今後どうなる?兵庫県知事、県議会との対立
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑が連日のように取り沙汰されています。県議会と知事が対立するという異例の事態となっていますが、この問題は今後どのように進展していくのでしょうか?9月14日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが県知事のパワハラ疑惑について解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く内部告発により疑惑が発覚
連日報道されている斎藤元彦知事のパワハラ疑惑。
県議会のすべての議員が知事に辞職を求めるという異例の事態となっています。
記者会見では、知事が涙を流して答弁する場面もありました。
大石「連日報道されているので、内容については皆さんご存知かと思います」
知事は職員に対して高圧的な態度を取り、業務上、過剰な要求を行っていたとされます。
事の起こりは、ある職員が知事のパワハラを告発する文書を作成し、報道機関に送付したことでした。
また、公益通報制度を利用し、県に通報。
結果的にこの職員は懲戒処分を受け、精神的負担がのしかかり自殺に追い込まれました。
現在、県議会すべての議員が知事に辞職を求めています。
兵庫県議会(定数86)の内訳は、自民が37、維新が21、公明が13などとなっています。
かつては飛ぶ鳥を落とす勢いのあった維新の会。
維新のプッシュもあって知事の座に就いたものの「今は少し陰りがみられる」と大石。
維新の国会対応には批判の声が上がり、大阪万博開催にも反対の声が挙がっています。
出直し県議会選挙の可能性も…
事態をみかねた大阪府の吉村知事は斎藤知事に辞職を促すコメントを出しています。
大石「今後どうなっていくんだろう?ということなんですね」
一方、今週から9月の県議会が始まり、法的拘束力のある不信任決議案が早々に提出されることが予想されます。
「今の状況だと、不信任決議案は可決されるだろう」と睨む大石。
可決されれば、知事は議会を解散するか、失職するかのいずれかです。
ここで議会解散を選択した場合、出直し県議会選挙となります。
大石「去年選挙したばっかりなんですけど、もう一回シャッフルしてやろうということになります」
そのための選挙費用は15億円ほどかかる見込みです。
さらに不信任決議案の再可決が行われた時点で、知事は失職となります。
これまで、都道府県知事に不信任決議案が出されたのは4例しかなく、そのうち議会を解散した例はないようです。
大石「議会解散の選択はないと思います。ただ、この人(斎藤知事)はどうするのかなぁ?と思うんですよね」
自ら辞職するという情報も?
大石が疑問を呈するのは、斎藤知事の一貫性についてです。
仮に議会を解散すれば、「自分の道は自分で決める」という発言に矛盾が生じます。
「本来であれば、不信任決議案が出され次第辞職し、出直し知事選挙に出馬するのが筋」と大石。
周辺の記者から話を聞くと、やはり辞職するのではないか?との情報も漏れ伝わっています。
また、知事本人はこの事案の重みを理解しているのだろうか、と別の疑問を投げかける大石。
涙を流した知事ですが、その涙は自分本位だと主張します。
大石「あれだけ心の動かなかった涙は久しぶりですね」
職員に対して「申し訳ない」という涙であってほしかった、と願う大石。
もっとも、斎藤知事の公約を進めるスピードは速かったようです。
ただ残念なことに、リーダーとして求められる人間性が不足していたのかもしれません。
今回のパワハラ疑惑の再発防止は兵庫県だけの課題ではなく、いかなる地方自治体にとっても重要な問題です。
他山の石とせず、知事としてふさわしく信頼できる人物を選ぶ責任について、その重みを改めて考えさせられます。
(nachtm)