能といわれていますが、メンテナンスのことも考えると1本では実際に24時間は運用できません。
ただ、新しい滑走路の着工が決まり、2027年度には運用がスタートする予定となっています。
建設費が今度はオーバー?
2030年には利用者数の目標を2000万人に設定していて、滑走路が増えることにより利用者増が期待されています。
ただ、ここでも資材の高騰や人材不足によるコスト増の問題、先日起きた空港内の事故を受けて、安全対策を強化する必要性が出ています。
そのため、第2滑走路の事業費が当初の145億円から220億円に増えています。
「前回の1,700億円が浮いた分、あの時の余剰分で行けるでしょう!」と語る永岡に対し、「知恵を絞ってコスト削減に取り組んで何とかという期待はありますけどね。この空港の成長の過程を見られるし、成長しなくてはいけないですね」と期待する北辻さんでした。
(岡本)
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