「自民党総裁の椅子」が想定外にきれいな理由
8月14日、岸田総理が自民党総裁選に立候補しない意向を表明しました。これを受け、10人を超える候補者が総裁選に出馬する意欲を示しています。31日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが注目の総裁選について解説します。
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9月12日の告示まで2週間を切った自民党総裁選。
候補者の推薦や、届け出の受付が締め切られた後、投開票が行われる27日にすべてがわかる見込みです。
以前自民党を取材した際に「総裁の椅子に座ったことがある」と明かす大石。
大石「ちょっと硬めなんですよね。その代わり上質のレザーが使われている。いい椅子でしたね」
ところが、自民党総裁は「総裁の椅子」にほぼ座らないそうです。
自民党が与党である限り、自民党総裁は総理官邸の椅子に座っているからです。
それゆえか「党本部の椅子は案外キレイだった」と振り返る大石。
乱戦模様で決選投票?
総裁の任期は3年。自民党の国会議員は衆参両院合わせて367人、党員・党友も同数の367人。
総裁選では、これら国会議員票と党員・党友票を合わせた計734票の争いになるわけです。
初回投票でトップの候補者が単独過半数を獲得すれば、次期総裁が一気に決定します。
大石「今回、10人近く出馬する可能性があるわけでしょ?これはほぼ、ありません」
おそらくは過半数を超える候補が出ず、2回目に行われる「上位2人の決選投票」になると予想する大石。
過去の例では、1回目の投票で1位の石破茂氏を、2位の安倍晋三氏が決選投票で破り、総裁の座に就いたことがありました。
その後、幹事長として処遇された石破氏。このように、2位になった方は何らかの要職につくことが多いようです。
よって「上位2人が誰になるのかが見どころ」と大石。
候補者乱立で票読みが困難
今回の候補者は、石破茂、小林鷹之、河野太郎、加藤勝信、上川陽子、小泉進次郎、斎藤健、高市早苗、野田聖子、林芳正、茂木敏充(幹事長)の各氏。
大石「まず、候補者が圧倒的に多いじゃないですか。なんでこれだけ候補者が多いのか?」
原因は、ひとえに派閥がなくなったことです。
これまでは各派閥から一人出るのが通例でした。「厳選された候補者のみなので、自分たちも取材がしやすかった」と大石。
大石「ある程度、票読みもできたわけですよ」
いったい誰が誰に投票するのか、事前の票読みも難しい状況といえます。
国を任せられる人を
候補者が多いと、多様な考え方を聞くことができる反面、ひとりひとりの演説時間が短くなるというデメリットも。
ひとり5分の演説時間としても、10人いれば約1時間。おのずと内容が薄くなり、なんとなくの印象で結果が決まってしまいます。
大石「じゃあ、演説時間が短いと誰が得するんですか?ここが一番のポイントだと思うんですよ」
この状況は、先日の都知事選を思い起こさせます。
一躍2位に躍り出た石丸伸二さんの演説時間はわずか5分でしたが、自身のYouTubeに誘導する戦略が功を奏しました。
大石「選挙で勝てる人を選ぶのか?今後の日本を考えて選ぶのか?というところが一番見どころじゃないですかね」
むろん私たちにとって大事なのは「日本を任せるのは誰になるのか?」ということ。
「失われた30年」を取り戻せる人、未来を切り開ける人が選ばれてほしい、と切に願う大石でした。
(nachtm)