今年も続く令和の米騒動、価格高騰の原因は?
昨年、令和の米騒動といわれた米不足が起きましたが、いまだに米の高騰が続いています。卸売業者に主食用の米が販売される際の相対取引価格の平均額は、大凶作だった1993年の平成の米騒動を超えました。一部のコンビニではおにぎりや弁当などが値上げされるなど、私たちの生活にも影響を及ぼしつつあります。2月5日放送『CBCラジオ #プラス!』では、米の高騰はなぜ起きているのか、ジャーナリストの北辻利寿さんが解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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まずは米の価格はどのようにして決められているのか、歴史を紐解きながら解説する北辻さん。
日本に稲作が伝わったのはなんと1万3千年も前、縄文時代の時からで、長い間日本人の主食となっています。
この主食を守るため、価格の決定には長らく国が関わってきました。
例えば奈良時代には米を保存する米蔵が各地にあり、当時の皇族が豊作なら米を貯め、凶作なら放出するなど、米の供給量を調整していました。
時代は移り、第二次世界大戦後にアメリカの文化などが入り、主食をパンとする人が増えたことで、米が余るようになりました。
米が余ると価格が暴落してしまうため、食糧管理制度というものが策定され、減反政策によって供給量を減らしました。
それでも米は余り続けたため、1969年(昭和44年)に農家が直接消費者に売る自主流通米というルールができました。
自主流通米は増え続け、1990年代になると国が管理する米の割合は2割にまで減り、1995年(平成7年)に食糧管理制度は廃止されました。
価格が高騰した原因
米の売買に国が関与しなくなったとはいえ、価格は完全に自由というわけではありません。
実際にはJAが管理していて、今年の米の予定価格を概算金として算定し、それを基に生産農家に支払う金額すなわち相対取引価格を決めます。
この相対取引価格が現在かなり上がっているのですが、その理由について北辻さんは2つ挙げました。
ひとつはここ2年ほどの猛暑で米の生育に大きな影響を及ぼしていること。
ふたつ目はインバウンド人気による需要の増加で、外食産業に卸す量が増えてきているためです。
米不足は解消されるのか
米の価格高騰はすぐに収まりそうにはないため、先週末に政府は初めてとなる備蓄米の放出を発表しました。
備蓄米は本来、凶作や不作の際に供給を安定させるために国があらかじめストックするもので、すでに国は100万トンを備蓄しています。
放出するとコメの価格は安くなると見られていますが、今度は生産者が困ってしまうため、どれぐらいの量をいつ放出するのか、難しい舵取りが迫られています。
ただ、この米不足が今だけのものなのかという問題が残っています。
インバウンド人気は一過性のものなのか、一方で猛暑は今後も続くとされると、米不足の問題はなくならないということになります。
農業従事者のなり手不足の問題なども含めて、長期的な視点で問題に取り組む必要があるかもしれません。
(岡本)